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害虫駆除②

最終話です

いつもより多めに書いています。

元成はあらかじめ書いていたホワイトボードを机の上に出す。

 馬ケ背高校 レギュラーメンバー


 WS 茅山朋紀 百七十五・二センチ  二年 四番


WS 海熊朱莉 百七十三・五センチ 二年 五番


MB 増国三枝 百八十七・一センチ 三年 一番 C


 MB 日車葵  百八十二・〇センチ 二年 三番


  S  日々屋華  百七十一・三センチ 三年 二番


 WS 涌井由夢 百七十・〇センチ  一年 十四番


 Li 山之内秋穂 百六十三・七センチ 二年 九番


 元成が出したレギュラーメンバーの書かれたホワイトボードを見て皆驚く。

 一年は『WS 涌井由夢 百七十・〇センチ  一年 十四番』の欄に、二年、三年は「WS」すべての欄に。そんなことをよそに元成は話を続ける。

「あ、身長は一応全員分してるが体重などは教えてもらってないから心配しなくてもいいぞ!」

「ちょっと!」

 皆が驚く中、高原が席を立ち声を出してレギュラーメンバーに文句を言おうとした。しかし、今の元成は止まることを知らない。

「悪いが、意見や質問、文句がある奴は説明が終わってからにしてくれ」

「っ!」

 元成は先程までと違い低い声で高原を威圧する。

 元成の声による威圧にビビってしまった高原は席に座る。

 それを確認した元成は再びいつもの声で話を続ける。

「まー、気になることは多いと思うが一言でいえば実力だな、一つのポジションを除いて。まずSだが、元から日々屋先輩しかいないので確定。次にLiだが、経験の多い山之内を起用。次にMBは増国先輩は確定としてもう一つは重要になってくる身長で日車姉に決定。最後にWSだが実力のある茅山と海熊は確定、最後の一つは二年のどちらかでもよかったがここはあえて涌井にした。いくつか理由はあるが大きな理由は本条と奈良の温存だ」

 それぞれ選ばれた理由が説明される中夢を選んだ理由が恵と咲良の温存というところで一年二年は首をひねる。

「俺は二人の性格は明るいと思っている」

 この言葉に長年一緒にいる二年は頷いて肯定する。

「だから俺はこの二人を使うのはチームの士気が下がったときだと考えた。雰囲気が暗いコートに一人明るい選手が入ることで皆少しづつ明るくなり、流れを作ることができる。だからこそこの二人を温存しておく。納得したか?」

『はいっ!』

 高原たち以外が返事をする。

「とりあえず説明は終わったが何か質問がある奴はいるか?」

 この言葉を待ってましたかとでも言わんばかりに高原・島村・東郷は席を立ち、言い放つ。

「ねぇ、私たちこの前言ったよね? このバレー部にとって私たちは恩人だからスタメンにしろ、って。なのになに? 二年どころか一年までもがスタメンに入って私たちはベンチってわけ? 調子乗ってんじゃないわよ」

「そうそう、マジないわ~」

「分かったらもう一回スタメン発表しなよ。私たちがレギュラーでね」

「…………」

 文句を言ってくる高原たちに対して虫を続ける元成。ついに高原が切れ元成の胸倉を掴み叫ぼうとしたとき、教室に琴美とトヨネが入ってくる。

「球宮くーん、頼まれていたもの持ってきたわよー!」

「私も持って来てやったよ!」

「お二人とも、ありがとうございます」

 元成は胸倉を掴んでいた高原の手をどけ琴海から琴海から二種類、トヨネから一種類の紙を受け取る。

 元成は琴海から受け取った一種類の両面印刷の紙を部員に渡していく。

 預かった残りの二種類の紙を見る。

(トヨネさんの紙は強制退部届……ん? 保護者枠に名前と判子が、それも三つとも!)

 元成は顔をトヨネに向ける。トヨネはそれに気づきウインクで元成に返し、元成は一礼してお礼をする。

(それで笹木先生の方は……ぎりっぎりで大丈夫だな!)

