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侵略者

列が進んでいくと、途中で列を見張っている宇宙人がいた


あれは、竜タイプの宇宙人…

リザギアンと同じ爬虫類型だが、違う種族だ

古くからガイアに存在しているバラムーと呼ばれる宇宙人

恐竜のような見た目をしていて、冷酷な野心家が多いイメージがある

頭には角が生えていて、人間の言う【鬼】という表現がぴったり当てはまる


さらに列が進むと、複数列に分かれている

竜族の宇宙人がアルを見て、一番右の列へ行くよう促した

右の列は宇宙人ばかりが並んでいた


「あの、すみません…

私、ロンドンのポータルを通ったらここに出たのですが、状況がよくわからなくて…おかしいですよね?」


前に並ぶ宇宙人に話しかけてみる


「月へ出るポータルが封鎖されてる」


「えっ…そんな…、来た時は通れたのに?」


「完全に封鎖されたのは最近らしい

ガイアの周りに秘密裏にバリアを張りめぐらせていたようだよ」


「じゃあ、ガイアから出られないんですか?」


「…うーん、月のポータルを通過できれば出ることはできると思うけど…」


バリアを…?グリッドを築いたということか…

ん?ちょっと待てよ?と、いうことは…宇宙側からも入れないことになる…!


それきり黙って並んでいたが、しばらくして受付窓口のような所にバラムー(竜タイプの宇宙人)が座っているとこに来た


聞き耳を立てるアル

どうやら、出身星とガイアへの訪問回数などを聞かれているようだ

簡単な質疑応答をして、次の場所へと通される


「シリウスです、…今回が五度目です」


アルの前の宇宙人のやり取りに耳を傾ける

いよいよアルの番がきた


事務的に、出身星は?と尋ねられる


「カークトゥです」


アルが答えると、バラムー族の宇宙人が顔を上げた


「カークトゥ…

そんな高次元からガイアへ何をしに?」


「観光を兼ねたボランティアです」


嘘はついていない

あくまで一般市民として観光目的を強調したほうがいいと、直感で感じる


「ボランティアねぇ、ガイアへは何度目?」


「何度も訪れています」


「オールドソウルか…ハッキリした回数はわかる?」


ちょっと覚えてないです…、と笑ってごまかす


「科学技術や遺伝子工学の知識はあるか?」


「全くありません」


「次に進んで、ブループリントの記入をして

詳しいことは、そこで説明があるから」


前のスピリットに続いて進んでいくと、皆がブループリントを記入している

アルも置いてあるブループリントを手に取ると机の前の椅子に座る


ブループリントに《スターシード用》と書いてある

希望する性別の次に希望する病気?何だこれ?

機能不全家庭の種類?

これは、いったい…


隣にいる宇宙人に声をかける


「すみません、このブループリントの用紙ってこれしかないのですか?」


同じのだよ、と見せてくれる

受付にいるバラムーにも聞いてみる


「あの、この記入欄ですけど…健康の選択肢とか、家族無しがありませんが?」


「スターシード用は、波動を下げるために条件付きになっているので」


あぁ~…そういうことなんですねぇ…

と大人しく引き下がる

目をつけられないように丁寧にお礼を言って机に戻った



アルは大きくため息をつくと、ブループリントの記入を始めた


性別は男にしよう、病気より事故を選択して…短命設定で

家族は早くに両親を亡くす…が一番ましかな?虐待、殺人、心中…どれも酷すぎる

いくらネガティブを経験しようとしてるからといって、これは…


とりあえず書き上げて、受付へと持っていく

ブループリントを渡しながら、おずおずと聞く


「あの…転生希望ではなく、自分の星へ戻ることはできないのですか…?」


「特別な理由が無い限りはできません」


特別な理由とは?とアルが言う


「宇宙連合の指名手配犯などの犯罪者か、あるいは他の星のVIPの方とか…」


アルは、はぁ、と生返事をする

いつから、こんなことに…?

知らない間にここまでガイアが支配されていたとは…


用紙を見ながら、バラムーが言う


「少しネガティブが足りないですね、もう少し条件を増やしてもらわないと…あなたの波動が高すぎるようなので」


「では、生まれつきの病気に喘息を増やしてください」


先天性の喘息、と書き足すと、これなら何とか申請が通るかな、とバラムーが言った


「条件に合う場所と時代を調べるのでお待ちください」



アルは、椅子に座って考え込んだ

月へのポータルが封鎖されたのなら、宇宙船で出ることはできない

ライトボディで宇宙空間へと直接出ても、グリッドで囲われているのならバリアを突破することは不可能だ


ガイアへと転生して、宇宙の仲間に助けを求めるしかない

しかし、天使は今のガイアへ来るのは困難だと言っていた…

例え連絡ができても、ガイアへ入星することは危険だ

仲間を危険に晒すことになる


八方塞がりだ

いや、抜け穴が見つからない

どうすべきか…


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