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詩小説へのはるかな道 第70話 はなさなければ

作者: 水谷れい

原詩: はなさなければ


放さなければ

 怒り

 不安

 執着

 完璧主義

 過去の後悔 

 時間への焦り


話さなければ

 夢

 喜び

 希望

 おかえり

 ありがとう

 心の奥の小さな真実


ーーーーーーー


詩小説: はなさなければ


その人は、小さな箱を抱えていました。  

中身は、怒り、不安、執着、後悔。  

それらが腐敗し発酵し、石のように重くなっています。

歩くたびに体が沈みますが、それでも手放せません。

「完璧に守らなければ」という呪いにかかっていたからです。


向こうから別の人がやってきました。  

その人は軽やかでした。  

笑いながら、夢や、喜び、希望、心の奥にある小さな真実を花びらにして撒き散らしました。


箱を抱えた人は立ち止まりました。  

撒かれた花びらが、足元で光っています。

放さなければ、重さは増すばかり。  

話さなければ、光は届きません。


二つの「はなす」が重なったとき、箱の蓋がひとりでに開きました。  

黒い影が舞い上がります。

過去の亡霊たちは、喜びの光に触れた途端、風に吹かれ消えたのです。

残された箱の中には、二つの言葉が残されていました。

「おかえり」「ありがとう」


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:はなさなければ


抱きしめる

小箱の中に 沈む声

誰にも見せず 誰にも渡さず


歩くたび

影が深まる 足元に

重さは過去の 言葉の化石


向こうから

花びら撒いて 来るひとが

笑っていたよ 風のようにね


踏みしめた

光る花びら 見つめれば

「話す」も「放す」も 同じ祈りか


蓋ひらく

黒いものたち 舞い上がり

光に触れて 風に溶けゆく


残された

箱の底には ふたつだけ

「おかえり」そして 「ありがとう」の声

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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