 すべてを確認し終えた元成は教卓に戻り、紙を机の上に置き話を続ける。

「それで、今日の本題だがみんなに配った紙は入部した生徒全員に配られるトヨネさんの書いた『部活動に関する本』の百七十五ページをコピーした紙だ。内容は『強制退部とその条件』についてだ。そして俺はこの強制退部を高原さん、島村さん、東郷さんの三人に行使します」

「「「……は?」」」

 その言葉に高原たちは一瞬呆け顔になるがすぐに我に返る。

「て、てめぇふざけんな! 数日前しゃしゃり出てきたやつが何言ってんだ! いいぞやってやるよ! だけど、もし私たちが勝ったらてめぇの財布にある有り金全部もらうからな!」

「どうぞ。というわけで紙に書いているように決め方は何でもいいが三分の二以上が賛成しないと強制退部させることができない。よって、今から訊くから挙手で応えてくれ。見届け人はトヨネさん、お願いします」

「まかせなさい!」

 元成の頼みにトヨネはグッドポーズで応える。

「それじゃあ高原・島村・東郷に部活をやめてほしい人は挙手をお願いします」

 バレー部顧問である琴海が効くと部員たちは一気に手を挙げた。

「と、言うことで高原さん達は強制退部のステップワンをクリアしたので次のステップツー、皆さん一個下の文章読んだら分かると思いますがこれまでのテストの結果で五十点以下が五個以上あればクリアになります。……オー、教卓にあるこれは高原さん達のこれまでのテストの結果のグラフ!」

「「「はぁ⁉」」」

 高原たちは驚き声を出して教卓の紙を見る。そこにあったのは裏向きの紙と三人のテストの結果の乗っている紙だ。

「ふむふむ、あらら一年の時点ですでに超えてないのが十個以上あるから余裕のクリアね」

『(なんか笹木先生、楽しそうじゃね?)』

 バレー部の誰もがそう思う中、琴海無双は止まらない。

「さて、最後のステップスリーこれをクリアしたら確定で強制退部できるよ! なにかな、なにかな? おお! その人物たちが部活にもたらした損益。……恩人っていう理由で部活動を私物化して自由にしていたことだね! それとみんなに書いてもらった三人に対しての感想、ぜーんぶ悪口や文句! これでステップスリーもクリア! 強制退部決定!」

 それだけ言い終えると空いている椅子に座り胸を張った。

「と、先程先生が説明してくれたように強制退部届に名前と判子お願いします」

すでに親の名前と判子が載っていた紙を三人それぞれに渡す。

「きょ、今日判子持って来てないんだけど」

「あ、それならあんたたちの預かってるよ!」

 トヨネは三人それぞれの判子を渡す。その時、高原は小さく舌打ちをしたが誰の耳にも入らないまま島村と東郷の耳に口を近づけ小さな声で話す。

「(ねぇ、紙見たけど強制退部届って行使した人が直接部活動責任教師に渡さないと受理されないんだって、だけどその人のこと私たち誰かも知らないし、あいつ足怪我してるらしいよ)」

 高原は元成に目を向けて話を続ける。

「(だからさ、あいつが部活動責任教師を探しているうちに私たちが痛めつけてこの紙を取り返せば勝ちじゃない? これが受理されたらバレー部だった記録事無くされて内申に賭けないらしいし)」

