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バレー嫌いの俺が、女子バレー部のコーチします!  作者: 楪桔梗
第一章 バレー部との出会い
6/41

呼び出し

先生に言われた通り二組から持って行くと、体育委員は女子生徒ですでに着替え終えていた。

 急いで八組まで持って行く。

 八組はフロンティア科で、普通科よりも人が多いため、ドアのところにいるとたくさんの生徒がこちらに注目する。

「すみません、体育委員の人に直接渡せって言われたんですけど」

「はいはーいって球宮くんじゃん」

「八組の体育委員は山之内か」

「うん、そうなんだ。……ところでもう一つの封筒って何組の?」

「最後は六組だ」

「ふーん」

 山之内は封筒を持っていない左手で口元を隠す。明らかに何か企んでいる顔だ。

「六組の体育委員はたぬちゃんが好きなかわいい女の子なんだ。たぬちゃん好きな女の子って呼んであげると喜ぶと思うよ?」

「本当か?」

「うん、本当だよ!」

 たぬちゃんとは、最近流行りだした子供向けアニメで(たぬき)の主人公なのでたぬちゃんと呼ばれている。いたずら好きの狸たちだが、たぬちゃんはいたづらを嫌い友達を百人作ろうと旅に出る物語だ。

百人の友達を作るために努力をするたぬちゃんに魅入られた大人たちによって、日本の子供たちの中で知らない子はいないほどまで有名になった。

それでも子供向けのアニメなのでたぬちゃん好きというのは恥ずかしいと思うが喜ぶのなら問題ないだろう。

俺もたぬちゃんはたまに見るし。

「ありがとな、山之内。お前に教えてもらったように呼んでみる」

「え、う、うん。どういたしまして。……え、まじ?」

 最後のほうはなんと言っていたのか聞き取ることはできなかったが今はそんなことを気にしている暇はない。

 とても特徴的な趣味を山之内が教えてくれたおかげで早く見つけることができそうだ。

 ……どうして山之内がその人の趣味に詳しいのか疑問に思えてきた。同時に嫌な予感もしてきた。

 その感覚が残ったまま六組についてしまう。

 六組は普通科の中でも特進クラスと言い成績の高い人がいるクラスだ。ちなみに二年からは文系理系に分かれ、一・二・三組が文系、四・五・六組が理系になる。

去年は俺も特進クラスだったが体育の実技成績がそこまで高くなかったので二年になり特進クラスから外された。

 それもあってこのクラスには声をかけやすい。

「すみませーん、体育委員の人はいませんか? 八組の体育委員の情報によると、たぬちゃんが好——」

「わああぁぁぁぁ⁉ 私、私だから!」

「……茅山?」

 六組の体育委員は意外な人物だった。

 山之内の言っていた情報では「六組の体育委員はたぬちゃんが好きなかわいい女の子なんだ」だったので俺はてっきり眼鏡をつけた勉強できる系女子かと思っていたが、まさか茅山だったとは完全に予想外だ。

 俺のところまで来た茅山は、俺の左腕を握り教室から出てしまった。

 廊下に連れ出された俺は茅山に壁ドンされてしまった。いわゆる逆壁ドンだ。

 俺が膝を曲げているため茅山のほうが高く、見上げる形になってしまい顔がよく見える。とても分かりやすいくらいに真っ赤だ。それにわなわな震えている。

「お前、い、いったい誰から、た、たたた、たぬちゃんのことを、きき、聞いた‼」

「や、山之内からだけど」

「……あのバカ女! なに人のプライバシーをばらしてるんだ、馬鹿ノ内!」

 どうやら恥ずかしかったようですよ? 山之内秋穂さん。体育委員の彼女、まったく喜んでませんよ?

「おい球宮、たぬちゃんが好きなこと誰にも言うなよ!」

「お、おう」

 とりあえずたぬちゃんのことに関してはひと段落付いたようだ。山之内が悪いということで。

「それで、何か用があってきたんだろ?」

「ああ、これを体育委員に渡すように笹木先生に言われて」

 俺は右手に持っていた封筒を茅山に渡す。

 受け取った茅山は封筒を開け中身を確認していた。

「……ただの授業感想用紙じゃん。これなら教卓の上に置いてればよかったのに、もしかして馬鹿なのか?」

「先生に直接渡せって言われたんだよ。あと俺は馬鹿じゃないから。」

「ふーん、まあどうでもいいけど、自分の教室に戻ったほうがいいぜ、もうすぐチャイムなるから」

 そう言われたので六組にある時計を見た。

 六時限目が終わったのは十六時十分でSHRがあるのはその十分後だ。そして針は今十八分を表していた。

 このままではSHRの前に着替えることができない。

「サンキュー茅山、もう戻るわ」

「別に感謝されるようなことでもねーよ、さっさと戻れ」

 それだけ言って茅山は教室に戻っていった。

 俺も急いで教室に戻ることにした。二分もあれば学ランを着ることなんて楽勝でできる。

 教室について急いで着替えようと学ランをカバンの中から取り出したその時、

「はーい、SHR始めるからみんな座ってね。球宮くんは学ランをしっかり片付けてね。じゃないとSHR開始できないから」

「……はい」

 笹木先生が教室に入ってきてしまい着替えることができなかった。むしろ早く直せとでもいうような圧を感じた。

 それでも笹木先生のSHRは早く終わるのでその後に着替えて帰ればいいだろう。

 しかし今日は笹木先生の話が長かった。いつもなら配布物を配り、少し話したら終わりのはずなのに、今日は配布物を一つ配ったら話をして次の配布物を配ることが多かった。

 先生が話している途中にSHR終了のチャイムが鳴ってしまった。

「あら、もう時間? いつもチャイムが鳴る前に終わってるから分からなかったけど、SHRってとても短いのね。それじゃあ帰りの挨拶しましょうか。……あっ、球宮くんは挨拶のあと前に来てね」

「……はい」

「みんな帰り道には気を付けてね。さようなら」

『さようならっ!』

 挨拶を終えた俺は体操服を着替えて、笹木先生に言われた通りに前のほうに向かう。

「先生どうしたんですか? 早く帰りたいんですけど。」

「ごめんねー。ここじゃ話しにくい内容だから生徒相談室に行こうか」

 先生はそれだけ言うと荷物をもって教室を出た。俺は先生についていく。

 生徒相談室とは第一校舎の三階にある教室の一つで、第二校舎から見て右端のほうに存在する。

 生徒相談室の目の前には生徒指導室があり、その横には職員室も存在する。更に、生徒指導もたまに生徒相談室で行われるので、生徒相談室は第二の生徒指導室とも呼ばれている。

 だが、生徒指導で使われるのは生徒指導室が使用済みの時だけなので、最初から生徒相談室を使うつもりでいるのなら生徒指導ではない。

「職員室に荷物置いてくるから先に行っててね」

 それだけ言い先生は職員室に入っていった。

 先生に言われた通り俺は生徒相談室に向かった。

 生徒相談室の前に来ると中の電気がついているのが分かった。もしかしたら使用中かもしれないが、この棟の教室は中が見れないように特殊なガラスになっている。そのため一度ドアを開いて中に人がいるかを確認しなければならない。

 ゆっくりドアを開ける。そこには二人の生徒が座っていた。


読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字がありましたら報告してくだされば嬉しいです。

感想の方もお待ちしております。

今後もよろしくお願いします。

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