表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/137

ゆかり

全ての訓練メニューをこなすと、

私は息をするのもやっとなくらいに疲れて果ててしまった。


「ゼ―……ゼ―……だめ……もう立ってられない…!」


「皆頑張ったね!今日の訓練はこれで終わり!

初日だったし優しかったでしょ?」


全員が「どこがだよ」と言わんばかりに彼を睨む。

彼は一体普段どんな特訓をしているのだろうか?


「レッドさん……一緒に走ってたのに……

息切れてないの怖いです……」


「俺だって流石に……今日のはきつかったぞ…

どんだけヤバいんだよ現役ヒーロー…!」


ホワイトとナギが息を切らしながら言う。

他の生徒や私に比べたら、この2人は立っているだけ凄い。

未来のヒーローだけあって才能があるのだろう。


赤城焔は色んな生徒に声をかけながら何かを配って回っている。

私がぼーっと彼を見ていると、レッドがこちらに歩いてきた。


「よく頑張ったね、ゼリー食べる? 」


彼はしゃがみ込み、笑顔で私に言う。

またゼリー……何でそんな親戚のおじさんおばさんみたいなムーブを……?


「いやその……今何か食べたらむせそう……」


「可哀想に、君って体力面で言うと才能無いんですねー……

今日の授業、きつかったらしいので多分半分くらいは明日からこないかも。

俺はどっちでもいいけど、君もきつかったら今日で辞めてもいいんだよ。」


「ぐ……」


癇に障る言い方だ。「きつかったら辞めてもいい」?

アニメ2期のラスボスであるこのリリアがこんな事で音を上げる訳がない!


私はふらつきながら立ちあがると、レッドの持っていたゼリーを強引に奪い取りその場で豪快に食べてみせる。


「辞めないわよ! 絶対絶対辞めない! 一ヶ月やり切ってあんたにぎゃふんと言わせてやる! 」


震えた声で言い切ると、彼は驚いた顔で私を見るのみだった。


「ふん、青リンゴ味……! 私はレモン味が好きなの、覚えておきなさい! 」


「あはは!元気でいいなー。君達は……才能、ありそうですね。

そんなに元気なら凄い事だよ! ……青リンゴ味で良かったら。」


レッドはそう言ってブラックとホワイトにもゼリーを差し出す。


「ど、どうも」

(レッドに褒められた……! )


ナギはニヤけるのを必死に我慢するような顔でゼリーを受け取る。


「俺は青リンゴ好きですよ!

体力の無さで言ったら他が極端な気もしますけど。ここにゆかり君がいたら絶対乗り切ったのになー」


「ゆかり君? 」


「あの金髪の男の子ですよ! レッドさんに喧嘩売ってた……」


「………あー! 」


「今思い出したんですか!? 」


「まずいまずい、生徒にゼリーを配ってる場合じゃなかった! 

えっと……彼、何処にいるんでしたっけ」


「確か模擬戦闘スペースって言ってましたけど……」


「ありがとう、行ってきます」


彼は急ぎながら何処かへ駆けていった。

……あんな動いた後によく走れるものだ。


「……あんな走った後に模擬戦闘……? 

いくらレッド先生でも負けるんじゃ」


「わからないですよ? 俺見にいきたいなー!

二人も行くでしょ? 」


「や……その……行きたいのはやまやまだけど……私……あるけなく……」


私は壁に寄りかかりながらプルプルと足を震わせる。

今歩いたら絶対に転んでしまう……どころか、膝を曲げたら立てなくなる予感までしていた。


「わー! リリア様生まれたての小鹿みたいです!じゃあ俺が運んであげますね!」


「きゃっ」


彼は私の体を持ち上げると、そのままお姫様抱っこのような形で私を抱き抱えた。


「うわ……何食べたらこんなに軽くなるんです? 霞? 」


「おまっ……勝手に触んなよ! 」


「駄目なんですか? 歩かなくてもいいから楽ですよ」


「そう言う問題じゃない! 目立つしリリアが嫌がってんだろ! 」


こんな小柄で可愛いのに女子を軽々持ち上げちゃうなんて…!

ホワイト最強…!最高…!


「……嬉しそうですけど」


「何で!?……貸せ!俺がおぶる! 

お前はリリアに触んな! 解ったな! 」


私はホワイトから剥がされると、ナギの背中に移動させられた。

ブラックの背中におぶられるのもまた、素晴らしい体験だ。


「えー、何で俺じゃダメなんですか? もしかして付き合ってるとか? 」


「違う…」


「なのにそんな『自分の物だから』みたいな扱いしてるんですか、ダッセー。下心があるのバレバレだし! 

リリア様、俺の方が良い時はいつでも言って下さいねっ」


「お前嫌い」


「おぶって貰ってなんだけど…! 仲良くしてよ! 」


私はブラックの背中に揺られながら叫ぶのであった。


ーーー


ナギにおぶられたまま模擬戦闘スペースまで向かうと、

私はナギに降ろしてもらい、手すりに捕まりながらこれから戦うであろう2人の様子を見ていた。

模擬戦闘スペースには私たちの他にもたくさんの野次馬が集まっている。


ここはレッドを応援したくなるところだが、どうもひっかかる。

あの金髪坊主……やはり「あの人」なんじゃ……


「来たか、あんま待たせんなよ」


「ごめんね、ちょっと忘れかけてて……」


「ああ!? 」


「やろうか、試合。俺が負けたら授業に来なくなるんだっけ?

君が負けたらどうするの? 」


「その時はこの学校辞めてやるよ」


彼の言葉を聞いてザワつく現場。

かなり大きく出たようだ、かなり自信があるのだろう。


「俺の能力は音を操る能力……!

知ってるか?音波で炎は消せるんだ。あんたには勝ち目がないぜ」


「そうなんだ、困ったな」


レッドは穏やかに笑ったが、その目の奥は笑っていない様に見えた。

色々あって主人公の名前を変更しております

ミリア→リリアになってますが変わったのは名前のみになります…

まだミリア表記が残っていましたら教えて頂けますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