妹への手紙~ミストランテより~
手紙なので短めです。
親愛なるエリーへ
手紙をありがとう。ちゃんと受け取りました。半年後ではなかったよ。
ミストランテでは、遺跡が二百年ぶりに入れるようになったというので、大騒ぎでした。
そこで、リリアナ・レンレンという歌姫の素晴らしい歌と踊りを堪能したり、遺跡を探索したりして、非常に濃厚な時間を過ごしました。
さまざまな出来事に遭遇したけれど、私はひどい怪我もなくここに元気でいます。ふとこれまでを振り返ってみると、エリーにも随分助けられてきていたと思う。
宝石とか毛皮とかも、前の手紙にはあんな風に書いたけど、旅の始めは本当にお金がなくてきつかったから、すごく助かってた。ありがとう。父さんと母さんにもよろしく……って、これは迷惑なだけか。
話したいことがまだまだたくさんあったのに、いざ書こうとなると、どれも逃げていってしまって紙面は真っ白のままです。エリーに会って、話せたらとも思うけど、貴族と平民じゃ、さすがに無理かな。手紙のやりとりができるだけでもかなり奇跡に近いし。
いつものようにギルド経由で送るけど、この手紙が放棄されたりせず無事届くことを祈ってます。
姉、シャーロット
第三章、了。