兄貴と変な令嬢
「_この度はユミセーラ魔法学園に入学おめでとうございます__」
入学式。ぶっちゃけなにもないよな。
取りあえずクラス担任とか覚えとかないと。
クラス確認したが、まさかヴァキューラン令嬢と同じとはな…
いや、うん。クラスは今日行かないらしいし、式したら帰れるし。
そういや兄はどこに居るんだ?
婚約者のモルトロット公爵のミルフィ令嬢は見えるが…
えマジ?サボり?
……………………………………
入学式終わった~帰るぞ~。
「リルラック」
げ。
「あ…兄貴、何?入学式じゃ姿見えなかったんだけど……ぉ?」
俺の兄、第一王子のナリミル。
平凡な俺に比べて随分とイケメンだ。
それだけ。性格は良くない。多分。
「なぁ、兄貴。隣の…誰?」
婚約者が居るハズなんだが、何故か隣の令嬢に手を回して…
はい?訳が分からん。
「あ!はじめまして!メトクナル・シャロットと申します!」
へぇ可愛いじゃん。
いや待て。
「メトクナル男爵?の令嬢さん、だよね?」
「?そうですけど?」
「いや、兄貴にゃ婚約者が居て…そんなくっつくのは良くないんじゃ……ぁ?」
「うぅ…ひっく……」
え?何で泣くの?
俺なんか言った?
「ハァ…リルラック。軽々しくあの女の話をするな」
「えぇ?」
「あの女_ミルフィはシャロットを苛めているんだ」
「……マジ?」
「本当だ」
……嘘っぽいよな~?
ミルフィさんそんな人じゃないし、逆に苛めに止めろって言うタイプだし……
「どっちにしろ、兄貴は婚約者も居る王子なんだし、あんまり男爵令嬢が近付くもんじゃないと思うぞ?」
「!?酷い!リルラック君も私のこと除け者にするんですか?!」
ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……
ってか君?君付けした今?
「リルラック…お前も位で人を判断するのか。庶民の血を持った癖に」
「その話は関係ないだろ」
「えっ?!リルラック君庶民なんですか?」
「いや、庶民と王家の血が混ざっている。だが庶民に近しい」
「おい、論点がズレてるぞ。何で婚約者が居るのに他の令嬢に現を抜かしてるんだよ」
「あんな女、婚約者とは思わん」
「親父が決めた事だぞ」
「だが将来国を導くのは俺だ。その隣にあの女は相応しくない」
……話が平行線だよな。これ。
「じゃあいいよ。俺は帰る」
「そうか。そうだ、この事、父様には言うなよ」
「言わねぇよ。俺は別の件で忙しいんだ」
案の定浮気かよ。
まぁぶっちゃけどうでもいい。
取り敢えずあの辺境伯令嬢との婚約?をどうにかしたい。