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カッパにキュウリをあげたなら  作者: 天ノ風カイト


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カッパの洗濯と太陽柱

川から突然現れたカッパに驚き、オシッコを漏らしてしまったマミ。

するとカッパが、その汚した衣類を直ぐにキレイにしてやると言ったので、マミはカッパの言う事を信じて全裸になった・・・。


 マミがオシッコで濡らし汚した身に付けている衣類は、後はパンツと靴下だけとなった。

マミは迷わず、靴下を先に脱ぎ始めた。

それは、パンツを下ろして脱ぐ時に邪魔になると思ったのと・・・最も恥ずかしさを我慢しなくてはならない秘部を晒すのは最後にしたかったらからだった・・・。

マミは立ったまま、右脚の膝を胸に近付ける格好で足を上げると、左足でバランスを取りながら、両手で靴下を脱ぎ始めた。

それは、しなやかな身体(からだ)と、バランスが必要な体制だったが、マミにとっては何も難しく無かった。

そうして右足の靴下を脱ぐと、それも赤いジャージのズボンらと一緒に置き、直ぐに左足の靴下を脱ぎ始めた。

バランスを取るマミの白い太股には、西日で陰影を増した筋肉の動きが良く見えた。

そうしてマミは靴下は脱ぎ終えると、マミはパンツ1枚を身に付けただけの姿で立って居た。

その姿は、もう少し早い時間なら、川に飛び込もうとしてる子供にしか見えなかったかも知れない。

しかしマミは、パンツを脱ぐ為にそこに立って居た。

マミは、野外で全裸になるのは、誰にも見られて無いとしても恥ずかしかったし、したく無かったが、カッパを信じると決めてここまで脱いだ以上は最後までするしか無いと思った。

だからマミは、今更カッパに念を押す事はしなかった。

マミはオシッコでパンツの腰の部分に両手を掛けると、軽く両膝を曲げて、お辞儀をする様な動きでパンツをスルリと下げた。

そうして、一度、パンツを膝の下の所で止めると、両手でパンツの右の方を掴んで押さえ、右足を引き抜いた。

それから、左手でパンツの左側を掴むと、右足でバランスを取りながら、左足を少し内股気味にして踵を尻に近付け、背中の方に振り返った体制でパンツを引き抜いた。

マミは全裸になった。

それも家の近くの、いつもは仕事として使ってる川淵の洗い場で・・・。

ただ、マミは全裸にはなったが、その右手には、まだパンツを摘まんで持っていた。

カッパに洗って貰う予定の赤いジャージの上に、直ぐに重ねるのを躊躇(ためら)っていたのだ。

マミは両手でパンツ広げると、汚れ具合を確かめた・・・。

すると、顔を赤らめ、恥ずかしさと悲しさを織り混ぜた様な表現になった。

それから一度目を閉じると「ふぅ~」っと溜め息をついてから、手に持ってたパンツを赤いジャージのズボンらと一緒に重ねた。

一糸纏わぬマミは、脚を少し開いてスッと立って居た。

その姿からは、さっきまでの恥ずかしさや、悲しさなどは、何処かに捨ててしまったかの様な雰囲気があった。

まだ小学校4年生のマミの身体には、一般的に言う体毛は殆ど無かったが、脹ら脛や太股、陰部、両腕や顔・・・そうした部分から生えている産毛が西日に照らされて金色に輝いていた・・・。

マミの身体は全てに置いてシンプルな造形をしていたが、それが幼いながらも整った顔立ちを一層引き立てる役割を担っている様にも見えた・・・。

「カッパさん・・・全部、脱いだよ」

そう言ったマミの声は落ち着いていた。

それはカッパが振り返らないと信じてるからだった筈だったのだが、何かが違っていた。

マミは今、カッパが振り返り自分の一糸纏わぬ姿を見られたとしても、動じない自信があった。

それは、今のこの状況で、種族が違うとはいえ、男の直ぐ後ろで、自分から全裸になったからだった。

マミは自分でも気が付かない内に、一皮剥けていたのだ。

「よし、分かった」

カッパはそう言ったが、振り返りもしなかった。

「私が洗濯物を手で渡す?」

マミはそう言って、ジャージや下着を取ろうと思い、屈もうとした。

しかしカッパは「そんな必要は無い。お前さんは、そこで見てるだけで良い。直ぐに終わる」と言うと、左手を自分の耳の高さまで上げると、指を開いてから、その指を少し曲げて、何かを掴む様な動きをした。

