新たな任務
二人は驚いた顔で私を見る。
「えっと…最初の予定はこう、
双星学園が襲撃されたら我々が乱入して助けるって構図
でもそうすると生徒達の身の安全を完全には保証できない」
「まあ…襲撃されてからじゃないとこっちが動けないからね」
「私が考えたのはこう!先に双星を私達が襲って、
生徒を安全な場所に避難する
で、教師陣に本部に連絡しないよう脅すの!
そしてネメシスをブラックホール団で迎撃…!
これならヒーローも来ないし
生徒達の安全も守られて一石二鳥じゃない!」
「明らかに人手が足りなさすぎる!
いくら僕たちが参戦するからって多勢に無勢だろ」
「なら、教師陣ややる気のある生徒にも戦いに参加して貰ったらどうでしょう?
学園の為ならきっと皆戦ってくれますよ!俺もそうするし!」
フユキが無邪気に言い放つ。
「で…でも…!君はいいのか!?
レッドとかと敵対する事になるかもしれないんだぞ!」
「ええ、いいわ!
この方法が一番犠牲が小さくて済みそうなんですもの
…私はヒーローじゃないわ、悪の令嬢リリアなの
どんな悪い事だってやるし、またレッドと敵対したって構わない
嫌われることが怖くて目的を見失うなんて絶対嫌!」
私が言うと、フユキは嬉しそうに歓声を上げ、
ウリュウは深く深くため息を吐く。
「…あーあ…君って本当に変な奴」
ウリュウは頭を抱えながら呆れたように言う。
「ええ!?いい案だと思ったのに!
そんなにダメダメな作戦だった…?」
「だめではないですけど…流石に突飛だなって俺も思いました!」
フユキが笑顔で言い放つと、ウリュウは少しだけ笑いながら
「突飛だけど…いいね、その案気に入った
地球人からの反感は買うだろうが
うまくやれば犠牲は小さく済みそうだ
やってみよう」
と言った。
「やったー!うふふ、大丈夫よ
たとえ反感を買ってもネメシスが本当に襲ってくれば
双星の皆はきっとあなたに感謝するわ!」
その言葉にウリュウは顔を顰める。
「だから!僕の評価とかはどうでもいいんだってば…!
…はあ…ミカゲ君とシノ君にも話し通さなきゃな…」
気が重そうながら、ウリュウの顔は少し嬉しそうだった。
「それにしてもフユキ…あんた双星の襲撃の事知ってたの?
話し合いに参加してたからびっくりしたわよ」
「いえ!なんか話の流れで適当に思ったことを言ってただけなので
事情はよく知らなかったです!」
彼の言葉に私は絶句する。
この子…こういうとこもあるから侮れないのよね…
流石は主人公、その場その場の立ち回りが上手いと言うかなんというか…
「でも、今日のリリア様かっこよかったです!
きっとナギ君もリリア様の頑張りを聞いたら喜んでくれると思いますよ!」
「そうだといいな…
あ!そうだウリュウ様、今日ちょっと驚いた事があって…」
「何?」
「ネメシスの団員の中にね…
未来のブラックホール団幹部がいたのよ」
私がそれを伝えると、彼は自分の顎を押さえながら考え込む。
「それは…まあ、ない話じゃないか…
君の話を聞くに、
ネメシスとブラックホール団は元々
手を組んでいた様だし…
どんな奴なの?そいつ」
「えっと…まだ子供なんだけど、能力が強いの
何かを身代わりにする事で人や物を治せる能力を持ってる
…アニメでは拷問に悪用してたけど…」
それを聞いてウリュウは目を光らせる。
「それ…かなり使えるじゃないか!」
「え…ああ、まあ…凄い能力よね」
ウリュウは立ち上がり、机から身を乗り出す。
「それだけじゃない!ナギの事もその子なら治せるかもしれない!」
「えっ!」
考えもしなかった…!
確かに彼の能力を使えばナギが目を覚ますかもしれないわ!
「顔は解るの?」
「ええまあ…」
「なら君に新たなミッションを言い渡す
双星襲撃及び、防衛を成功させ…
その子供をここへ拉致して来い」
「…はあ!?」
「どうした?目的達成の為なら
どんな悪い事でもするんだろ」
「そりゃ…言ったけど…!」
当日彼が来るかも解らないし、
拉致なんてあまりにも物騒…!
でもまあ襲撃も物騒だから今更か…!
双星襲撃…一体どうなっちゃうの!?