もう結構ですよ……と言いたくて、うずうずしている件
今、私には
「もう結構ですよ」
と言いたい相手がいる。
それはCというジュエリーショップだ。
私はアクセサリーに全く興味がない。ネックレスは首を絞められているような感じがするし、指輪は一度、友達と雑貨屋で、遊び半分で嵌めてみたら、抜けなくなって、半泣きになりながら必死で抜いた。そのことがトラウマになり、つけるのが怖い。
ピアスもよっぽど気に入ったものでないと買わない。
そんな私が、数年前に立て続けにアクセサリーを買ったのが、Cという店だ。
その店のアクセサリーは、派手さがない。控えめなのに目を惹く。可憐という言葉が一番しっくりくる。
私はCで、運命的な指輪を見つけた。トラウマに勝つ指輪だった。
華奢な輪っかに、誕生石をつけられる、オーダーメイドのものだった。あんなに怖かったのに、嬉々としてそれをつけるようになった。
もう一つは、小さな花の形のピアス。
これも一目惚れして、「自分へのご褒美!」と、都合のいい理由をつけて購入した。
そして、現在。アクセサリーへの興味は消え失せている。あんなに嬉々として付けていた指輪も、ご褒美ピアスもチェストの引き出しに眠っている。
今のままのモチベーションが続けば、一生つけないかもしれない……
そんな私の心変わりを知らない(知るわけがない)Cは、季節ごとに丁寧に新作のDMを送ってくれる。たまに冊子タイプの案内がくることもある。
それだけなら、心を痛めないのだが、毎回スタッフの手書きのメッセージが添えられている。
――いつもありがとうございます
とか
――遊びにいらして下さいね
とか
いつもありがとうと言われるほど、私はアクセサリーを買っていないし、のこのこ遊びに行く感覚で、店舗に行くほど、スタッフと仲良しのわけでもない。
だから、そのメッセージつきDMに非常に心を痛めている。だって、多分、もうアクセサリーは買わないだろうから。
そんな将来性のない客に、せっせとメッセージを書くのは、時間の無駄だと思うのだ。だから、いつか「もう、結構ですよ」と伝えたいのだ。
先日も冊子入りDMが届き、頭を抱えて悩んでいる最中である。
今日新たに、CからDMが届きました。
今回の手書きメッセージは
〝唯一無二の存在に出会えますように〟
でした。