すると・・・だった。

マミが脱いだ衣服が、纏まったままフワッと空中に浮いた。

「え?・・・ええ!?」っと、マミは声を上げ(なに?ちょうのうりょく!?)と、驚きの光景に目を見張った。

空中を移動するマミの衣服は、そのまま川に居るカッパの目の前へと行くと、一度止まった。

カッパは「ふ~ん・・・けっこう汚したな・・・しかし、オシッコだけみたいなもんだから、直ぐに終わる」と言った。

そんな事を言われたマミは、自分の衣類の汚した部分をジッと見るカッパの姿に恥ずかしさを覚えたものの、『直ぐに終わる』と言う言葉に、不安と期待とが高まった。

カッパはそれから左手の指を、まるでマミの衣服を掴んでるかの様な動きをした。

空中に浮いていたマミの衣類は、その手の動きに合わせて、川の中に落ちて、沈んだ。

それからカッパが、手首をクイッと捻ると・・・なんと、川の中に小さな渦が出来はじめた。

マミは少し歩いて自分の立ち位置を変えて、カッパのしてる事を良く見ようとしたのだが、その時に、コンクリートの窪みに残ってた溜まってたオシッコの上に足を置いてしまった・・・。

マミは足の裏や指にそれを感じて居たが、今は反れどころでは無かった。

カッパが作り出した渦の中では、マミの衣類が川の流れに流される事無く回っていた。

それは、言うなれば『川が洗濯機』になってる光景だった。

(ちょうのうりょくの洗濯機・・・?)

