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彼が私の手を握ると、空間が歪むような感覚が私を襲う。


まるで水中にいる時みたいで…体が慣れない。


私から手を離すと、ウリュウはクロめがけて切りかかる。

二人の刃は金属の掠れるような音を立てながらぶつかり合っていた。


「はは!何だその見た目…!悪魔みてえ!」


「戦うのに見た目は関係ないだろ…くそっ

 お前みたいなのがいるからこの姿になるのは嫌なんだ!」


私はクロの足元に狙いを定め、スコープを覗く。


「でもお前面白いわ!

 こんな俺とやりあえる奴中々いねえぞ!

 異星人の味方なんてしないで

 ネメシスに来いよ!一緒に地球人に痛い目見せてやろうぜ!」


「…嫌だ…僕は地球人の敵にも異星人の敵にもなるつもりは無い」


「勿体ねえ、つまらねえじゃんそんなの!

 何で地球人なんか守ってやる必要があんだよ!

 ブラックホール団なんか一番割を食ってるくせに!」


「…僕が…地球人とのハーフだからだ」


「…え?」


「…だから僕は…地球人とも親交を深めたい」


一瞬、クロの動きが止まる。


…今だ!


私は、リカちゃんを守った時の事を思い出してみる。

あの時…冷気が身体中に充満して、

心臓が高鳴るような感覚があった。


お願い、もう一度だけ…!

ウリュウは、私を無視せず仕事を与えて、

評価してくれた。

私の話を真剣に聞いて、未来を変える手伝いをしてくれた。


恩返しがしたいの…!


私は冷気が体に充満するのを感じると、

ライフルの引き金を引く。


すると氷の弾は彼の身体を覆い、

半身を閉じ込めてしまった。


あの時には及ばないけど…!動きを止めるには充分だわ!


「うお!?なんだこりゃ!」


「ああ…そんな反応をされると思ってた、残念だ」


「ふざけんな…残念だと!?

 理解する気なんかさらさらねえよ!

 地球人は俺たちから住処を奪い…

 家族を傷つけた!

 そんな奴等と仲良くなんか

 出来るわけねえだろ!」


クロは言いながら半身だけで何とか抵抗するが、

片手だけで剣を受け切る事が出来ずに武器を弾かれる。


ウリュウは、

その隙にクロに脇差の柄を振り上げた。


「まあ、今は理解してくれなくたって構わないよ

彼女と…時間をかけて理解を得ていくつもりだから」


ウリュウの剣の柄が彼の頭を強打する

すると、クロはそのまま気を失ってしまった。


「勝っ…た?」


凛太朗が呟く。


「凄い凄い!勝っちゃった!

 流石よウリュウー!」


言いながら、私は彼に駆け寄る。

防衛に…!成功したのね!


ウリュウはクロの腕を縛ると、

彼を見つめて

「こいつって…大将って言ってたよね?」

と呟く。


「ああ…言ってたわね、それがどうかしたの…?」


「やったー!じゃあ1万点!僕の勝ちだねミカゲ君!」


「一万…点?」


私が唖然としながら言うと、ミカゲさんが咳払いしながら


「我々の決闘の話です…大将を倒したら1万点、と

 少し配点を大きくしていまして…」

とバツが悪そうに俯く。


「あんたら…こんな時に何言ってんのよー!」


私の叫びは学園中に響き、

凛太朗はその様子を呆れ気味に眺めていた。


「いやー、リリア喜びなー?

 僕が名実共に君の婚約者になったよ!」


「喜べるかっ!私の知る限り一番性格悪い男と婚約なんてごめん被るわよ!」


「そうは言っても決まった事なんだし…

 ほら、勝利を祝うハグと行こうじゃないか!」


「ぎゃっ!近寄るな!」


嫌がるのを面白がるかのようにウリュウは私に抱きつく。


「リリア…!ごめん遅くなっ…て!?」


タイミング悪く焔が到着し、訳も分からないと言った表情で彼は私とウリュウの顔を交互に見る。


「あっ!レッド君じゃないかー!遅かったね、

 もう大将は倒しちゃったよ?

