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流石の手回し
……そういや親父と会話したの…先週だったか?
警備係に少し不満げな表情をされながら、王室へ入る。
「親父」
「リルラックか、なんだ?」
「あの、さ、ラブラードル辺境伯令嬢に告白されたんだけど……」
「嗚呼、それか」
そう言うと親父は紙を取り出して俺に突きつけた。
へ?
「"ラブラードル辺境伯令嬢ヴァキューランとフィジランテ王国第二王子リルラックの婚約を求む"…???」
手が回ってたか……
「良いじゃないか、お前みたいな庶民の血筋を受け取ってくれて」
「おい、親父が手を出したんだろ」
「ラブラードル辺境伯は世界最強との名を持つ。それに嘘はない。フィジランテ王国の繁栄にも繋がるだろう」
話を聞けーーーい。
「……………」
「もう許可証は出した」
「は?!」
「明日からお前には婚約者が居る。それを頭にいれて行動しろ」
「…あいよ」
もうなに言っても意味ないわ。
……そういや兄貴のこと言ってなかったわ。
まぁ面倒事は嫌だし。いいか。