マミはそんな事を思って、たが、それは本当は有り得ない光景だった。

そもそも、カッパが居る事が有り得ないのだが、それが当たり前になってたマミにとっても、有り得ない光景だったので、マミはカッパのしてる事を夢中になって見た。

カッパは「こんなもんかな?」と、言うと、手首をクイッと上に上げた。

するとマミの衣服も、川の中に作られた小さな渦の中から、空中へと揚がって来た。

それからカッパは、もう一度、手首を捻ると、マミの衣類は空中で回転し始めた。

その回転軸は、カッパやマミに対して垂直だったので、徐々に高速回転する衣類から飛び散る水は、空中に四散したり、川面に当たって弾けた。

その光景にマミは(ちょうのうりょく脱水?)と、思った。

ものの20秒程で、衣類から飛び散る水は無くなった。

それを見たカッパは衣類は回転の速度を落とし止めると、衣類を空中に吊るす様にして並べた。

白いタオル、赤いジャージのズボン、白いTシャツ、白いパンツと靴下・・・・。

マミには、空中に見えないロープが張られ、自分の衣類がそこにぶら下げられてる様に見えた。

(次は・・・風で乾かすのかな?)と、マミが思った時だった。

マミの衣類の周りに、白い(もや)が表れ『ミシミシ!』っという音がしたかと思うと、マミの衣類は一瞬で氷付き、その表面には無数の霜柱が立った。

同時に衣類の辺りの靄はその粒を少し大きくしたので、空気の透明度を増した。

すると、そこに光の粒がキラキラと表れた。

(なに?・・・)「凄く・・・キレイ・・・」

空気中の水分が氷って作り出された氷の粒。

マミが生まれて初めて見たダイヤモンド・ダスト。

ダイヤモンド・ダストは、西日に輝きながら、金色の柱を作り出して見せた。

「光が・・・柱になって見える・・・!」

それはマミが大人になっても、ずっと忘れると事が無かった『生涯で一度だけ見た太陽柱(サンピラー)』だった・・・。

マミが一瞬の奇跡と感じてる光景だったが、カッパは振り返ってマミの姿を見る事ができなかったので、そんなマミの思いを知るよしも無く、作業の続きをした。

カッパは人差し指を立ててから、壁にある明かりのスイッチをチョンっと押すような仕草をした。

すると突然『バシ!』っという音がしたかと思うと、衣類の霜柱が弾け、白い氷の粉が空中に舞った。

マミは、ここまでも驚きの連続だったが、これにはちょっとした恐怖を感じ後退(あとずさ)ったので、足元のオシッコをピチャリと跳ねさせてしまった。

空中には、西日に照らされた氷の粉が花火の様に散った。

マミはさっきまでの恐怖を一瞬で忘れると「わあ~!」っと、声を上げて喜んだ。

カッパがマミの衣類と川水で作り出す、見た事の無い美しい光景に目を奪われ続けた。

次にカッパは、指先をピアノでも弾いてるかの様に動かした。

すると、マミの衣服は、空中でキレイに畳まれ始め、最後は全て纏まって重ねられた。

それから、重ねられた衣服は、マミの立つ、洗い場の台の汚れて無い所へと下ろされた・・・。

「ほらよ。これでキレイにに洗ったし、もう乾いてる」と、カッパは言った。

マミは「ええ?・・・本当に?」と言ってから、おずおずと重ねられた自分の衣服に触れた。

「本当に・・・キレイになって・・・乾いてる・・・!」

マミは「やったー!」っと言って跳び跳ねようとしたのだが「そこのオシッコを撥ね飛ばすなよ!」とカッパに言われて、ジャンプする寸前で動きを止めた。

カッパは「ああ・・・でも、お前さんもオシッコで汚れてるからな、ざっと水浴びした方が良いんじゃないか?」と言った。

マミは「それはそうなんだけど・・・」言った。

カッパは「じゃあ、川に入ってしまえば良い!俺らが居るから、お前さんが溺れる事はない。溺れそうになる前に俺らが助けてやるからな!」と言って、マミに川に入るよう促した。

マミは「う~ん」っと、考えた。

それは、親の言い付けを守らないって事で、約束を破るって事になるからだった。

しかし、カッパがせっかく洗ってくれた衣類を、オシッコで汚れた身体のままで着ては、結局は同じような事になるし、それにカッパに申し訳ないとも思った。

「分かった・・・・じゃあ、少しだけ、川に入る」

マミはそう言うと、洗い場の上流側にある階段から、川に足を入れた。

清流であるこの川の水は、このずっと上流にある小さな池かの底からの湧水だった。

湧水の多くは、通年で水温の変化が少ないという特徴があるが、ここも例外では無かったので、真夏にも関わらず川は冷たかった。

しかしそれでも、水が湧いてる所からここは離れてたので、川水が流れて来る間には、少し水温が上がっていたので、全裸になってたとはいえ蒸し暑い夕方に西日に当たってたマミには、心地よい水温だった。

「はぁ~・・・」(気持ちいい・・・!)

マミは、コンクリートの階段に生えてる苔に足を滑らせないように気を付けながら、階段を2段、降りた。

その階段は1段あたりの落差が大きな階段だったので、マミの身体は太股の半分まで川に浸かった。

(ここでなら、水浴びできるし・・・そんなに危なく無いかな?)

そう思ったマミは、膝を曲げて体を川に沈め、1段目に腰掛けた。

するとマミの身体は、腰の真ん中辺りのまでが川に入り、膨らみかけの胸が川面から出た格好になった。

マミは左後ろに居るカッパの方を見た。

カッパは、相変わらず川の中で立って居た。

それは、あれだけの不思議な事をしたとは思えない佇まいだったので、マミはそれはそれで別の意味で不思議に思えてしまい、カッパの後ろ姿を暫し見詰めた・・・。

しかし、ハッとして(・・・こんな、のんびりしてられない!)とマミは思った。

もう既に、マミがいつも野菜を洗って帰る時間よりも大分遅くなってる筈だったからだ。

ただ、一つ救いだったのは、まだ日が陰るには少し早かった。

今日はいつもよりも少し早い時間に仕事が終わってたのだ。

(でも、あまり遅くなると、お母さんが心配して、ここに来るかも知れない)

そう思ったマミは早速、簡単に水浴びを終える事にした。

両手で川水を掬い、顔を洗う。

汗と土埃で匂う髪も洗いたかったが、髪に水を含ませて帰る訳にはいかなかったので、我慢した。

それから両肩にも水を救って掛けた。

(あのカッパさんが凍らせたの・・・人の髪の毛もできるのかな?)

