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赤松との戦い

ピンクと若葉が勝利を収めた頃、

リリアは赤松と対峙していた。


「楽に死ねる…って…どういう事よ?」


「そのままの意味さ…君は苦しんで死ぬことは無い」


赤松はそう言うと、何らかのデバイスを取り出す。

彼がスイッチを入れると、デバイスは光る剣に変わった。


あれ…!武器だ!本気で私を殺すつもりなんだわ!


「リカちゃん!逃げるわよ!」


私はリカちゃんを担ぐと彼から逃げた。

しかし私の体は疲労しており、上手く走る事が出来ず息が上がる。


「お姉さん…!私は置いて行って…!」


「大…丈夫…置いて行かないわ…!絶対…!」


彼は私を弄ぶかのように早歩きで追いかけて来る。

きっと、走れば追いつくのに…!性格の悪い奴!


私は氷塊を赤松に投げようとするが、体の冷気が溜まらない。

まるで、先ほど使い果たしてしまったとでも言わんばかりに能力が上手く使えないのだ。


「お姉さん…無理しないで…!」


リカちゃんは泣きながら言う。

駄目よ…理由は解らないけど、この子は死なせちゃ駄目って気がするの…!

赤松はこんな子供でもきっと容赦なく殺すわ!

せめて彼女を絶対に見つからない場所まで運ばなきゃ…!


動け…!私の足!


私は震える足を必死に動かし、

階段を下りてとある空き教室まで来ると、

彼女を教室の窓から外に逃がす。


「私が逃げている間、出来るだけ遠くに逃げるの!

 足が痛くて辛いだろうけど死ぬよりマシだから…!」


例えここの生徒に捕まっても、赤松の様に殺しに来ることは無い筈…!

ここにいるのが彼女にとって一番危険だわ。


「だめだよ!お姉さんが死んじゃう!」


私は彼女の言葉を聞かずにロッカーに詰め込む。

そして勢い良く教室を出ると、こちらに向かって来ていた赤松を睨んだ。


「…簡単に殺せるって思ってるんでしょ…

 なめんじゃ…ないわよ…!」


「舐めてないさ、君には敬意を持っている…

 最後まで少女を守らんとするその姿勢、

 まさに理想のヒーローと言える」


馬鹿にしてくれちゃって…!そんな余裕そうに言われても説得力ないわよ!


でも能力は使えなくなってるし、体力も限界が近い…!

どうしたらこの場を切り抜けられるの!?


赤松は剣をかざし振りぬく。

すると斬撃が風となり、まるでかまいたちの様に遠くへと届き

私の後ろにあった壁に傷を付けた。


何これ…!もしかして…こいつの能力は


「…風の…能力者?」


私が尋ねると、赤松は「左様」と呟く。


あのかまいたち攻撃…連発されたら微塵切りにされちゃう…!

逃げなきゃ!


でも後ろは壁だし完全に追い込まれてる…!

やだ…!まだ…死にたくない…!


「大丈夫だ、上手く首を狙ってやろう」


彼がそう言って剣を振り上げた時、

彼の背後から炎の弾が飛んでくる。


彼が咄嗟にそれを避けると、廊下の奥に焔の姿が見えた。


「レッド…!」


涙で歪んだ彼の姿は、背丈は違う物のアニメで何度も見た

あの頼れるレッドその物だった。


「赤松さん…ごめんなさい

 その子に手をかけるなら俺…

 あなたに刃を向けるしかなくなります」


赤松は顔を顰めながら彼を睨む。


「コズミックレッド君…君は若い割によく出来た子だと思っていたんだが…

 異星人を庇い立てしようと言うのかい?」


「その子は…俺の大事な人で

 俺の命の恩人が…大切に思っていた人でもあるから

 それを守れないなら俺、死んだ方がマシなんです」


そう語る彼の瞳は、熱を感じるほどに力強かった。


「なら君も…痛い目を見てもらうしかないね」


赤松はそう言って彼の方に向き直る。


焔が紅丸で切りかかると、炎が弧を描いて赤松に降り注ぐ。

しかし赤松のかまいたちが焔の発した炎を消してしまった。


能力では不利だと感じたのか、焔は赤松相手に刀を振り下ろし

剣術で勝負に出たが…赤松の剣技の腕は物凄く、あの焔が少し押されている。


二人の刃は火の粉を散らしながら交差し、ぶつかり合う。


焔が距離を離そうとしても赤松のかまいたちが襲い、

近付けば彼の剣の腕で圧倒される。


焔は間違いなく強い…!けど、赤松はトップだけあって強敵だし、

何より能力相性があまり良くない様に見えた。


どうしてこんな時に能力が使えないのよ!

ただ見ている事しか出来ないなんて…!


焔は赤松の剣の重みに耐えきれず、一瞬隙を作ってしまう。

その間に腕を切りつけられ、バランスを崩しその場に座り込んでしまった。


「ほう…腕を切ったのにそれでも刀を握っているのは大した物だ

 若い才能は育むもの…綺麗に傷が治る様に手加減してやろう」


彼の刃が、焔に触れそうになった瞬間

私は必死に赤松に抱き着き、その腕を押さえる。


彼の力を抑えるのは、疲れた私では速度を緩めるので精いっぱいで、

自分の無力さが歯がゆかった。


「少女よ…何をしている」


「これは…命令じゃないわ…お願いよ

 焔を傷つけないで…!」


私は震えた声で彼に嘆願する。


「異星人が私にお願いだと…?」


「焔…せっかく元気になったのよ

 もう火傷だって無くなったし、お母さんに反発できるようにもなった

 これから…これから彼の楽しい事、いっぱい起こるはずなんだ

 だから…お願い、邪魔しないで…!私ならどうなってもいいから…」


「リリア…」


焔は私の方を見つめて呟く。


「私…やっぱり…焔が死んだら嫌なの!お願い、もうやめて!」


泣きながら叫ぶ私を横目で見て、

赤松は息を吐くと剣のスイッチをオフにする。

そして震えながら、悔しそうに拳を握った。


「…何故…どいつもこいつも…犠牲になろうとする」


「…え…?」

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