表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/41

激突! 馬ケ背高校VS大淀川高校⑮

 ここで馬ケ背高校の連続得点(ブレイク)により七対五と再び二点差に開いた。

「コウ、もう一本ナイッサー」

「は、はい」

 三枝からボールを受け取ったコウはエンドラインの後ろに立ち、先程のサーブの反省をする。

(やっぱり練習で一度も成功してないのに練習試合で成功する可能性って低いよね。でも、練習試合だし試していかなきゃ)

 コウは両手にボールを持ち、額に当て、一息吐いて気持ちを落ち着かせる。

 審判の笛が鳴りボールを両手で前にあげ、軽く跳んでジャンプフローターサーブを打つ。

(今までで一番いい!)

 ボールは回転しているものの、回転量は少なく大淀川コートに飛んでいく。

「私に任せなさい!」

 ボールは絹恵と美郷の間に飛んでいくが、若干絹恵よりだったため声を出して美郷をどけ、オーバーハンドでボールを上げる。

 夜光はその落下地点に入り、先程と同じように恵聖にトスを上げる。

(さっきは油断した。けど狙いは変わらない。狙いは体力が少ないセッター、さっきと一緒で増国三枝はストレートをしめている)

 恵聖は狙いを定め助走に入り、ボールが来たタイミングで上に跳んでスパイクモーションに入る。

 三枝はそれを見てボールの進行方向をうでを振り防ぐ。

「さっきと同じじゃ、つまらないよ」

 その行動を一瞬で目にした恵聖はそこで腰をひねり、体の向きを変え、そのままストレートにスパイクを打つ。

「っ⁉」

「私、うちのキャプテンと違ってバカじゃないから」

 恵聖のスパイクはブロックを越し、コウの正面に飛んでいく。

「イッ!」

 コウはアンダーハンドでレシーブをしようとするが、ボールの威力に負け他のところに飛ばしてしまう。

 これで試合は七対六と一点差に変わる。しかし、そこから点差が変わることなく進んでいき、気が付けば二十二対二十と馬ケ背高校がリードした状態で終盤を迎えていた。

 次のサーバーである陽はボールを持ち、審判が笛を吹くのを待つ。

 審判が笛を吹く瞬間にフローターサーブを素早く打ち、大淀川のペースを乱す。

「っ⁉ オライッ!」

 一瞬驚くも美郷はすぐにボールの正面に入りレシーブを上げる。

 夜光はボールの落下地点に入り、センターに走りこんでいた風夏にトスを上げる。

 風夏と同じタイミングでコウもブロックに跳ぶが、風夏の方が高く、コウのブロックの上からボールを叩き落す。

 それに薫は反応しレシーブを上げるも、ボールはサイドラインを割ったところに飛んでいく。

 三枝はそれに反応し、ボールに跳び込みアンダーハンドでトスを上げる。

ボールはきれいな弧を描くように後衛にいる伊吹のところへ飛んでいく。

「うーわっ、面倒くさいの来た~」

 伊吹は数歩下がり助走に入ってタイミングよく上に跳び、スパイクモーションに入る。

 それと同時にブロッカーである絹恵、風夏、夜光はブロックに跳ぶ。

(三人もつれた)

