優待ドラゴン、最近株というものを始めた
「今日もがんばって優待を使うとするか」
私は最近、株というものを始めた。
千年も生きていると洞窟の中に財宝ががんがんとたまってくる。
散歩中に拾ったり、勇者からぶんどったり、昔は供物を持ってくる人間もいたりした。
がんがんたまるのはいいが、最近はたまりすぎて洞窟が狭く感じていた。
ある時なんか、金貨の山が崩れてきて埋まりそうにもなった。
金貨のいい使い道はないか考えてきたとき、知り合いのドラゴンに最近の人間世界のはやりについて聞いた。
やつ曰く、最近、人間の世界では株というものが流行っているらしいと。
その中でも株主に優待品というものを送ってくれる商会があって、それ目当てで株を買う人間がいるというのだ。
これだ、と思った。
その日から、私は優待品が充実している商会の株を買いあさり始めたのだった。
「さて、朝食は優待でもらったカレーにするか」
確か、優待でもらったオークカレーがあの辺にあったはずだけど。
これでもないし、あれでもない。。
金貨が減った代わりに最近は段ボールが洞窟に積みあがってきて困っている。
早急になんとかしないとな。
あった、あった。これだ。
ごろごろオークカレー。。
これを袋ごと鍋で煮てご飯にかけて。
もちろん、この鍋もご飯も優待品だ。
うん、うまそうだな。
ぱく。
うま~~~い。うま、うまい。
口の中に広がるスパイスの香り、ごろごろとたくさん入っているオーク肉も柔らかく仕上がっている。あいつらは生で食うとまずいのに、カレーに入れるとなぜこんなにうまくなるのだろうか?
よし、ごちそうさまだな。
このあとは優待券を消費するために人間の街にいかないとな。
私は今週中に使う予定の優待券を広げた。
いつも携帯している優待財布に優先順位の高い優待券をいれているのだ。
絶望した。
この量を今週中に使わないと紙屑になってしまうのか。
私は途方に暮れかけるが、それでも優待券を使わないといけない。
洞窟を出て、私はドラゴンフォームに変身した。
「変身」
「待ってろよ、絶対に今週中に使い切ってやるからな」
私は、地面をけって空へ飛びあがった。
◇◇◇
インスタントカレーを送ってくれる優待の他にカレー店を展開している商会の株も持っている。
商会の株を100株持っていると、店で年に4回カレーを食べれる券を送ってくる。
その株を私は1000株持っているので年に40回は、その店でカレーを食せる。
「うむ。うまそうだな」
濃厚なスパイスのかおりが漂ってくる。
今日は辛いカレーが食べたい気分だったので、10辛を選んだ。
この店では、甘口から10辛まで頼める。
「はふ、はふ。。」
このちょっと舌がジーンとする辛さ、最高だな。
うまいな。
この辛さの中にも奥深いスパイスの味わいが口の中に広がる。
株を買って人間界に来るまではこんなにうまいものを食ったことがなかった。
株のことを教えてくれた知り合いのドラゴンには感謝だな。
う~~~ん。うまい。
ん?
ちょっと、まてよ。
こんな余韻に浸っている場合か?
この後は、奴隷商会の優待券でペットをもらって、、そのあとは勇者がドラゴンを退治する演劇を見に行って。
また、カレーを食べて。
結構時間が押している。
早く食べなくては。
むしゃむしゃ。
むしゃ。
ごちそうさま。
よし、いくぞ。
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