 あ、そうだ…君にも報告しておかなきゃね

 俺とリリアはこの度婚約する事になりました!

 だからレッド君はあまりリリアの周りをうろちょろしないでくれたまえ」


ウリュウが言い切ると、焔は絶望した表情で

「こんやく…?」と呟いた後、

その場に倒れ込んでしまった。


「にいちゃーーーーん!」


ーーーーー


一方、東口にいたピンク達は

異星人達を縛り体育倉庫まで運ぼうとしていた。


「嫌やー!お助けー!

 うわ、ゾウがちょいちょい足下げてくんねん!

 ちょっと何とかしてー!」


ゾウの足の下で転がされていた喜助が叫ぶ。


「ゾウさん、ずっと足上げてるから疲れて来たって言ってる…」


「そろそろやめたら?あの拷問…

 うるさくて敵わん」


ピンクが言うと、若葉は渋々田村を解放する。


すると、全員の端末が忙しなく響いた。


「はい、こちら東口」


『皆!よく聞いて!大将を倒したわ!

 双星防衛…成功よー!』


嬉しそうなリリアの声が端末から聞こえ、

全員が笑顔で顔を見合わせる。


「やったー!緑川くん!ピンクさん!

 防衛成功だって!動物園の皆もハイターッチ!」


「うわ…熊とハイタッチとか勇気あんな」


「その内手もげるよ若葉ちゃん」


「リリアちゃん達、西口にいるんだって!

 今から皆で会いに行こう!」


若葉はそう言ってピンクと緑川の手を引く。


「はい!ちょおまって!俺は!?」


喜助は1人取り残され、息を吐いた。


「…なーんてな、この隙を待っとったんよ」


彼は袖に仕込ませていたカミソリ歯で縄を切ると、そろそろと退却を試みる。


「俺ぁ反省なんてしとらんからな…!

 原作の流れを守る!この意地は守り通すど」


彼はそう言って何処かに消えて行った。


ーーーーー


―若葉達が勝利の報告を聞いていた頃、

 フユキとゆかりにも報告が届いていた。


「ゆかり君!やったよ!

 防衛に成功したって!」


「やったじゃん!あー…でもボス戦参加したかったなー…

 俺も救援要請に駆けつければよかった」


「仕方ないですよ…こっちはこっちで敵の処理をしてましたし

 …あの…ゆかり君」


「何?」


「今日のゆかり君、本当にかっこよかったです、

 本物のヒーロみたい…いや!俺的にはヒーローでした!

 これからも…俺のヒーローでいて下さいね」


「何だよ気持ち悪いな…ま、お前が危ない時はいつでも見ててやるよ」


「えへへ…あ!二人でリリア様のとこ行きましょうよ!おめでとうって言わないと!」


「おい!ダガー持ったまま走んな!…って、聞いてないし…」


ーーーーー


そしまた同じ頃…

みつばは赤松と慰霊碑を眺めていた。


慰霊碑の側には青いネモフィラの花が咲き誇り、

風に揺蕩っていた。


「ねえ、こんなに綺麗なネモフィラが咲く季節になったのね…

 あの子の隊服みたいな…綺麗な青

 いつもより色付いて見えるわ

 まるで…貴方の事待ってたみたいに見えない?」


「まさか…

 … 私は長らく顔を見せていませんでしたから…

 彼女はきっと…私に愛想を尽かしている事でしょう」


「ふふ…」


「何がおかしいのです?」


「ネモフィラの花言葉、赤松君は知ってる?」


「…いえ…そういった物に疎い物で」


「『貴方を許す』、よ」


みつばの言葉に、赤松の目は一瞬潤む。


「…ああ…彼女らしい花言葉だ」

納得いかない部分があったりしたので

近々作品全体を大幅に改稿するかもしれません

展開を大きく変更する様な事はございませんのでご安心頂けたらと思います。

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