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焔の葛藤とノンデリ

リリア達が若葉と話していた頃、焔は時計を見て立ち尽くしていた。


「……」


何で俺は待ってるんだろう?

来たってどうしたらいいか解らないだろうに。

改めて「異星人」だって告白でもして欲しかったのか?

問い正したら何とかなるとでも?


……戦う勇気もない癖に……


「多分来ないと思いますよ」


俺が考え込んでいると、背後からにゅっと冬樹が出て来る。


「うわ!急に出て来るなよ!」


「ひどいですねー、どうせ居残りさせられると思ってこっちから来たのに。リリア様、女装したナギくんとどっか行っちゃいましたよ?

今日は先生のとこには来ないと思います」


女装……?なんだってナギ君はそんな事を……


「そ、そうなんですねー……?別に待っていた訳じゃなかったけど良かったです。」


「というか、多分明日も明後日も来ませんよ!先生がリリア様のこと聞いちゃったの、バレてますから!」


俺は冬樹の言葉を聞いた瞬間、凍り付く。

……バレてた……?


「やっぱり盗み聞きしてたんですね?

ひどいなー、正直に言ってくれたらこんなに拗れなかったのに」


「戻って来た時にはそういう話になってたんだよ……!

あんな状況で入って行けるわけ……!」


「大丈夫ですよ、皆分かってます。

先生がリリア様の存在に戸惑ってる事も、それが本来ヒーローとして正しい事だって事も。」


「君、リリアと仲良いんだろ?その様子だと彼女の事情も知ってたみたいだし……

何でヒーロー志望の癖に受け入れてるのか聞いてもいい?」


「俺が受け入れてるのはあの人の立場じゃなくってあの人自身ですから!

ヒーロー志望とかそんなの関係ないです。」


「はは……柔軟なんだね、敵は……敵だろ?」


どんな人間だろうが、立場は「敵」。

そうだ、俺の考えは間違ってない。


「今はそうかもしれませんけど……敵じゃなくなる可能性だってありますから!」


「子供だな……冬樹は。

そんな夢みたいな話本気で信じてるの?」


「子供なのはそっちじゃないですか~!

俺の意見を否定して『リリア様との関係が決裂した理由』を納得しようとしてます、ズルいです!」


「な!?」


意外と……痛いとこ突くんだよな、こいつ……!


「レッド先生の選択が悪いなんて誰も思ってませんよ。許容できる人もいればそうでない人もいる……

それって駄目な事ですか?先生はヒーローとして拒絶を選んだってだけの話でしょ?」


そこまで解っていて、どうして冬樹はリリアと一緒にいれるのだろう。


「あーそう!そんなにリリアの方に付きたいならそうすれば!?」


「俺はリリア様の方にも付くしレッド先生の方にも付きますよ!

レッド先生に強くしてもらってー、リリア様を守ってあげるんです!」


「……は?」


理解が……できない。

何言ってるんだこいつ……サイコなのか?


「なので今日もしごいていいですよ!ほらほら!」


「ま、待って!何でそうなるの!?

敵を守るために君の育成をするなんて嫌なんだけど!」


「でも俺、強くしてもらったらレッド先生の為にも戦いますよ?」


冬樹がヒーローになってくれたら心強いが、色んな前提を無視されているような気がする。


「大丈夫です!レッド先生はリリア様が異星人なのが嫌なんですよね?

もう一緒に居たくないんですもんね?」


「え……まあ……うん」


当たり前だ、敵なんかといて……何になるというのか。


「それなら俺がリリア様を守ってあげるし幸せにしてあげます!そしたらレッド先生ももうリリア様の心配しなくて良くなるしー、強いヒーローも育成出来て一石二鳥です!

俺って頭いいでしょー!?」


こいつは俺がどんな思いでリリアの事を考えてるかとか、

色々無視し過ぎではないだろうか?

怒りを通り越していっそ恐ろしい。


「も、もっと何か無いの?俺にリリアは敵じゃないって説得するとか……」


「駄目ですよ」


冬樹はいつもの笑顔を消して、俺の顔を真っ直ぐ見つめて言う。


「俺に考えを委ねるのも……優柔不断に揺れるのも。

リリア様を傷つけるだけです、やめて下さい」


「……!」


「敵なのに中途半端に優しくしたり、味方なのに中途半端に拒絶したり。

そんな事したら俺、レッド先生の事嫌いになります。

あなたは敵対を選ぼうとしてる……それを否定する気はありません。これからどうするかも俺じゃなくて自分で決めなきゃ意味ないです」


そんなのは、俺が一番良く解っている。

彼女は敵、こんなに気になるなんておかしいのに……

切り捨てたいのに、できないのが情けない。


「……俺は……!」


「……でっ!それはそれとしてー、今日のトレーニングメニューは何ですか!?

今日はすっごくやる気が出てるので厳しくてもいいですよ!」


さっきまでのシリアストーンと一変して、冬樹は明るく言い放つ。


「え!?い、いや……!何でそんなにやる気あるの!?」


「あ、聞いちゃいますー?俺昨日……なんと!リリア様に告白したんです!

ずっと一緒に居ましょうねって!早く強くなってリリア様に振り向いてもらわなきゃ!」


告……白?


告白って言ったのか……!?


「はあああああぁぁ!?」


「うわー燃えてる!水、誰か水を―!」

ゆかりが(みどり)に見えると何人かの知人に教えて頂いたので

縁→ゆかり 表記に変更予定です。

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