リリア、フラれる…?
授業中、やっぱり焔…いえ、レッドは普通だった。
別にいつもと違って私にだけきつく当たる訳でも、
無視される訳でもない。
…いや、十分優遇されてるわよね
本来なら異星人がいるってヒーロー本部に突き出されてもおかしくないんだもの。
「大丈夫?なんかぼーっとしてるけど」
急に声をかけられ、私は思わず「うわっ」と小さい悲鳴をあげる。
声の方向には心配そうに私を見つめるゆかりがいた。
あれ…彼、いつもはナギやフユキと先頭を走ってるのに
もしかして私が心配でペースを合わせてくれた…とか?
「あのさ…この前の事の続きなんだけど」
この前?ど、どれの事…?
ここに来てから色々起こりすぎてて…
「今日終わったら話せる?」
「えっ…と…そう…ね」
私放課後は
フユキと話したいと思ってたのよね…
約束した訳じゃないけどあんまり後回しにしたくもないし…
「えっと…夕方でもいい?
午後はちょっと話したい人がいて…」
「いいよ、2階端の空き教室で待ってる」
彼はそう言うとまた先頭の方まで追い上げていった。
…本当に優秀なのね、彼。
「ねえ聞いた?レッド先生の噂」
レッドの…?
ゆかりが先頭の方に消えた後、
女子の噂話が耳に入り「レッド」と言うキーワードに思わず耳が反応する。
「レッド先生…双星の可愛い子達手あたり次第ナンパしてるらしいよ?」
「うっそ意外~!されたーい!」
な…ナンパあ!?何やってるのよあいつ…!
…いや、良くないわ、駄目よ!授業に集中しなきゃ…!
もうレッドと私は関係ないんだから!!!
授業が終わると、私はフユキに声をかける。
「フユキ!この後少しだけ時間いいかしら…?」
「あー…まあ大丈夫だと思います!
レッド先生とも約束してる訳じゃないので!」
私は彼の答えを聞くとフユキを連れて人気の無い場所に向かおうとする。
「リリア…?そんな奴と2人になってどうするの」
すると近くにいたナギが訝しげに言い放つ。
「ちょ、ちょっと話すだけ!
言っておくけど…ついて来ちゃ駄目よ」
「…わかったよ」
ナギは口を尖らせて言うとそのまま教室を出て行った。
私は彼を見送ると、フユキの手を取り
「フユキ、裏庭に行きましょ」
と言って歩き出した。
…
「話って何ですか?リリア様」
裏庭に着くなりわくわくとした様子でフユキが言う。
…?誰もいない…わよね
何だか異様な気配…見られてる感じがするというか
気のせいかしら。
「…前の告白の事…なあなあに流して悪い事したなって…」
「なんだ、そんな事ですか
あ!て事はお返事聞けるんですね!
やっぱり俺が一番
良かったって感じですか!?」
彼は目を輝かせながら詰め寄る。
「ちょ…勝手に話を進めないでよ!
…私、あなたに失礼な事してたの…
ちゃんと男性として見てなかったというか
…いえ、もっと前段階かも
好きなアイドルみたいな目線で見ていたと言うか…」
「…あー…確かになんか、
リリア様って俺の事絶対好きではあるんだろうけど
ときめいてるっていうか
萌えてるって言うんですか?ああいうの
そんな感じはしてました!」
ああ…フユキにもバレバレ…!
「…そんな訳だから、ちゃんと個人として見る時間が欲しいのよ…
返事はその後でもいいかしら?」
「それって、改めて俺が好きってなったら
一緒にいてくれるって事ですよね!
嬉しいです!」
「うわ!?」
彼はそう言って私に抱きつく。
まだOKしてないのにされた様なテンションなんですけど…!?
「ちょ、ちょっと離れなさいよ!
あんたってなんでそう
男女問わず抱きつくかな!」
「嬉しいとかが溢れるとギュッてしたくなりません?」
「ならないわよ!」
そういえばアニメでもあかりや若葉ちゃんに抱きついてたっけ…
でもなんかこの子下心を感じさせないから不思議と拒む気にもなれないのよねー…
…ん?何だか妙な胸騒ぎが…
やっぱり誰かに見られているような…
「おい…何やってんだ」
声と共に、物陰から人が現れる。
げっ…ゆかり!?
「何でここに…2階で待ってたんじゃ…!」
「授業終わりにフユキに声かけてたの見てたから…
気になって…つい」
何してんのよこいつ!
「えー?趣味わりーなー
いちゃついてたんですから邪魔しないで下さい」
怪訝な表情でフユキが縁に言い放つ。
「はあ!?イチャついてなんか無いわよ!」
「ゆかり君は何しに着いて来たんです?」
「俺もリリアの告白の件に返事しようと思ってて…!そしたらお前と出ていくのが見えたから」
うわ… そういえばそうだった!
最近のゆかりは真面目にやってるし別に嫌いじゃないんだけど、
今付き合うとかそんな話になったらややこしい事になるわよ!?
「あ、あーっと…」
「フユキの前で悪いけど…!
今、返事してもいいかな」
私は助けを求める様にフユキの顔を見る。
「俺はいいですよ!」
彼が満面の笑みでそう答えるので、私は口角を引き攣らせながら「どうぞ」と返した。
「リリアの事は好きだけど…ごめん、
やっぱり付き合うとかは無理だ」