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激強超高身長の辺境伯令嬢
まずい、なんで名前を聞いたんだ。
彼女は"ずっと前から"って言ってたんだぞ。確か。
「あ…ヴァキューラン・ラブラードルと申します」
「…ラブラードル辺境伯、の子?」
「はい」
ラブラードル辺境伯…世界最強の異名を持つ貴族…
辺境伯爵も夫人もデカかったな。
そりゃ娘もデカイ訳だわ。
十年前に会ったことはあるな。
そこか?そこだけだよな……
「十年前の…兄の誕生会でお会いしたきり…でしたよね」
「はい」
つまり十年間俺を好きだったと。
嬉しいっちゃ嬉しいんだけどなぁ…
もっと可愛い…せめて身長は同じくらいの子が良かったなぁ…
「その…答の程は」
「あっ、うん。ちょっと待って…いや、うん。そうだね。まだ考えさせて……」
「分かりました。いつでもお待ちしております」
何しどろもどろになってんだ俺ーーーー!!!!!!
どちらにせよ今日は答えられない…
父に聞いてみよう。そうしよう。
もしかしたら辺境伯はまだ知らないかもだからな。うん。
勝手に決めるのは良くない。
「と、取りあえず、入学式に急ぎませんか……?」
取りあえず今日を乗り越えよう。