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裏目

ー現ブラックホール団ボス。

名前すら解らない謎多き老人…


今からそれに会いに行くんだ…緊張する。


話の通じない人だったら…いや、そんな筈はない。

彼は一度私の未来の話を聞いて、

地球人の味方をする姿勢を示した。


きっと話せば解ってくれる人なんだわ!


長い廊下を抜け、ウリュウがノックをすると

扉の奥から「入りなさい」と声がする。


「…失礼致します」


ウリュウが扉を開けると、そこには深い皺が刻まれた威厳ある老人が座っていた。

いつ見てもオーラのある人だわ…


「ウリュウ君、リリア君…コンニチワワ」


「「…」」


…は?


私とウリュウは彼の言葉を聞いて凍り付く。

今の…この人の挨拶…?


「今、地球で流行っている挨拶らしいんだ

 試しに使ってみたんだが、どうだろうか」


入って来た時の表情とは一変して、にこにことしながらボスは言い放つ。


「絶対に使わない方が良いです…ただでさえ組織のネーミングで馬鹿にされることが多いのに」


ウリュウは呆れ気味に言う。


「あれ?そうかい…?ブラックホール団かっこいいじゃないか、何が駄目なんだ?」


固そうに見えたけど、想像以上におちゃらけた人ね…?

威厳とのギャップにかなりびっくりしたけど、こんな冗談も言う人なんだ。

これなら私たちの話も聞いてくれるかも!


「よく来てくれた、まあ座りなさい

 …リリア君、君は双星防衛作戦において

 かなりの功績を残したと聞いている

 君を幹部にして良かった」


「光栄なお言葉、感謝致します」


「して、今日はどの様な要件で来たのかな?」


ボスが尋ねると、

ウリュウは一連の出来事を彼に話した。


「それは…とんでもない事になったもんだ」


「私と致しましては…すぐにでも

 ナギの救出をしたいと思っております

 どうか他部署から応援を頂けないでしょうか」


ウリュウと共に私も頭を下げる。

そして、期待の眼差しでチラリとボスを見た。

こんな気のいいおじいちゃんならきっといいって言ってくれる筈…!


「…それは…出来ない」


期待を裏切る様な言葉に、私は驚愕する。

出来ないって…!どうしてよ!

ボスの顔は先程までの朗らかな笑顔とは一変し、

険しい顔で私達を見ていた。


「リリア君…君は過去に言ったね

 ヒーローと対立すれば、

 この組織は破滅に向かうと」


「…はい」


「ナギ君を助ける事にするとして…

 我々がヒーローと揉める様な事があれば

 ヒーロー側とこちらの関係修復は見込めない

 …どうして、ただ1人の団員の為に

 組織の破滅を招く行為を容認せねばならん」


「しかし…!」


言いかけて、ウリュウは悔しそうに俯く。

確かに、ボスの言っている事は間違っていない。

ヒーロー達と対立する事が組織の破滅を招くと言ったのは私だ。


なのに自分からそれと相反する様な事をしようとしているのだから、

ボスとしては許可なんて出来るはずがない。


これも元はと言えば私のせい…!

ああもう!自分のして来た事全部が

裏目に出てるじゃない!

…私の起こして来た改変は…

全て未来を駄目にしてしまう物だったのだろうか…


「勿論、君達医療班が

 単独で助けに行く事も禁止とする

 ウリュウ、この組織のスローガンは?」


「あるべき物を守る、です」


「この組織に属する異星人達を守る為

 組織の破滅に繋がる行為を許す事は出来ない

 …ナギ君には悪いが…

 事情が事情である以上、

 諦めて貰うしかあるまい」


そんな…!嫌だ、絶対迎えに行くって言ったのに

諦めるなんて出来るはずない…!


「…っ!待って下さいボス!

 私にとっては…ナギだってあるべき物の

 ひとつなんです!

 なのに諦めるだなんて…!」


「ならば…問おう

 ヒーローとの対立を強める事で

 もしこの組織に複数の…いや

 数百、数千規模の犠牲が出たとして

 責任を取ることができるかい?」


鋭い視線を向けながらボスが言う。


「…取れません…」


私は、俯きながら答える。

握った手には汗が滲み、悔しさで震えていた。


ーーーー


ボスとの面会を終え、私たちは静かに廊下を歩いていた。

今回ばかりは、代替案ですら浮かばない…


「ごめん…私が…余計な事ばかりしたせいよ」


「そう言うの、やめようぜ

 こんな事になるのを予測して動ける訳がない

 今は何が悪かったかより

 これからどうするかを考えないと」


ウリュウがため息混じりに言う。


「でも…何も浮かばないのよ

 これからどうしたらいいのかとか、

 全く…」


「そう?僕はこれからどうしたらいいか解るよ」


彼はそう言って振り返ると私を励ます様に笑いかける。


「今日の敗因は明白、

 僕達の影響力が弱すぎたんだ

 ボスの方針からしても

 僕達の嘆願を通すことは出来なかった」


「ええそうね」


「影響力を強め組織の方針を変えたらいい

 …その二つを叶えるイベントが

 近々来る筈だ、何の事かわかる?」


そんな都合のいいイベントが…?


「いえ…解らないわ」


「…君の見てるアニメでは

 ボスがミカゲ君になっていたよね?

 つまり…」


「!4年以内にボスが退任する…!?」


「そう言う事

 かなり長い目で見る事にはなるが…

 どこかのタイミングで来る、

 その退任に合わせて

 次期ボスを誰にするかという流れには

 絶対になる筈だ」


「そこで…貴方がボスになれば」


「ナギを救出する作戦を実行出来るし

 人員も好きに割き放題

 いつ取れるかわからない許可を取ろうと

 苦しむよりこちらの方が確実だろ」


「でも…それまでナギは…」


「…大丈夫、ナギの動向は

 ピンクやブルーに追って貰おう

 僕たちはなにも孤立した訳じゃないんだ

 君の行動によって地球人の仲間が出来た

 …だから、あんまり悲観しすぎるなよ」


「…そう、よね」


きっと今までの事は無駄じゃなかった。

私にはまだ、頼る事の出来る仲間がいる…!


くよくよしちゃ駄目、ナギを迎えに行くって約束したんだから!


「私…貴方がボスになれる様に

 全力でバックアップするわ!」


私は彼の目を見ながら、力強く言い放つと

ウリュウは笑顔で頷いたのだった。

※全話とあとがきの内容は同じになります。


すみません…夏が終わるまでに完結すると思っていた都合上、

31日の19時に仮予約していたのを忘れていて

明日分の公開を間違えて行ってしまっていました…

本当に申し訳ございません…


流石に追うのが大変だと思うので明日の更新はお休み致します。

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