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「正確に言うと僕は怪人化チップの原型を作った。

それをとある人に改悪されてね……」


開いた口が塞がらない。

こんな少年が、あんな恐ろしい物を作っただなんて……


「どうして……あんなものを作ろうと思ったの……?」


「僕は生まれつき体が頑丈な方ではなくてね。

普通の子供のようにスポーツ等で遊んでみたかった。

そして一時的に動物の身体特徴を得られるチップを開発し、改良を重ね異星人の身体的特徴を模倣できるものを作り上げた。」


「それを……改悪された?一体誰がそんなことを。」


……待てよ?なんだか胸騒ぎがする。

そもそもチップを開発した頃、ロクタはもっと幼かった筈……下手したら小学生だったかも知れない。


そんな子供があのような凄い発明を気軽に試せる時点で、学校や家等の身近な場所に発明する為の環境があったのではないだろうか?


「……笹木八角……僕の……父が。

僕の発明を改悪してしまったんだ……」


案の定出てきたその言葉に、私は息を飲む。


「僕はシノザキを見つけて……怪人化を打ち消すワクチンを完成させたい。

というのも、責任を追求されすぎたせいか僕の家族はもうボロボロでね。」


怪人化チップなんて物を発明したとあっては、家族に責任を追求する者が出ても不思議ではない。


「自分のしたことへの責任と……父の代わりに贖罪を果たす為に、今僕はここにいる。」


「あ……あなたの作ったチップは元々、あんな危険な物だったの?」


「いいや、本来は体の負担を考えて短時間しか異星人になれないように設計されていた。

……父は、それを永続させるよう手を加えたのだ。」


「そんなの……!あなたは悪くないじゃない……」


私が拳を握りながら言うと、ロクタは一瞬安堵したような表情を浮かべた後で首を振る。


「そんなことない!僕があれを生み出さなければ、『父さんだって魔が差したりしなかった』!」


いつも余裕に満ちているロクタの、震えた唇や拳が……彼の苦しみを物語っているかのようだった。


そして私はその言葉で確信する。

……ロクタは、父親に利用され自分の発明を兵器に改悪されても尚……

父親を尊敬しているのだ。


研究室にあったプラモデル、無理矢理言い聞かせるような自責の言葉……聞いていて心が痛む。


思えば、ロクタはあまりにも研究熱心……いや、熱心すぎた。

私に対する過剰な興味もそう。

彼はきっとそれだけ必死で……それだけ、切羽詰まった状況だったのだ。


「頼む、この通りだ。異星人のコミュニティに頼るなんて恥知らずなのはわかっている!

でも僕は……なんとしてでも自分の発明が汚してきたものを払拭したいんだ……!」


ロクタは私にそう言って頭を下げる。


(なんとか……力になってあげたい。)


組織に迷惑をかけてしまうかもしれない、この気持ちは間違っているのかもしれない。

でも……目の前にいる少年は私と約束をし、その勝負に勝利したにも関わらず、

震えながら、こちらに深く頭を下げている。


元より勝負前に飲み込んだ約束だ、ごねるつもりはなかった。

しかしロクタの話を聞いて私は改めて自分から、シノを紹介したいと強く思ったのだ。


「あなたがこの勝負に勝ったのだから……頭を下げなくていいわ。なんとか掛け合って、シノザキがあなたと会ってくれないか交渉してみる。」


ロクタにそう告げると、彼は目に涙を滲ませて年相応に喜ぶ。


「ありがとう!須藤君、ぜったいシノザキを連れてきて、約束だよ!」


私の手を握り、ロクタは無邪気にそう言って笑う。


再び脱線……とまた凛太郎に怒られてしまいそうだが、これもロクタを理解する為に必要なこと……!

ゆかりやあかりだってそれが大事と言っていたし、この程度ならきっと許されるだろう。


(よーし、頑張ってシノを説得するぞ!)


意気込んでいると、遠くから私を呼ぶ声が微かに聞こえる。

見ると、そこにはアンナが息を切らしながら向かってきていた。


「良かった……リリア、ここにいた……!あ、グリーンさんもお疲れ様です!」


「アンナ!どうしたのそんな焦って……」


「なんか凄いことになってるんだよ!この速報見て!」


アンナが言いながら私とロクタにスマートフォンの画面を見せる。

するとそこに、ニュースの切り抜きが流れ出す。


【速報です!ブラックホール団幹部が大きな襲撃事件を解決し、ヒーロー本部はこれを受け、ブラックホール団との提携をする方針を固めました。】


「提携!?」


【こちらは現在最高司令官である赤松宗次郎氏へのインタビュー映像となります。】


その言葉とともに、赤松の顔が映し出される。

彼は狭い廊下で大量の記者やテレビ局の人間に囲まれ動けなくなっていた。


【赤松さん!異星人組織との提携を決めたのはなぜですか!?】


【ブラックホール団は以前にも、双星ヒーロー養成学校の防衛に一役買ったりと地球人に対し友好的な姿勢を見せて来ました。

そして今回の大きな功績を鑑みて、より親密な関係を築くことで国を守る仲間として歩んで行けるのではと考えたのです。】


そこで、1度動画が終わった。


「え……つまり……どういうこと?」


「ブラックホール団がヒーロー本部にとって敵じゃなくなったってこと!これは別の動画だけど……!」


そう言ってまたアンナは別の動画を私たちに見せる。


【今日の昼12時頃、怪人のみで構成された組織、『革命団』がヒーロー本部を襲撃し、ヒーロー本部にてサポートスタッフをしている青年が一人で撃退しました。】


そこで画面にでかでかと映し出されたのは、ミカゲさんの顔写真だった。


【青年は後に警察の事情聴取に対して『自分はブラックホール団幹部である』と告白したとして、現在ヒーロー本部にて協議が行われております。】


(今日いないと思ってたら……!こんな凄いことしてたの!?)


「まあなんだかそういう訳で……リリアのことレッド隊長が探してるよ!

と、とにかく一緒に行こう!」


アンナはそう言って私の手を握る。


「では今日はこれで解散だね。また今度ゆっくり報告を聞かせてくれたまえ。」


ロクタはそう言って小さく手を振る。

私がお礼を言ったのを確認すると、アンナは私の手を引いてグラウンドを後にした。

【定期】

最近の活動報告にて、この作品の挿絵についてのアンケートを実施しております。

もし良ければご参加お願いいたします

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