第5話 私の家に寄って行かない?
難波啓介は喫茶店を後に、彼女の家近くまで訪れていた。
莉子の家は街中近くにあるらしく、数分ほどで彼女の家の玄関前まで辿り着く。
彼女から入ってと言われ、啓介は玄関に足を踏み入れる事になった。
家の奥からは何の音もせず、今のところ家族は不在らしい。
靴を脱いで家に上がると、彼女から二階へと案内された。
階段を上り、彼女の部屋まで移動する。
莉子が部屋の扉を開けると、意外とそこは普通といった感じだ。
派手な感じだったり、ぬいぐるみなどが置かれていたり、ピンク色のモノが多く扱われている女の子らしい感じだと思っていたが、想像と大幅に違った。
ビッチだと噂されてはいるが、実はそうではないのかもしれない。
月見里莉子の外見は、先生からの評価が高そうな清楚的で規則的な身だしなみ。
ただ、胸がエロく感じるが、それは容姿的問題であり、先生も出来る限り意識しないようにしているのだろう。
「私、今から飲み物を持ってくるね」
莉子は部屋から出ようと背を向けようとしていた。
「え、いいよ、さっき喫茶店で飲んだばかりだし」
啓介が彼女を引き留めようとする。
「でも、家に来てもらってるのに、何も出さないっていうのはダメかなって思って」
「そんなことないよ」
啓介は遠慮がちに断った。
「じゃあ、せんべいでもあったと思うから、それを持ってくるね」
莉子は自身の通学用のバッグを床に置くと、その場から立ち去って行ったのだ。
啓介はクラスメイトの女の子の部屋に一人でいると興奮してくる。
しかも、女の子らしい香水の匂いもしてきて、なおさら心臓の鼓動が高まっていた。
啓介が床に座り、待っていると、それから数秒後に彼女がせんべいの入った袋を持ってやってきたのである。
莉子は部屋にある小さなテーブル前にしゃがむと、せんべいの袋を開封していたのだった。