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フユキとゆかりの戦い

模擬戦闘ブースに来てみると、

フユキがゆかりと睨み合っている。


場外にはどこからこの戦闘を聞きつけたのかそこそこの人数の野次馬が集まっていた。


「どういう状況?」


凛太朗が小声で言う。


「私も良く解らないけど…どっちが正しいか決める為に

 あの二人が戦うんですって」


「へー、変なの」


「リリア!」


突如、ナギの声が響き声の方向を向くと、

ナギは人をかき分けた後こちらに速足で近付き


「…レッド先生…リリアと無理に一緒にいる事ないでしょ

 何してるんですか?」


と言って凛太朗を睨む。


「無理?してないけど…?

 君って彼女の何?彼氏?」


凛太朗はこの状況を「面白い」と判断したのか

そう言って悪戯な笑みを浮かべる。


「ちょっと…!やめなさいよ!」


「そう…だよ!彼氏だからリリアに近づくな!

 あんたの事はヒーローとしては尊敬してるけど…!

 それとこれとは話が別だから…!」


「はい!?」


2人は暫く睨み合った後、

「…ふっ」

と凛太朗が噴き出す。


「あはははははは!かっわいー!嘘までついちゃって必死じゃん彼!」


凛太朗がそう言ってケラケラと笑うと、

ナギは何が起こったのか解らないと言った様子で

顔を真っ赤にして固まっている。


「…この人、レッド先生じゃないの…弟の凛太朗って人…

 能力は嘘を見抜く能力…」


「水を操る」のは知らない体だし黙っておこうっと…


「は!?弟!?似すぎだろ!」


「双子だもん!大丈夫だよ、俺と彼女はさっき会ったばかりで『今は』何の関係もないから」


彼はナギを焚き付けて面白がっているのか、わざと彼が引っかかりそうな言い回しをする。


「リリア、俺こいつも嫌いかも」


ナギはそう言って彼を再び睨んだ。

…確かに、アニメでもこの2人は相性悪かったな…

真面目なブラックに軽薄なブルーがちょっかい出してよく揉めてたっけ。


「皆、もうちょっと離れてねー」


ナギたちが睨み合っていると、レッドが現れて穏やかな声で言いながら生徒達を後ろに下げる。


「金髪の彼は音を操る能力なので、大きい音に気を付けてね」


彼はそう言って生徒達に微笑むと耳栓をしながら

模擬戦闘スペースに上がり込んだ。


「二人とも、準備は出来てる?」


睨み合う二人にレッド先生が訪ねると、二人は


「「はい!」」

と大きな声で返事する。


「それじゃ、初めて」


彼はそれだけ言うと模擬戦闘スペースの端で二人を凝視し始めた。


先に動いたのはレッドの時と同じくゆかりの方だった。


彼はマイクを取り出すと大きな声でフユキに音波を放つ。


フユキは少し顔を顰めながらも簡単に避けると、

「銃」らしきものを取り出して彼に構えた。


「銃?え、本物…?」

私がうろたえると


「違うよ、練習用のゴム弾…ダガーもゴムでしょ?

 銃も偽物

 でも意外だね、レッド先生と一緒に修行してたって聞いてたのに

 ダガーじゃなくって銃を使うなんて」

とナギが解説してくれる。


フユキが銃を縁に何発か撃ち込むも、

縁に当たるどころか狙いが定まらずゴム弾は何もない地面に衝突する。


「なるほど?俺に近付きたくないから銃で挑もうって訳

 でも銃ってまず当たんねえんだよなー、

 確実に当てるには…『近寄らないと』話にならないぜ」


ゆかりはそう言って挑発的な眼差しをフユキに向けた。


フユキは少し距離を詰め、再び彼に銃を撃つが、

縁は軌道を読んで避けると、マイクをダガーを持ち替え

フユキに斬りかかる。


フユキも慌ててダガーに持ち替えると、二人のダガーの刃が交差した。


なんか…フユキの様子…変?


「お前、吸収出来るのは『衝撃』だけで

 刃物にはめっぽう弱いよな?

 俺、ダガーって結構得意なんだよね」


「…ゆかり君、ベラベラしゃべり過ぎじゃない?うるさいよ」


二人は何度か打ち合うと、

ゆかりが距離を詰めて再び撃ち込んだかと思うと、

刃と刃が衝突したその時に、「何か」が二人の間で爆発する。


多分爆発したのは「音」だ。

刃と刃の衝撃音を縁が増幅させて衝撃に変えたのかもしれない。


…あれ?でもおかしい

フユキって…衝撃が効かない筈…


フユキはそれに驚いたのか後ろによろけると、その隙に縁は彼の喉元にダガーを突きつける。


「あ…はは、俺の負」


「…何してんだよ」


フユキが「敗北宣言」をする前に、ゆかりがそう言い放つ。


「何って…」


「お前、何で能力使わないの」

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