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激突! 馬ケ背高校VS大淀川高校⑫

笛が鳴り再び華がサーブを打つ。

 このボールも「入れるだけサーブ」のためそこまでの威力はない。ボールは恵聖の正面に飛んでいく。

 恵聖はこれをしっかりとレシーブしボールは夜光のもとに返る。

「レフトォ!」

 絹恵は声を出してボールをレフトに要求する。夜光は一度絹恵に視線を移し、一瞬三枝の足元を見てボールに視線を戻す。

(やっぱり)

 夜光は二セット目から三枝を観察していた。そして三セット目の序盤で核心を突くことができたのだ。

(増国三枝がトスを見てからでもブロックに入れる理由、それは行きたい方向に素早く行けるようにその方向の足を外に向けているから。だったら、その逆を突くのは癖を見抜ければたやすいわよね)

 その時、夜光の後ろを人影が通過する。

「チッ」

 三枝はすぐにその人影を追う。

「紅炎!」

「ナイスだよ、夜光」

 夜光の狙いを即座に理解した紅炎はすぐに行動に起こしていた。虚をつくには移動攻撃(ブロード)有効である、と。

(この攻撃に追いつくなんて流石じゃん三枝。でもボクのほうが一枚上手だったかな)

 紅炎は体よそのまま横に流しながら跳ぶ。三枝は横跳びして腕を伸ばす。しかしストレート側を占めることはできていなかった。

 紅炎はそのままストレートめがけて腕を振る。

 ボールはネットを超えることはなかった。

「うそ……」

 そこにはもう一人のブロッカーがいたのだ。

「やった、止め、まし、た」

 彼女の声は小さく紅炎は聞き取ることができていなかった。

「王谷、ナイスブロックだ。小さかったおかげで紅炎の目に触れなかったのが幸いだったな」

「は、はい」

 三枝がほめてくれたことがうれしくてコウは大きな声で返事をする。しかし、

「おお、珍しいな王谷が普通に声を出すなんて」

 王谷コウ、彼女の声はとても小さい。そのため彼女の中では普通の声で話したら聞き取りづらく、大きな声で話したら他人から見ると普通の声で話しているように感じ取られてしまう。

「とにかくこれで二対〇だ。せっかくの練習試合、楽しんで勝つぞ!」

『はいっ!』

 三枝の一声で再び気合を引き締めなおす。

「ふぅぅ、ふぉぉ」

 華はボールを持ちエンドラインで息を整える。

(体力もある程度回復したし、そろそろ狙っていいいかな)

 審判の笛が鳴りサーブを打つ。先程までとは違い、今回のサーブはスピードが少し早くなっていた。

「恵聖先輩!」

「了解」

 美郷は声を出して恵聖にボールを捕らせる。

 恵聖はレシーブを上げ、そのボールの落下地点に夜光が入る。

(さっきは完全に増国三枝に気を取られてしまったけど、もう大丈夫ね。今ならだれに上げればいいかわかる)

 そして視線を一度紅炎に向けて三枝の足元を見る。

(それにさっきのプレーは無駄ではなかったようだし)

 三枝の足元はどちらもつま先が正面を向いていた。先程のプレーで警戒してしまっていた。

「絹恵!」

 そう叫び、絹恵にトスを上げる。

 三枝もそれについて行っていた。

 馬ケ背のブロックは恵、コウ、三枝の三枚だ。

 絹恵が跳ぶと同時に三人も上に跳ぶ。

(増国三枝のいる方向はクロス、だったら今のストレートは穴場!)

 絹恵は一瞬でどこに打つかを判断し腕を振ってボールを打つ。絹恵のスパイクはストレートをしめていた恵の更に外側を通る。

 しかしボールの落下地点前には華がすでに待機していた。

「っ! 重い! 三枝カバーお願い!」

「任せろ」

 ボールをかろうじてボールを上げた華はすぐにその場をどき、三枝がトスを上げやすいように道を作った。

「島浦!」

 三枝はサイドラインから反対のサイドライン側にいる伊吹にトスを上げる。

誰もが驚いた中、伊吹は少し遅れて助走を開始し、ボールが来たタイミングで上に跳ぶ。ギリギリでブロックに入ることができた紅炎は横跳びでブロックに入る。誰もが強打を警戒した中、伊吹は一言、

