兄貴の令嬢
それから特に何事もなく日常が続いて…
中庭、二人きり。
「リルラック?」
「あ、ミルフィ義姉さん」
だったけどね。
「…?」
「ああ、兄貴の婚約者のミルフィ・モルトロット公爵令嬢」
「初めまして、ラブラードル辺境伯令嬢」
「!は、はじめまして、ヴァキューラン・ラブラードルと申します」
「えっと、ミルフィ義姉さんは何でここに?」
「その……ね。あの男爵令嬢について話があるの」
「……あー、あの」
ちょっと感じ悪い子。
結局入学式に会ったっきりだな。
「あの子…他の男性にも声をかけてる見たいで……殆どの人が位が高く婚約者も居るって人らしくて、沢山の令嬢から恨まれてるの」
「うーわ……」
「その恨まれてるのを逆手に取ってか、また色んな男性に媚を売って……男女が分かれてるのよ」
「…………そーいや、ウチのクラスにも声かけられてる奴いたなぁ…」
「そう…」
「…このままじゃ、どうなるんです?」
「……分からないわ、前例がないもの」
合ってたまるかそんな前例。
「でも、良くない事態になりそうなの」
「…………ん?」
なんか嫌な予感…
「どうにかしてくれるとありがたいんだけど…」
「無理!!です!!!」
どうやるんだよ!!!
「あの……」
「ん?どうしたヴァン」
「リル様はその令嬢に声をかけられたことはあるのですか?」
「いや?初対面は兄貴とだったし、その時に庶民の血筋って言われたからな。位に注目してたら下に見られてるんだろうきっと」
「リル様を…下に……?」
あっ殺意抑えて…抑えて…
「大丈夫だって、大体あんな小娘に靡くかっての」
「リル様……!」
命は大事だからな!