表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/242

幹部の矜恃

「あの……焔、それ……なんか、告白みたいに聞こえるんですけど……?」


焔の顔が見れず、俯きながら言うと焔は少し燃えながら

「は!?告白!?俺がいつそんなことしたわけ!?」

と言う。


「え……逆にさっきのが告白じゃなかったらなんなの?」


「こうだったらいいなっていう希望を述べただけ。

告白じゃないもん!別にリリアのこと好きとか言ってないし。」


(何よそれ……)


「あっそ、人には1番好きでいて欲しいとか言う割に別に私のことは好きではないと言いたいわけ……そっちがその気ならいいわ、早く帰ったらどうなの。」


私がジトりと焔を睨みながらドアを閉めようとすると、焔は足を挟み

「好きじゃないとは別に言ってないだろ!

ただなんかこう……勝手にリリアは俺が1番好きだと思ってたから、婚約者がいるって聞いてびっくりしたというか?聞いてないっていうか……」

と呟く。


「別にウリュウとは正式な婚約者じゃないのよ、名義だけ婚約者でいることで私を守ってくれているの。」


私が無愛想に答えると、焔は嬉しそうに

「そうなの!?なんだー!形だけ、ね!じゃあ本当に結婚するとかそういう訳じゃないんだ!」

と口にする。


「まあ……」


しかし、私はそこで一旦考え直す。

ウリュウは以前私を好きだと言ってくれていたわけだし……名前だけの婚約者ってわけでもなくなって来ている気もする。


もし私がウリュウの好意を受け入れれば、名実ともに我々は本当の婚約者になるのだ。


「………そう、ね、今は……名前だけの婚約者……かしら……」


手に結ばれた赤いミサンガを見つめつつ顔を熱くして答えると、焔は有頂天の様子から一変、処理落ちしてしまったロボットのように無表情になる。


「今はって何!?将来的にも、でしょ!?

リリアの1番に俺がなるよ、これから、絶対!

何故なら俺は最強ですっごくイケメンだから!

だからまだ結婚とか考えないでね!」


焔は一息に言い切ると、自分から扉を閉めた。


(変な奴……どうせ焔が私の1番になったって「俺のこと好きなんだね」とか言いながら得意げにニヤつくだけのくせに。)


少し焔の様子を奇妙に思いながらも、私は明日に備えて寝ることにしたのだった。


………


後日、私は研修を終えると後片付けをしようとマネキンに手をかける。


すると、灰原さんがやってきて

「それ、俺が全部やっとくよ。」

とこちらに声をかける。


「あ……ありがとうございます!あの……どうですか、その後は……」


灰原さんの今の状況が気になり、思わずそう声をかけてしまう。

灰原さんは少し驚いたような顔を見せたあと、

「……あんな目に遭ったのに、まだ俺のこと気にするんだね。」

と無愛想に呟く。


「あ……まあその、許したわけじゃないんですけど!?

どうなったのかは、気になってて……」


言うと、灰原さんは少しバツが悪そうに

「ブルーさんに更生プログラムの指導してもらってて、それが終わったらここを辞める予定。

君もあんまり俺の顔見たくないでしょ?早めに終わらせるから安心しなよ。」

と口にする。


「え?ああいや……」


「そこは見たくないですってはっきり答えるとこなんだってば。」


そう言うと、灰原さんは軽々マネキンを持ち上げた。

そしてマネキンを持ったまま倉庫へ歩みを進めたかと思うと、ぴたりと足を止める。


「……ねえ、リリア。」


「な、何ですか……?」


「ごめんね、騙したりして。」


灰原さんは振り返り1度マネキンを下ろすと、頭を下げながらそう口にした。


「え……」


「別に許して欲しいとか、楽になりたい訳じゃなくて……純粋に謝りたかった。

提携、するんでしょ?ブラックホール団とヒーロー本部。

俺のしたことは完全に間違ってたって証明されたわけだ。」


灰原さんは顔を上げながら目線を落とす。


「……俺さ、本当にどうかしてた。

ヒーローになることばっかりに頭が行って、やってることがヒーローから遠ざかってるって気付いてなくて……

だから、せめて辞める前にでも、しっかりやることをやろうと思ってるんだ。

ホワイトさんの言うように……デビューできなくても、ヒーローにはなれると……思うから。」


灰原さんはどこか悔しそうに拳を握りながらそう言い切るとマネキンを持って倉庫へと消えていく。


(なんだか憑き物が落ちたみたいな顔をしてたな……)