 伊吹はボールが来ると、打つ瞬間に力を抜いてフェイントに切り替える。

「「「っ⁉」」」

 三人のブロッカーは驚きを隠せないでいた。しかし、後衛の美郷は待っていたと言わんばかりに前に突っ込みレシーブを上げる。

「っ⁉」

 今度は伊吹が驚く番だった。

 夜光はすぐにトスを上げ、後衛の楓がタイミングよく入りスパイクを打つ。

 ボールは薫の正面に飛んでいく。

 薫はその場を一歩も動かずにレシーブを上げ、三枝はそのボールの落下地点に入り恵にトスを上げる。

 恵は助走に入らない状態で上に跳びスパイクモーションに入る。

 それを見た風夏は一瞬だけ戸惑いながらもブロックに跳ぶ。

「たしか、こうだったかな?」

恵は狙いを定めてボールを打つ。

そのスパイクは風夏の指先に当たりエンドラインを大きく越え床に落ちる。

これで二十三対二十になり、三セット目では序盤以来の三点差となる。

「ナイスで~す。メグせんぱ~い」

「うん。見様(みよう)()真似(まね)だったけどうまくいってよかったよ!」

「ああ、向こうの一番の……はぁ? 見様見真似でブロックアウトって、どんだけコントロールがいいんですか~?」

「うーん、さぁ?」

「……これが天然にしか見られない才能ってやつか~」

 伊吹は恵に呆れながら自身のポジションに戻る。

 サーバーの陽はボールを持ち、笛が鳴るのを待つ。

 審判の笛が鳴り、陽は左手にボールを乗せ右腕を後ろに引き、いつでもサーブが打てる体制で固まる。

 大淀川レシーバーはなかなか来ないサーブにストレスを募らせながらもボールが来るのを待つ。

(そろそろ、いいよね?)

 陽は長時間ためてサーブを打つ。ボールは低い弾道で飛んでいき白帯にかかり上にはじける。

「ひっ⁉」

 白帯にかかることを予想していなかった陽は驚きの声が出てしまう。

 ボールはギリギリで大淀川コートに入る。

「オライッ!」

絹恵はボールの落下地点に入りオーバーハンドで夜光に返す。

夜光は助走の準備ができていない前衛の絹恵と風夏を一度見てから後ろの恵聖を見る。

恵聖は既に助走に入っており、夜光は恵聖にトスを上げる。

恵聖はタイミングよく上に跳ぶ。それと同時に跳ぶ恵のブロックを見て、スパイクモーションに入り狙いを定める。

恵聖が腕を振る瞬間、恵は腕を広げ恵聖のスパイクがアウトラインを超えるように誘うが、それを見た恵聖も腰をひねり、無理やり恵の指にスパイクを当てた。

恵の指に当たったボールは軌道を変え飛んでいくが、それを読んでいた三枝は既にラインを超えたボールを馬ケ背コートに戻す。

「増国三枝がファーストタッチ、攻撃が単調になるよ!」

 絹恵は三枝がトスを上げないことで簡単な攻撃しかないことをチームに伝える。それを聞いて黙っていない者が一人いた。

「攻撃が単調になるって言ってたけど、このチームの正セッターは私なんですよ!」

 華だ。今までサーブ以外でボールに触っていなかったため、代わりにトスを上げていた三枝がセッターの印象が強くなってしまっており、絹恵は彼女の存在を忘れていた。

 華は後衛から走りこんでいた陽にトスを上げる。

(バックアタック! でも風夏もブロックに入るし、美郷も後ろにいるからこの攻撃は決めさせない!)

 陽はタイミングよく上に跳びスパイクモーションに入る。

「ひぃ⁉」

 しかしブロックに入ってきた絹恵と風夏に驚いてしまう。

(もしかして、あの子気が弱いんじゃ……。だったら急にブロックが入ってきたことに驚いて逃げに入るはず。今のうちに前に!)

 陽の表情を見ていた美郷はフェイントを警戒して前に詰める。

 案の定、陽は驚きと同時に腕を振る力を抜いてしまい強制的にフェイントに切り替える。

「(腕の振りが遅くなった)フェイント!」

 腕の振りを見ていた絹恵は声を出してフェイントを警戒させる。

しかし今の陽の頭の中は、

(打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ)

 そのことで頭がいっぱいになっていた。

 ボールが手の平に当たるとき「えいっ!」と、声を出して打つ。

「っ⁉」

ボールはフェイントを警戒して前に出てきていた美郷の頭上を越えてエンドラインぎりぎりに落ちる。

これで二十四対二十と馬ケ背高校がマッチポイントになる。


読んでくださってありがとうございます。

評価・ブックマークの方よろしくお願いします

感想もお待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