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激突! 馬ケ背高校VS大淀川高校⑨

誰もがこのスパイクは決まり、三枝の脅威がなくなると思っていた。

 しかし、恵聖がブロックアウトを狙っているといち早く気づいた三枝は、すでに後ろに下がってボールを待っていた。ボールは三枝の正面に飛んでいき、三枝はこれを高く上げコートに戻す。

「華! トスよこせ」

 三枝はそのままトスを呼ぶ。その一瞬で大淀川の選手の頭にはこの言葉が浮かぶ。

『(増国三枝が打つ⁉)』

 誰もが三枝を警戒した。……一名を除き。

 ボールが華のもとに落ちてくる。華はタイミングよく跳び、両手で大淀川のコートにボールを入れる。

 大淀川の誰もが今日をつかれていた。しかし、たった一名だけはその可能性を想定しており上に跳びボールをダイレクトで馬ケ背コートにたたきつける。

「……やっぱり、そううまくはいかないか。紅炎」

「そう簡単に引っかかるほどボクは馬鹿じゃないよ」

これで六対三となる。

 次のサーバーである紅炎はボールを持ち、馬ケ背コートを見る。その時ある人物が視界に入ってきた。リベロと変わらずにサーブレシーブに参加している三枝だ。

「……面白いことするね、三枝」

 審判の笛が鳴り紅炎はすぐにサーブを打つ。

 狙いは言わずもがな三枝だった。

 三枝はそのサーブに反応してレシーブする。

 ボールは華にAパスで返り、華にいろいろな選択肢を考える。

 そして大淀川の前衛である楓、恵聖、風夏は脳内で思考をフル回転させる。それもそうだ。今の馬ケ背のアタッカーは実質六人と言っても過言ではないのだ。

 落ちてきたボールに合わせ華はスパイクモーションで上に跳ぶ。それに合わせ正面の風夏は上に跳び、左右にいる楓と恵聖は横跳びでブロックに入る。

 それを確認した華は一番高い風夏の手の平に当てて馬ケ背コートにボールを戻す。そのボールを三枝はそのままセットに入り、咲良に上げる。

 咲良は決してタイミングよく飛べたわけではないが、ボールを軽く押して大淀川コートに入れる。

紅炎は前に跳びつきボールに触れるも、上に上がることは無く、ネットの下を通り馬ケ背コートに入る。

これで再び七対三と四点差になる。

次の華のサーブはネットにかかり、七対四となる。

その次の楓のサーブは力みすぎたため特大ホームランとなってしまう。

そして、ここで馬ケ背高校が動く。サーバーである咲良の代わりにピンチサーバーとして涌井(わくい)由夢(ゆめ)が入る。


 WS 奈良咲良 百七十四・四センチ 二年 八番  OUT

               ↓

 WS 涌井由夢 百七十・〇センチ  一年 十四番 IN


「由夢、ナイッサー!」

 体育館に戻ってきていた薫はピンチサーバーとしてコートに入った由夢にエールを送る。

(あの子は数日前に俺のチキン南蛮を食った一年。ピンチサーバーか。どんなサーブ打つんだ?)

 由夢は咲良と変わりコートに入る。

「気負わなくていい、涌井のやりたいサーブを打て。練習試合なんだから楽しめよ」

「は、はい!」

 三枝にボールをもらい一礼してからエンドラインに立つ。

 審判の笛が鳴り由夢はボールを上にあげ、ある一点をめがけて打つ。

 由夢の打ったボールはセッターの夜光めがけて飛んでいく。しかし夜光はサーブレシーブに参加せずフロント・ゾーンに向かう。代わりに夜光のいた場所には風夏が入る。

 ボールはそのまま風夏の正面に向かうと思われた。しかしその途中にある白帯に当たり現在夜光のいるところに落ちる。無論落下地点にいる夜光が捕らないわけにはいかない。しかし、一歩反応が遅れた夜光はボールは上にあげるもバック・ゾーンに飛んでいく。

「私があげるわ!」

落下地点にいた絹恵は声をあげアンダーハンドでボールを上げる。しかし、

「あっ!」

「絹恵先輩! どこにあげてるんですか!」

 ボールはリベロの美郷のところに飛んでいた。

「ごめん! カバーよろしく!」

「分かりました!」

 美郷は落ちてきたボールをアンダーハンドで馬ケ背コートに返す。

「チャンスボール」

 ボールは三枝のもとに落ちる。三枝はレシーブするとすぐに助走に入る。

「華!」

「……ほんと、わがままなんだから」

 華はボールの落下地点に入り体を三枝の方に向ける。

 落ちてきたボールを三枝にトスで返す。

 助走に入っていた三枝はタイミングよくアタックラインの後ろで前に跳ぶ。

 それを見て楓、恵聖、風夏もブロックに跳ぶ。

(……もったいない。二人でコースを絞ればいいものを三人にするとは)

 三枝はそう思い楓の横めがけて腕を振り、ボールを叩き落す。

「クッ!」

 そのコースの可能性にいち早く気づいた美郷は跳びついてレシーブを上げようとするが、ボールの重さに腕が耐えきれず誰もいないところにはじいてしまう。

ここで八対三と再び点差が開く。

「涌井、もう一本ナイッサー」

「はい!」

 由夢は三枝からボールを受け取りエンドライン立つ。そして次の狙いを定める。

 審判の笛が鳴ると同時にボールを上に投げ、サーブを打つ。飛んでいった方向には絹恵と美郷がいた。由夢はこの二人がお見合いするのを狙っていた。しかし、

「絹恵先輩! 私が行きます!」

「よし、任せた!」

 美郷が声で絹恵をどけた。

 美郷のレシーブは夜光に返り、夜光は誰にトスを上げるかを考え、一瞬で判断した。

そして、その人物をめがけてトスを上げる。

(そろそろ気持ちよく打ちたいでしょ?)

(もちろんです! いいトスアザッス!)

 夜光がトスを上げたのは楓だった。楓は今日、一度も気持ちよく打たせてもらえていなかった。

それはなぜか?

楓とマッチングするのがほとんど三枝だったからである。

楓にトスが上がると、ほとんどのスパイクをブロック、もしくはワンタッチされ続けていた。

しかし、今三枝がいるのは後衛だ。それなら楓にとって今日一番怖いブロッカーが今はいない。

楓は腕を思いっきり振り、ブロックについていた朱莉の上を打ち抜いた。

朱莉の後ろにいた由夢はレシーブしようとするが、ボールを捕らえきることができず、後ろにそらしてしまう。

「すみません!」

「気にするな、お前はそれだけの働きをした。」

「三枝先輩、ありがとうございます!」

「交代したら薫に聞くといい。さっきのレシーブ、なにが悪かったのかを」

「はいっ」

 そこで再び笛が鳴り由夢と咲良が交代した。百七十四・四センチ 二年 八番

 WS 涌井由夢 百七十・〇センチ  一年 十四番 OUT

               ↓

 WS 奈良咲良 百七十四・四センチ 二年 八番 IN


 八対四となり試合はそれ以降も点差が変わることなく進んでいき、十五対十となったときに馬ケ背高校は再び動く。


読んでくださってありがとうございます。

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