私はそんなことを考えながら、呆然と灰原さんの背中を見送っていた。


★ ★ ★ ★


リリアが灰原と話をしている頃、シノは緑川の運転する車に乗っていた。


「世間って狭いよねー。僕も昔コズミックグリーン候補だったし?彼女がコズミックグリーンの助手みたいなことしてるんだよ!」


車を運転しながら、緑川が上機嫌に言い放つ。


「はーん、そりゃ凄い偶然だ。」


(会うとたまに誰かへの恨み言がお経のように聞こえてきて怖いんだよなあの姉ちゃん、できることなら関わりたくねえんだが……)


「僕の彼女、可愛いけど絶対に口説いちゃ駄目だゾ〜?」


悪戯な笑みで緑川が言うと、シノは「口説かねえよ……」と小さく呟く。


「………口説かねえよ!」


そして真っ青な顔でもう一度大きな声で言い放った。


「なんで2度も言うのさ!?」


緑川はシノの反応を見て心底不思議そうにしていた。


「……それにしても、君も中々強情だよねー。

ボスが『協力しろ』って言ってんのに、素直にはいって言えないんだもん。」


「ウリュウとミカゲが柔軟過ぎるだけだ。

俺たちは歴史ある異星人組織の幹部なんだぜ?なんでもハイハイって聞いてたら格好が付かねんだよ。」


扉に頬杖を付きながら、シノはそう言って窓の外を見る。


「そんなもん?」


「俺は必要とあらば、相手に1000万でも1億でも請求するぜ?

簡単に手を貸す便利なヤツとは思われたくないからなぁ。」


シノは言いながら、不気味な笑みを浮かべた。


事務所に到着すると、シノは緑川に軽くお礼を言ってラボを目指す。


(ふーん……ここがコズミック7の事務所か。案外広いな……)


そしてラボの扉を開けると、その先に小柄な少年を見つけた。


「おい、お前か……?コズミックグリーンってのは。」


声をかけると、何かの研究に没頭していた様子の少年がハッとしながらシノの方を見る。


「あ、あなたは……」


(ふん、相手が子供だろうが関係ない。俺は自分の力を簡単には貸さねえんだ。さて、初手は何を要求してやろうか……)


「俺はシノザキ。あんたが探してた、『発明』の能力を持つ男……どうだい?会えて光栄か?」


皮肉混じりに言うと、シノはロクタに右手を差し出す。

するとロクタは目を輝かせながら

「あなたが……!お噂はかねがね聞いていた、伝説上の人物だと思っていたから実在するとは思わなんだ……!

僕は笹木緑太、科学者です!貴方に会えて本当に光栄だよ!」

と物凄い早口で言い放った後


「あの、あの……シノザキ氏、僕の研究に協力してくれないだろうか!」

と、続けた。


シノは少し勢いに圧されつつ、

「そんな簡単には……まずは交渉をだな」

と言いかける。


しかしそこで、シノの耳にロクタの心の声が入ってきた。


(この人がシノザキ氏かぁ……!こんなに若くて、しかもかっこいい人だったなんて!

それでいてかなりの数の発明品を出しているのだから、相当天才的な頭脳を持っているに違いない……!)


「……まあ、なんだ……これからよろしくな。」


シノが言うと、ロクタは嬉しそうに「はい!」と一言返事をしたのだった。

最新の活動報告にて、アンケート結果を記載したので良ければ見ていただけますと幸いです。

また、アンケートへのご協力ありがとうございました!


新年明けましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