表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

第12話 彼女の後ろ姿を見つめていると

 午後の授業中。机にノートや教科書を広げている啓介は悩んでいた。

 今日は朝から色々なことがあり、悩むことが多々あったのだ。


 一応、月見里莉子(つきみさと/りこ)が誰かと付き合っているという疑いは晴れた。

 ただ、彼女のすべてを知っているわけではなく、本当に莉子が自分の為だけに付き合ってくれているかは謎だ。


 ビッチだという噂は耳にするものの、実のところ本当の浮気現場を目撃した事などなかった。


 本当にビッチなのかな?


 難波啓介(なんば/けいすけ)は授業中、斜め右前の席の莉子の後ろ姿を眺めていた。


 どう考えても、彼女が大胆にも如何わしい事をする子には見えないのだ。


 この前はキスを要求してきたり、とんでもない事態に発展しかけた事はあったが、あからさまに世間で言うビッチではないような気がした。


 そもそも、莉子は成績優秀で、テストの点数も全教科九〇点以上を叩きだすほどの学力の持ち主なのだ。


 規律を乱すような言動もなく、クラスメイトらとも普通の人間関係を築いている。


 んー……。


 啓介は莉子の後ろ姿ばかり見ていた。


「おい!」

「……」

「聞いてるのか? 難波!」

「……え? な、なんですか?」


 啓介が声する方へ慌てて視線を向けると、教室の壇上前に佇んでいる男性教師から睨まれている事に気づいたのだ。


 啓介が慌てていた事で、クラスの陽キャらが笑っていた。


 物凄く気恥ずかしくなる。


「さっきから話しかけてるんだが。何を考えてたんだ」

「え、えっと……」


 先生に対し、莉子の事ばかり考えていたとは言えなかった。


「まあ、いい。今やっている教科書のページのところを読んでみろ」


 え?

 ページ?

 何ページだっけ。


 啓介は席に座ったまま、赤色の表紙の国語のページを焦ってめくる。

 すると、斜め右前にいる莉子が振り返り、小声で四十九ページと言っていた。


 啓介は声を出さずに、彼女に会釈して感謝の意を伝えていた。


 心を宥め、その場に立ち上がると、ページに書かれている文字を一行目から読み始めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