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「なんで……なんでそんなこと……!」


「俺、ちょっと特別な存在でね。あんたの素性もばっちり知ってんだよ、リリア=グレイシャさん。」


特別な存在……?

素性も知ってるって、どういうことだろう?

ピンクの能力は「爆破」……

実際今日も使ってたし、

シノのように心を読んだわけでは無いはず。


「君、焔君に近づいて何する気?

懐に入っていざって時に裏切ろうってか」


「ピンクさん!リリア様はそんなことしないです!」


フユキが彼女に言い放つ。

ピンクは不敵に笑って「はーん……?」等呟くと


()()()()まで手籠めにしちゃってる訳」

と続けた。


今、ピンクは「ホワイト」と言ったのか!?

どうしてこの人はこの世界で生まれ育ったはずなのに、いずれフユキがホワイトになるって未来のことを知ってるのだろう?


「リリア様もこの前俺の事『ホワイト』って呼んでました。何なんですかそれ?俺のあだ名ですか?」


冷静に考えよう、ピンクは確実に「能力」を持っている。

そこは原作と変わっていない……

しかし、一つ「不可解」なことがあったとするならピンクの変容は一つの鍵だ。


原作のピンクは不器用で料理もままならない普通の女の子。

けれど、このピンクは手当てが上手で、私の疲労を見破れる程度には医療的な知識にも長けている。


そして、何より未来の事を知っている……!

自信は無いが……


「あなた、転生者なんじゃない?」


私が恐る恐る口にすると、彼女は一瞬固まってから

「何でそれを……!?」

と言って目を丸くする。


なるほど、だから2期のラスボスである私を警戒していたんだ。

しかしこれはピンチに見せかけたチャンスではないだろうか?

同じ境遇なら、話せばわかってくれるかもしれない。


「私も転生者なの!それにヒーロー側を貶める意図だってないわ!少し話さないかしら!」


私が言うとピンクは銃を降ろし、

「君も……?」と呟いた。


ーーーーー


私は、今までのウリュウとのやりとりや変えて来た未来について話した。


「わあ……君、結構やってんな……」


「私だけのせいじゃないでしょ!?

こっちだってせいいっぱいやってるのよ!」


「あの、さっきから何の話してるんです?」


フユキが眉をひそめながら言う。


「あー……フユキ君は解らなくていいよ!主人公に変なこと吹き込みたくねえし……」


「とにかくわかった?私はヒーローの敵って訳じゃないの!そう言うあなたこそどうなのよ?

グリーンが『佐伯若葉』じゃなくなってるのとか、あなたの仕業なんじゃないでしょうね?」


「ありえんわ!若葉ちゃんは俺の最推しだぞ!?

君の方こそガンガン原作改変させて、若葉ちゃんを追い出したんじゃないだろうな!

ほらいるじゃん、コズミック7に女はいらないとか言う女性視聴者!」


「はあ!?それこそあり得ない!

私は女子メンバーも愛してたわよ!……そういやあなたって、女らしくないわよね。」


見た目は美少女の「コズミックピンク」だが……

医療知識があっておじさん臭い言動が目立つ。


「つまるとこ40代男性の医者って感じ?」


「ブッブー!俺は享年33歳でしたっ」


「似たようなもんじゃない」


「30代と40代は全然違うの!

君は……若そうだな、一見リリアと変化が無いように見えたし。」


「私は受験生だったの、14歳……リリアと同い年」


「そんなに早く……病気かい?」


「いいえ、海に落ちたんだと思う。」


「そうか、可哀想に……」


ピンクが言った後、レッドが扉を叩く


「ねー、何で閉まってるの?」


「やべ、焔君帰ってきた!これやる、後でまたゆっくり話そうぜ。」


ピンクはそう言うと私に名刺を渡してきた。

「桃園あかり」アニメじゃ明かされてなかったが、可愛い本名だ。


「ごめんごめん!ちょっとリリアちゃまの心臓の音とか診てたから鍵閉めちゃったんだ。」


「え!?……冬樹もいるのに?」


「あー……冬樹君はほら、女の子に興味無さそうだし。」


「俺、ずっとここに居ましたけど二人が何話してるんだかさっぱりで……

あれでどうやって心臓の音が解るんですか?」


「しー!黙ってろ!あ……はは……

焔君はこの後予定があるのかな?」


引き攣った笑顔でピンクが焔に尋ねる。


「何も無いから帰るだけ。

でもリリアと冬樹に挨拶してから帰ろうと思ってたし……」


焔はそう言ってちらっとフユキと私の方を見る。


「そう言えば二人とも最近よく一緒にいるわね!もしかして仲良くなった?」


私はずっと気になっていたフユキと焔の関係に探りを入れてみた。

原作通りいくなら、そろそろフユキが焔に弟子入りする頃だと思うのだが……


二人は一度顔を見合わせると、

「そんなんじゃないですよー!聞いて下さい二人とも!酷いんです。

レッド先生ってば俺だけ居残りで訓練させたりして来るんですよ!これっていじめなんじゃないですかー!?」

とフユキが訴える。


かなり気に入られているようだ……

レッドは既にフユキの才能に目を付けてる、

何かトリガーがあれば原作通りの師弟関係が見れるかもしれない。


「冬樹、運動神経も能力もかなりいいんだ。伸ばしてやりたいんだけど授業だけじゃどうしても彼のポテンシャルを鍛えきれなくて……」


「そうそう!そうなの!フユキってすごいのよ!とっても優秀なんだから!」


誇るように私が言う。

フユキはそれを聞いて珍しく黙り込み、照れ臭そうに笑って目を伏せた。


焔はそんな様子のフユキを微笑ましく眺めながら、包帯を巻いた腕をさすっている。


「そうだレッド、さっき途中だったし

その傷また冷やしましょうか?」


私がそう言って彼に触れようとした時、

思いきり手を弾かれてしまった。


「……え」


「ちょっと焔君……!どうしたのさそんな急に……!」


「ご、ごめん!大丈夫だよ、もう腕は痛くないから。じゃあ俺、もう帰るね。」


焔はそう言ってそそくさと医務室を出てしまった。


私は はたかれた手を宙に止めたまま、驚いて固まってしまっていた。


「あー……リリアちゃま?

焔君も思春期だから!安易に触れられたくない時だってあるって!どんまいどんまい、気にしちゃ駄目だよ!」


ピンクが必死に私を慰める。

……そうだ、たまたま……偶然驚いてはたかれただけ……


「全然気にしてないわ!私が急に触ろうとしたのが悪いの、大丈夫よ」


私がそう言って満面の笑みで返すと、フユキが

「多分なんですけど……レッド先生お二人の会話をずっと聞いてたと思いますよ。」

と、言い放つ。


「……うそ」

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