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報告

ヒーロー本部からの帰り、

渋矢方面に帰ろうとすると目立ってしまうという理由から、

なるべく怪しまれないようウリュウ様が保護者を装い車で迎えに来てくれる手筈になっていた。


私達が校門付近で話し込んでいると、

「ねえ、あの人見た?」「すっごいかっこよかったね!」と

女子社員達が噂しているのが耳に入る。


そしてヒーロー本部前に高そうな車が止まっているのに気付くと、

そこから出てきたのは地球人の服を着たウリュウだった。


人に目立つなと言っておきながら自分も十分目立っているではないか、あの見栄張り男。


「やあ! 君達いい子に待ってられた?

……ああ、そこの金髪の君はリリアのお友達だっけ。」


「あ……ど、どうも……リリアの保護者の方……っすか。」


あのユカリが委縮している……?

まあでも気持ちは解るかも、いつもいかつい軍服の様な異様な格好をしている彼だが、現代の洋服を着ているさまを見ると……

規格外の美形であることに気付かされる。


これで性格さえ悪くなければ完璧だったのだが。


「まあそんなとこ!ナギ、リリア乗って!

 あ…白髪の彼も方向同じだっけ?乗っていいよ」


ウリュウは完全にフユキをロックオンしているようだ。

ナギがしっかり青ざめた顔で乗り込んだとこを確認すると、

私はユカリに別れを告げてフユキと車に乗り込む。


「どうだった? 今日の遠足」


厭味ったらしくウリュウが言う。

この様子だとナギと私が浮かれていたのもお見通しだろう。


「そんなに楽しい物でも無かったですよ。俺、何だか疲れちゃいました。」


フユキが困ったように笑う。

彼はヒーローが好きで目指していたのだと思っていたが、

今回の課外授業は楽しめなかったようだ。


「俺はちゃんと見てきましたよ! ブルーとも連絡先交換したし! 」


確実に私情込みで交換したと思う。


「へえ、やったじゃん。リリアの収穫は?」


「こ……こで話したくないわ、着いたらウリュウ様と二人で話す。」


「なるほど、解った。

じゃあナギにもっと今日見た事を話してもらおうかな」


ウリュウ様が言うと、ナギは目を輝かせながら見学で見た内容を話し始めた。

ブラックは本当にヒーローが好きなようだ。


ホワイトは……どう思っているのだろう。

完全にヒーローへの憧れや、気持ちが覚めてしまっているのだろうか?

私はそんな事を考えながらフユキの横顔を眺めていた。


ーーー


ウリュウはナギにフユキを見てるように頼むと、部屋に着くなり私に

「で、何かわかった? 」

と尋ねる。


「姉に……会ったわ。ヒーロー本部で……」


彼は少し目を丸くすると、「そう」

とだけ言っていつもの余裕ある笑みを浮かべる。


「無事って事は上手くやり過ごしたんだ。」


「まあね。ねえウリュウ様、私の……リリアの姉って何者なの?」


私も多少の知識はある、彼女はアニメではコズミック7の司令官で、

二期の後半には彼女の能力によってホワイトとブラックが強化される。

アニメでの彼女はあくまでも「強化役」で、特に悪意や案坊を滲ませるようなキャラクターではなかった。


「さあ、僕も最後まで良く分からなかったな。彼女の目的とか、思想とかね。」


彼は遠い目で言う。

……この顔、見た事ある。

キアラが姉の話をしている時のような、あの顔だ。


「僕から教えられる事は無いけど、裏切り者がどう裏切ったとか、詳細なんか知ったところで意味なんか無いだろ。で?他に収穫は?」


私はカバンからメモを取り出すと、彼の前に置く。


「……できる限りの情報は盗んで来たつもり。」


差し出したのは、見学中頑張って情報を詰め込んだメモ帳。

浅い情報しかないだろうが、役に立たない事も無いはずだ。


「へえ、頑張ったじゃないか。こんなにメモするの大変だったんじゃない?」


「別に?仕事だもの。」


「ありがとう、後でゆっくり見るよ。

……まだ言いたいことがありそうだね。」


「レッドに……手伝いをしないかって持ちかけられたの。

学校の時間外も一緒にいれるって……その、コズミック5の内情を知れるし悪くないかなって思ったから一応相談を……」


「やりたいの? ヒーローが好きだから。」


私はギクリと体を強ばらせる。

正直最推しではないにしてもレッドというキャラクターは好きなので、もっと知りたいという気持ちは確かにある。


でもそれより私が知りたいのは……


「勿論ヒーローは好きよ……でも、私が知りたいのはあっちの内情。

私は4、5年後の知識はあるけど今のコズミック5について何も知らないの。

もう少し内情が分かれば、あなたのバックアップをもう少し完璧に出来るかもしれない。」


「随分やる気になったもんだ、いつの間にそんな僕に惚れてたの? 」


「……正直に言う、あなたは私にとって最高の上司よ」


「は」


予想外の返答だったのか、彼は目を丸くして固まってしまった。

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