「(それいいじゃん!)」

「(なら早く書いて待ち伏せようよ)」

 三人はすぐに名前を書き始めた。

 数十秒して三人同時に書き終え元成に強制退部届を渡す。

「はい、これでいいでしょ?」

「確かに受け取りました。それじゃあ紙の後ろに書いている通り今後、バレー部にはかかわらないでください」

「分かったわよ。じゃあな、お前らが無駄に頑張って負ける姿楽しみにしてるよ!」

 それだけ言い高原たちは教室を出て行った。

「なぁ、球宮、私はあいつらが素直に諦めるとは思えねぇんだけど」

 高原たちがいなくなりすぐに口を開いたのは朋紀だった。

「確か強制退部が受理されるのは部活動責任教師に渡したときで強制退部を行使した人しか渡せないはずです。どうするんですか? 球宮さん」

 元成と同じ二年の里桜が尋ねると元成は笑顔で返した。

「大丈夫、渡せばいいんだから。ということでトヨネさんあとはよろしくお願いします。ついでにこのカメラの写真も」

「まっかせなさい! 念のために受理印も持ってきたしもう押してあげるよ! それで写真は……あんたこのこと今日まで黙ってたね? 全くとんだ策士だね!」

 そう言って元成から強制退部届を受け取ったトヨネは連続で受理印を押し強制退部届を持ち「ほんじゃ、仲良くやるんだよ!」と言い教室を出る。その後に「あんたたち! もう受理印は押したんだからバレー部に関わるんじゃないよ!」という声が聞こえた後に「「「そ、そんな~!」」」という声に、教室内で笑いが起きた。

「それじゃあ、今日の部活を——」

「ちょっと待った」

 元成が部活をしめようとしたとき三枝がそれを遮った。

「私から一つ、球宮元成くんに新コーチをしてほしいと思っています。賛成の人は挙手をしてください」

 三枝の言葉に皆顔を向かい合わせる。

(ま、一週間も経ってないから手が上がらないのは予想していたけどな)

 元成は驚いたもののすぐに冷静になる。しかし、手が次々に上がっていった。

「ッ⁉」

元成もこのことには驚きを隠せないでいた。最後に三枝の手が上がり、満場一致で元成がコーチに就任することが決まった。

「それでは球宮コーチ、就任あいさつお願いします」

 元成は急なことで焦ってしまうが、すぐに落ち着いて息を吐いた。そして教卓の前に立ち挨拶をする。

「どうも、今日からコーチに就任した二年三組の球宮元成です。去年から笹木先生に頼まれ今年になって増国主将にも頼まれてしまったのでコーチをすることにしました。恐らくさっきの挙手には俺があの三人を排除したから手を挙げた人もいると思います」

 その言葉に元成とほとんど関わっていなかった者たちが目を背ける。

「しかし、コーチになったからにはこのチームをインターハイ、もしくは春高、またその両方で全国大会に出場させたいと思っていますので厳しくいくつもりです。今後とも長い付き合いになりますが、どうぞよろしくお願いします!」

 元成が挨拶を終え頭を下げ一礼をすると拍手が沸き起こる。

 拍手が静まると三枝は占めるためにあることを提案する。

「よし、せっかくだしエンジン組むか!」

「お、イイですね。新コーチに新入部員も入ってきてくれて、バレー部の厄介者がいなくなったわけですし」

 皆机をどけて円になる。

「ほらどうしたんだ? 先生に球宮くんも早く円に入りなよ」

「い、いや、俺は——」

「いいじゃん、球宮くん! 主役がいないと寂しいよ! ほら行くよ!」

 元成が三枝の誘いを断ろうとしたとき、後ろから琴海が背中を押して無理やり円に加えた。

「よし、全員そろった。じゃあキャプテンの私から一言。今まで私たちバレー部は高原たちによって勝つこともできなったし、実力のある選手が試合に出ることもできなかった。でもあいつらはもういない! 今ここにいるのはその期間我慢し続けてきた人と、入部してくれた新入生! そして私たちを導いてくれる新コーチ! 恵まれた環境になった! 目指すぞ全国大会! 馬ケ背―ファイッ‼」

『オー‼』

 バレー部の声は校内全体に響き渡った。

 ここに新生馬ケ背高校バレー部が今、誕生した!


これまで読んでくださり誠にありがとうございます。

このシリーズはこれで完結とさせていただきます。

現在、次回作について考えていますのでお待ちください

本当にありがとうございました!

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