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妹への手紙~ある宿場町にて~
親愛なるエリーへ
北の町での手紙の続きが遅れてすみません。この手紙はグレンタールを出て東へ一日ほど歩いた場所にある宿場町で書いています。
グレンタールでは案内人と共に名所を巡り、眺めのいい丘での山裾の素晴らしい景色や、地獄口のぽっかり空いた怖ろしい穴など、珍しいことを数多く経験することになりました。
それで、非常に書き辛いのだけど……実は、グレンタールで連れができました。
毛並のいい大型犬です。
食事を用意したらどうも、懐かれてしまったらしく……まあこれも縁なのかなと思っています。
そちらは、変わりはありませんか。
父さんと母さんがもし相変わらずなら……くれぐれも財産の減りのスピードと地価の変動には留意するように。土地を手放すのはタダ同然になってからじゃ遅いからね。
これからずっと東をまわって、遺跡のあるミストランテまで行く予定です。もし手紙の返信を届けてくれるのなら、そこのギルド宛てにお願いします。
姉 シャーロット