加護と守護
魔法は、詠唱か魔法陣で属性魔素を使い行使出来る。
その詠唱と魔法陣を省略する事が出来る。『加護』か『守護』を持っていれば魔法を行使出来るようになるのだ。
では、『加護』『守護』とはなにか。
かつてひ弱な人族がこの世界に生まれた時、始祖神は同時に生まれた獣から身を守るために『妖精』と『精霊』をつかわした。しかし、精霊との意思疎通は難しく、会話の出来る妖精に至っては その数をはるかに上回る人族全てに対応は出来なかった。
そこで、妖精達は自分の能力を貸し与える事にした。
妖精には、それぞれ個性と自我がある。妖精も人族と同じ感情を持っているのだ。妖精は、人族との交わりの中で好感を持つ事がある。その好感度が高くなると、妖精としての能力を譲渡、あるいは、貸与する事があった。
『譲渡』は、その個人に与える事で、人族は直系で譲渡条件を満たす子孫に遺伝する事が出来る。なお、遺伝で発現する『譲渡』の割合は『好感度』に左右される。
『借与』は、一代限りで個人に貸し与えられる。
『譲渡(借与)』が行われると、その妖精の魔法能力を使用することが出来る。いわゆる『ショートカット』が出来るようになる。
風の妖精から『譲渡』されると、『つむじ風』を思い浮かべるだけで実行する事が出来る。ただし、実行するのは魔法使いなので、その規模、発現時間は、実行者のスキルの熟練度と容量により変わる。あくまでも『詠唱』と『魔法陣』が不要になるだけで、その妖精と同じ規模の魔法が使えるのではない。
この『譲渡』は、人族に有効であるが、一方の『妖精』には不利益となる。対価無しに『譲渡』される訳ではない。
制限なしに『譲渡』した場合、その妖精の能力は半減する。半分『譲渡』した場合は、四分の一減ってしまう。減る事によりその妖精の魔法規模、発現時間がそれに応じて減少する。
その為、『譲渡』『借与』される人族は極端に少なかった。
なお、妖精は現代も存在する為、その妖精との好感度を上げれば『譲渡』『借与』が可能となっている。
この『譲渡』『借与』を、『加護』と言う。その『譲渡』割合を数値化すると『水妖精の加護(90)』あるいは『水妖精加護(大)』などと表現される。
(大)は、概ね90%程
(中)は、概ね60%程
(小)は、概ね30%程となり、『譲渡(借与)』した『妖精』の魔法能力(の数の中)から(貸し)与えられる。
『守護』とは。
『守護』には2種類ある。自分の分身を常駐させる場合と、周囲の妖精(の子)の協力を貰える場合である。
『守護』にも『好感度』があり、好感度が高くなると『守護』を与えられる事がある。気にいった人族と一緒に居たいと思う感情が『守護』となると言われている。
『守護』を貰うと魔法の行使は『妖精』が行う。詠唱や魔法陣が不要なのは同じだが『譲渡』と違うのは、実行するのは『人族の中の妖精の分身』だという事。その為、魔法スキルは、その妖精が持っているほぼ全ての魔法が使用出来るが分身の割合に応じてその規模や発現時間が制限される。
『水妖精の守護(90)』とか『水妖精守護(大)』と表現される。
(大)は、概ね90%程
(中)は、概ね60%程
(小)は、概ね30%程となり、『守護』した『妖精』の魔法スキルを使用出来る。
また、妖精も守護した分の能力を失うことになる。100%で半分、50%で四分の一が減少する。
『守護』は、その妖精と好感度を持った人族との間に交わされた、一種の契約だと言える。その為、『守護』は一代限りとなるが、妖精は死滅する事が無いので、『守護』を与えた人族の子孫が同じ好感度を持っていた場合は、再度『守護』を与えることがある。
なお、稀な例ではあるが『守護』の一例として、人族に『妖精族』との好感度が高い者がいる時がある。『妖精』単体ではなく、『妖精族』(その妖精の全て)との好感度が高いため妖精の協力が得られやすいのだ。
『水妖精の守護』と表示され、()の数値や(大)表記が無い。周囲に水妖精(の子)がいる場合、その協力で魔法を代行してくれるのだ。
なお、妖精の子は、長期間生存した妖精が一旦消滅して再生されている途中の状態をいう。『光の妖精』とも言われ、核が光り空を舞うように飛んでいる。前世の『知識』、『能力』(こっちは成長状態に応じる)を持つが『記憶』は断片的にしか継承されない。
『守護』だけの特別なスキルがある。
『ゴーレム』と呼ばれる、各種の人形を動かす事だ。その大きさ作成数は、術者のスキルによるが それを動かせるのは、条件がある。
単に手足を動かすだけなら、魔法や魔素で何とかなるかもしれない。それに意思を持たせるのであれば、妖精の協力が必要となる。
妖精は、『ゴーレム』を自身の体として動かす事が出来る。その為、『守護』してくれている妖精に依頼して、憑依してもらえば作動可能となる。