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ウリュウの秘密

どうして秘密を教える気になったか……

それはリリア……いや、真理愛の反応が見たいからだった。


真理愛は少し戸惑った顔をした後、

「何よ急に、嫌がってた癖に」

と答える。


最近、こいつは少し僕に心を許してきている。

そろそろいい機会だ、この辺で突き放しておかないと。


「僕は地球人と異星人のハーフなんだよ」


……かつて、婚約を破棄された程の致命的な秘密。

真理愛はどうせ「いいじゃない!」とか呑気な事を言うのだろう。

なんせ「異星人と地球人が仲良くできる」なんて本気で思ってるんだから。


僕が服を脱ぎはじめると、真理愛は赤い顔で「なぁっ!?」と悲鳴を上げる。

本当に嫌なら逃げればいいだけの事、僕は彼女の反応を気に留めずそのままシャツをたくし上げ、


「このお腹のとこ……

幼い頃に知らない人に刺された傷。

……この傷は叔父につけられたもの、これがどういう事かわかる?」

と尋ねる。


「へ……えと……解らない……何なの?」


「異星人は君が思ってるより地球人を憎んでるってこと。だから言ったろ、『夢物語』こちらから歩み寄れば表面上は仲良く出来るだろうが、あくまで強く根付いた不信感は拭えない。

……それは、地球人でも異星人でもある僕が一番良く知ってる」


真理愛の耳元で囁くと、彼女は驚いた表情をしながら震えている。


「……君に期待なんかしてない、調子に乗るなよ

僕は君が嫌いだ、簡単に地球人と仲良くできるって楽観してる馬鹿な所がね。

僕はあくまで利害が一致してるから君に手を貸してるだけ……今日みたいに馴れ馴れしくされるのは迷惑だ」


そう続けると、真理愛は僕の方を少しだけ見て

「でも……秘密は教えてくれたし、私……貴方に嫌われてようがなんだろうが、結構感謝してるのよ……」

と言ってまた視線を逸らす。


「真理愛、感謝してるならしっかり仕事をこなせ。僕は上司であって君の友達じゃない。

裏切ったら殺す……仲良くなって温情をかけてもらおうとか、ちゃちなことは考えるなよ」


僕はそう言って真理愛を突き放すと、

服を着込んで自室に戻った。

リリアは何か思い詰めた様な顔をしながらその場に立ち尽くしていた。


ーーー


……翌朝、リリアは髪をとかしながらむくれていた。


あの顔しか取り柄の無いひねくれ男め、

最近やっと心を許しかけていたのにあんなにはっきり「嫌い」だなんて言わなくてもいいだろう。


焔に正体がバレたのは私が悪いし、盗み聞きだって良くはなかったが……!

だからってあんなに冷たくされる筋合いはない。


……しかし、怒っていても泣いていても明後日には潜入があるし、さらにちょっと先には双星襲撃。

しかもその結果如何によって、私はシノかウリュウと婚約しないといけないかもしれない。


何がどう転んだってあの2人とは付き合うものか。

加えて今日フユキに会ったらちゃんと告白の返事言わなければいけない上、あかりにも話をしなければいけない……

やることがいっぱいありすぎて目が回りそうだ。


ウリュウの事は腹が立つが、今は目の前の事に集中しなければ。


★★★★★


朝、ウリュウに挨拶を済ませると、ナギの顔をちらっと横目で見る。

少し気まずい、告白された後でどう接したらいいのか……


「リリア、大丈夫?今日ウリュウ様と話してる時様子が変だったけど……」


「はい!?だだだだ……大丈夫に決まってるじゃない!」


ウリュウに昨日あんな事を言われて普通に出来る訳がない……!

ナギとは告白の件で少し気まずいし、

私の心が休まる時は無いのだろうか……?


「もしかして……何か緊張してる?

もしかして俺が告白したから……?」


図星を突かれ、私はびくりと体を震わせる。


ナギは私の手を取ると、

「大丈夫だよ、俺は普段通りだから...…しんどい時は俺に言って?」

と言って微笑む。


や、優しい...…!


「ありがとう…...」


私は顔を逸らしながらお礼を言った。

しかし緊張するなと言われても難しい。

こんな異性に優しくされた事はあまりないのだ。

変に意識してしまう。


「ナギくーん!リリア様ー!一緒に登校しましょ!」


「おわ!?!?」


学校までの道中を歩いていると、

フユキが元気に走り寄って来る。


こんなのはいつもの事なのだが……

推しフィルターを外して見ると覚悟した以上話すのに勇気がいる。


「何ですか?俺を見るなりおばけみたいに叫んで…...怖いくらい好きって事ですか!?」


「ちげえだろ。お前また何かデリカシー無い事したんじゃないの」

ナギが呆れた様子で言う。


「えー?してないですよー告白はしましたけど!」

フユキはそう言って無邪気ににっこり笑う。


「はああぁ!?告白!?うそマジで!?」


「はい!多分俺が一番乗りです!

ってことは俺が一番リリア様を好きって事ですよねー!」


ナギが私に告白した事等知る由もない彼は、楽しそうに言い放つ。

ああ……寄りにもよって一番知られたくない相手に

あっけらかんとバラされてしまった…...!


「告白の順番に気持ちの大きさは関係ねえから!

俺やっぱお前の事嫌い!」


最近多少仲良くなったと思ったらまた険悪に…...

フユキの告白の返事、ナギのいる所では流石に難しいな。

放課後隙を見つけて声を掛けなければ。

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