マミは両脇に水を掛けながら、そんな事を思ったが(でも、脳ミソや目玉まで凍らせられたら・・・・)と、そこまで考えた時、尻の始まり辺りから脳天に掛けての背筋が冷やっとし、ブルッっと体を震わせた。

そして、急に寒く感じた水温から身を守るようにして、両腕で自分を抱き締めた。

それから、恐る恐る、もう一度カッパの方を見た。

カッパは、空を見上げて居た。

マミはカッパのそんな姿に安心すると、体を洗う続きを始めようと思い直し、両手を後ろに回す様にして背中の方の階段に手を掛けると、尻を持ち上げ、階段を1段戻った。

そうして階段の1段めに腰掛けたマミは、座った体制の太股の半分程度が水に浸かった状態となった。

マミは少し脚を開いて前屈みになり両手で川水を救うと、両方の胸に水を掛けて、サッと擦ってから又水を掛け洗った。

それから腰周りや、柔軟な肩を使って背中もサッと洗うと、川水の中に少しだけ沈んでる腰から下も、洗おうと手を伸ばした。

マミは右脚を抱える様にして曲げ川面から外に出すと、その踵を階段の1段めに置いて大きく脚を開くとカッパの方をチラッと横目で見ながら、股関節周りと下腹部に手を伸ばすと、少し入念にピチャッピチャッと洗った・・・。

次にマミは上半身を右に傾けた。そうして左手を尻の方に伸ばし腰周りに川水を掛けて洗うと、更に体を横に倒して腰をくねらせると、川面から外に出た尻の谷間に指を入れて洗った。

それから太股から脹ら脛、爪先にまで手を伸ばして洗うと、右足を川水に戻し、次に左足も同じ様にして洗ったのだった。

こうしてマミは、髪の毛以外は全て洗い終えた。

ここまで体の隅々まで洗えるとは思って無かったマミは、余計に髪を洗いたくなったが、そこは我慢せざるを得なかったのが残念だった。

階段を上って洗い場の台に上がると、手を使って皮膚の水をピッピッと切った。それから全身をブルブルと振って、同じく水を切ろうとした。

しかし、そんな程度の事で、体に付いた水がキレイにとれるなら、タオル等は要らないと思ったマミは(そうだった。私、タオルを持って来てたんだ!)と、思い出した。

それでカッパに洗って乾かしてもらったタオルを、畳まれた衣類の中から取り出した。

「凄い・・・本当に乾いてる・・・・凄い」マミは、そう言いながら、体をくまなく拭いた。

それから、直ぐにパンツを履いて、靴下を履いて・・・・と、続けて服を着ると、こちらは洗って無い長靴を履いた。

マミは(長靴に着いたオシッコは・・・家の庭の井戸水でさっと流そう)と、思った。

マミは、体を拭いて濡れてしまったタオルを首から掛け、最後に麦わら帽子を手に取った。

「カッパさん。・・・・もう良いよ!」

マミがそう言うと、カッパは「おう!」と言ってマミの方へと振り返った。

カッパと目が合ったマミは、自分でどうしてそうなるのか分からないが、赤面してしまうのが分かった。

それでマミは照れ隠しをしようと、サッと麦わら帽子被り、そのツバで顔を隠しながら顎紐を結ぼうとしたのだが・・・いつもなら簡単に絞められる筈の顎紐をなかなか結べなくて焦った。

「あれ?・・・あれれ?」(どうして、こんな簡単な事が・・・?)とマミは、たった今キレイに洗い流した皮膚の表面が、自分の汗で湿ってくるのを感じた。

カッパは「じゃあな!俺らはもう帰るから。後は、そこのオシッコを踏まないように帰れよな!」と、言ってハハハっと笑った。

マミは「え!?」と、またしても顔から火が出そうな程に赤面したが、その顔を見られると困る相手であるカッパの姿は、マミが顔を上げた時には、もうどこにも無かった・・・。


(もう・・・帰ったの?)

「あの・・・カッパさん・・・ありがとう。明日(あした)も会えるよね?」


マミが川風にそっとのせた言葉は、カッパに届く事は無かった・・・。

しかし、マミが気付かない深層心理には届いたのかも知れなかった・・・。


川の静かなせせらぎに包まれ、マミは一人、そっと微笑むと、コンクリートの窪みに溜まった自分のオシッコを踏まない様に気を付けながら、洗った野菜の入った竹籠を手に取った。

そうして、家へ帰ろうと土手の細道を上り掛けた時。

マミは振り返って、コンクリートの洗い場を見た。

そして「明日のお昼にでも、バケツを持って来て、ちゃんと、ここを洗い流さないとな・・・」と呟いた。

それからマミは、重い竹籠を両手で持ちながら、細道をノシノシと上って行った。

辺りは今日も、夕焼けに包まれようとしていた・・・。


 つ づ く


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