「だる」

 とつぶやきフェイントに切り替える。

 大淀川は強打を警戒していたため急なフェイントに驚き跳びつくも、ボールは床に落ちてしまい馬ケ背の得点となり、三対〇と再び点差が広がる。

 三枝は得点を決めた伊吹に近づき軽くチョップをする。

「いたっ」

「島浦、声に出ていたぞ。だるくても声に出すなと練習で言っただろ」

「だって腕を振ってスパイク決めるなんてだるいじゃないですか~」

「だってじゃない」

 そう言い三枝はもう一度伊吹にチョップを食らわせる。

「いたっ、暴力反対!」

「だったら思っていること全部を口に出すな」

「は~い」

 伊吹はだらけた返事をし、自身のポジションに戻る。

 再び華のサーブであったが、コントロールができず、ボールはネットにかかってしまう。

「ごめん!」

「気にするな、次だ、次。」

 絹恵はボールを持ちエンドラインの少し後ろまで下がる。

「悪いけど、こっちもリードされちゃっている状態だから狙わせてもらうよ。リベロちゃん」

 絹恵は笛が鳴ると同時に両手でボールを上げ、ジャンプフローターサーブを薫めがけて打つ。薫はボールが来ると同時に前に走り、ジャンプしてオーバーハンドでボールを拾う。

 ボールは三枝のもとに上がり三枝はそのままボールを打つ。

 それに気づいた紅炎は手を伸ばしてボールに触れ上にあげる。

「ワンタッチ!」

 紅炎は声を出してボールを触ったことを仲間に伝える。

 ボールの落下地点に入った美郷はレシーブをして夜光に返す。

 夜光はすぐさま落下地点に入りボールが落ちてくるのを待つが、すぐにその場を離れる。

 もともと夜光がいた場所に絹恵がスパイクモーションで跳び込んできた。そのまま腕を振り、ボールを打つ。

 それに気づいたコウは慌ててブロックに着き、ソフトブロックで対応するが、絹恵のスパイクはコウの上を通過し、コートにたたきつけられた。

「よっし! いたっ!」

 スパイクが決まったことに喜ぶ絹恵だが、夜光に頬を引っ張られた。

「ちょっと、急に跳び込んだら危ないじゃない! 避けることができたからよかったもののもう少しで大惨事になってたかもしれないのよ!」

「ごうぇんにゃさい(ごめんなさい)。でも、おひえてたらましゅくにみえにばりぇりゅとおみょったかりゃ(教えたら増国三枝にばれると思ったから)」

「……はぁ、ま、点を取ったし良しとするか」

「おお、わかってくれたか夜光、それじゃ——」

「でも、次やったら許さないから、わかった?」

「は、ひゃい」

 夜光はそれだけを言い自身のポジションに戻った。

 絹恵の頭の中には夜光の恐怖しか残っていなかった。

 結果、次のサーブはボールの当たり所が悪く、馬ケ背コートのエンドラインを大きく越してしまうほどの特大ホームランになってしまった。

 四対二と再び二点差になる。

 次のサーバーである恵はエンドラインに立ち、左肩をコートに向けて笛が鳴るのを待つ。

 笛が鳴ると同時にボールを持った左手を肩の高さに上げ、軽く上に上げて横から右腕を振りサーブを打つ。

 サイドサーブだ。

 低い軌道のまま大淀川コートに飛んでいく。

「「オライッ! ッ⁉」」

 ボールはレシーバーに入っていた楓と美郷の間を通り、コートに落ちた。

「恵先輩、ナイスサーブです!」

「ありがと、薫ちゃんは今日も可愛いよ!」

「え、えっと、ありがとうございます」

 恵に称賛の言葉を送りに行った薫だが、想定外の褒め言葉に顔を赤くして小さい声でお礼を言う。

「よーし、次もノータッチエース捕るぞ~!」

 恵は照れている薫をそっちのけで気合を入れてエンドラインに向かう。

 馬ケ背高校が五対二と再び三点差をつける。

意気込んでいた恵だがサーブをネットに引っ掛けてしまい、大淀川の得点になった。

これで五対三になる。


読んでくださってありがとうございます。

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