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一旦の別れ

私はウリュウに呼ばれ、彼の家に足を運ぶ

そこには先程別れたブルーとピンクもいた。


「あ…えっと…

 どうしたの?急に呼び出して」


「彼らから現状は聞いてる?

 未来のコズミック7が記憶を改ざんされてるって話」


ウリュウが淡々とした様子で尋ねる。


「ちょっとウリュウさん…!そんなためらいもなく…」


「…聞いたわ」


「君としてはかなり焦る状況だとは思うが…

 彼らと今後について話し合ったから聞いて欲しい」


私は少し息を吸って深く吐くと、「ええ、どうぞ」と返す。


「まず…君もシノから聞いたと思うけど

 ユウヤ君やシノの働きもあって、確認できている範囲では

 証拠の隠滅に成功した

 それでも本部の外にいる人間の分は把握しきれないし

 まだ隠し持っている人間がいるかもしれないから

 これからもユウヤ君が目を光らせてくれるみたいだ」


「ありがとう…その…証拠、消してくれて…」


「…礼は僕じゃなくてユウヤ君が帰った時に伝えてやれよ

 それで…残る問題はいつ彼らを助けに行くか、だけど…」


彼は言い切る前に口ごもる。

…私だって解ってる、「すぐに行ける筈がない」

ボスからの許可が下りない以上は救助を決行した事がバレた時点で

ナギ含め私達はここにいることが出来なくなるのだ。


「ボス退任のタイミングで行くしかない…でしょ?」


「そうだね、いつになるかは解らないけど…

 彼が退任するのは3年以内という事だけははっきりしてる

 それまでに仕事で成果を上げ、ボスの地位を目指す

 …そして、その際一番懸念される事は

 彼らがそれまで無事なのかって所だが」


ウリュウは言いながらあかりとブルーを見る。


「俺たち、まだヒーロー本部にいる事にしたんだ!

 まあおじさんに関しては

 アイドル的人気が見込めないからって

 クビになりそうなんだけども…」


ブルーが恥ずかしそうに言う。


「そんな…いいの?2人とも」


「当たり前だろ?

 あんな状態で放置なんて出来るわけねえもん

 …でも、忘れんなよ

 ヒーロー本部にいても俺達

 リリアちゃまの味方だ」


あかりが優しい声色で言う。

そうよね…私は…

1人になった訳じゃない!


「ありがとう2人とも!

 あの子達の事…暫くよろしくね」


2人は指でグッドサインを作るとにっこりと笑ってみせた。


「リリア、それでもゆっくりは出来ないよ

 またエリヤが君をはめようと

 動き出すかも知れないし、

 コズミック7の面々に何をするか解らない

 今まで以上に成果を上げて…

 絶対にナギを迎えに行こう」


ウリュウは強い意思を孕んだ眼差しで私を見る。


「ええ…!」


今までだって何度も危機はあったけど、

上手く乗り越えて来たつもり。


今度だってきっと大丈夫よ、

私は全てを奪われた訳じゃないんだもの!

やってやる…!待っててね、皆

絶対に貴方達をエリヤから救い出してみせるから…!


ーーーー


ブルーとあかりが帰り、私はウリュウとそれを見送る。


「でも、ちょっとだけ前向きになれたかも!

 ブルーとあかりが側にいれば

 きっとあの子達に危険は及ばないわ!」


私は満面の笑みで言う。


「あんたをボスにする為に頑張らないと!

 まずは何する?書類整理?

 私何でもやるわよ!」


私の顔を見るとウリュウは少し顔を顰め、

「から元気、バレバレなんだけど」

と私の頬をつねる。


「へ…」


「自分が傷ついてると思われたら

 話し合いがスムーズに進まないと思って

 無理してたろ

 …僕には解らないと思った?」


「わ、わたひは別に…!」


私の抗議も聞かず、彼は私を抱きしめ

「頑張ったな、真理愛」

と言って頭を撫でる。


「な…なんであんたがそんな事…!

 …べつに…頑張って…なんか…」


言葉とは裏腹に、私の頬が涙で濡れる。


「強がるなよ、本音は?」


「…嫌だ…」


彼に言われ、思わず本音が漏れた。


「私…嫌だ…!皆と会えなくなるのも

 忘れられるのも…!嫌だよ…!」


私は彼の胸で泣きじゃくる。

不安がない訳がない、

このまま皆がエリヤに殺されちゃったりしたらどうしようというので頭はいっぱいだ。


何より

ゆかりを焔から助けた事、フユキの勝利を祝った事、

焔の怪我が治って喜んだ事、

…ナギと遊園地で遊んで、海を見た事。


全部全部、エリヤの物になってしまったのが

本当に辛くて…悲しくて。


「もう一度思い出を作り直せばいい」と言ったって、それがいつになるかもわからない。

それが、もどかしくてたまらなかった。


ウリュウは子供の様に泣く私の頭を撫でながら、何も言わずに側にいてくれた。


また…皆に会いたい…。


私は心の中で、何度もそう呟いたのだった。




ーーーーーー


ー2年半の月日が流れ、リリアは凛々しい面持ちで廊下を歩いていた。


「見た?リリア様凄く凛とされてたわ」


「彼女はウリュウ様派だったし

 彼がトップになった事で気合いが入っているんだろう」


リリアはウリュウの部屋をノックも無しに開けると、


「ウリュウ!顔を見に来てあげたわよ!

 調子はどう!?」

と声を上げる。


ウリュウは机に伏せながら掠れた声で何かを呟き、まるでゾンビの様な状態になっていた。


「ちょっと!?唯一の取り柄が無くなってるじゃない!

 髪ボサボサ!唇カサカサ!

 どうしちゃったの!?」


「失礼だな…忙しすぎてこうなったんだよ

 …それより、『特別任務』の事忘れてない?

 ちゃんと計画は立ててくれたんだよね」


「ええ勿論!期待してなさい!

 私が絶対…ナギを取り返してみせるんだから!」

これにて第一部完です。

後味が悪いのでかなり迷いましたが、最初に決めたプロット通りに物語を運びました。


全く見て貰えないだろうな、と思って書き始めたので、ここまで反応を頂けた事が本当に嬉しいです。


2部の書き始めはいつになるか解らないですが恐らくそんなに間を開けずの再開になる見込みです。

皆様ここまで見て頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
エリヤが最初に出てきた時、クールな女幹部と思っていた時期もありました… これまでの行動や成り代わりの話で少しずつ片鱗が見えてきてましたが、内面の描写を見たら想像以上の性格で驚きました 誰かの為にとい…
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