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僕が異世界転生するまでの30日間  作者: 小柳和也
二部 世界が終わりそうなので、昔の友達だけでも助けてみた 。

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日本滞在 6日目

 今まであえて触れていなかったが、家族の元にも一応寄ってみることにした。

 母親と妹がいるはずだ。変わらぬところの倒壊しそうな一軒家。平岸一丁目。


 死んでからあまり触れず、死んだあともあまり触れなかった家。

 小学校になってから移り住んだ家だった。

 小学生低学年の頃までは、新札幌の方に住んでいた。それより前は夕張市にいた。父親はいない。昔はいたけど、今は不倫相手と一緒にいるかもしれない。


 普通に感謝しており、普通の家族だと思っている。

 それでも死んでしまったときは寄らなかった。

 父親がいないから、最終的には、母親が六十七十過ぎた頃には自分がきちんと介護するなり、老人ホームにいってもらうなりするつもりではあった。


 申し訳なかったのかもしれない。

 死んでしまう前まで、なんの恩も返せず。

 いなくなってしまったことを。みてられなかったのかもしれない。


 異世界転生して十年以上経過して、ようやく。

 僕だけでは使いきれない資金を得て、ようやく。

 ようやく。

 僕は帰ってくることができた。帰ることの気持ちができた。


 だからすぐに気づく。

 僕は親に申し訳ないと思っていたのだ。


 せっかく産んでもらったのに。

 なんの恩も返せないまま死んでしまってごめんないさい、と。


 ようやくなにかしらを返せるようになって。

 僕はようやくこの家の前までやって来られた。


 そして現実は実に。

 本当に。

 常に残酷だ。


 別れた父親が出入りしていた。


 金を無心している。

 家では母の財布が放り出されている。

 妹が泣きながら母を叱責している。田村さんの彼氏が出入りしていた頃は落ち着いていたが、いまはだめらしい。


 そういう人間なのだ、あいつは。

 そういう人間の血が流れていることが嫌なのかもしれない。


 僕が終わらせないといけない。

 だからかもしれない。


 今の今まで近づかなかった理由は。

 もし。

 こんな状態のときに。あの父親がやってきていたら。


 僕はもう我慢しない。だから。

 そして。そして。そして。

 僕は父親の姿をみてしまった。

 その、あまりに当時と変わらぬ醜悪な姿を。


 精算しないといけない。

 親は選べない。

 子供として、親への責任を果たすことが、せめてもの。

 最後の親孝行だ。

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