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馬ケ背高校VS大淀川高校④

(小久保は少し気が緩みすぎてるな、河野は言いたいことは言えるが気が弱いのが弱点か)

 先ほどの桃子と南のやり取りを見ていた菊は静かに選手たちの能力、性格を分析していた。

(切り替えなきゃね。桃子のことは今に始まったことじゃないわ。狙いは後衛のWSの二人。でもそこを狙っているのは相手も承知しているはず。だったら)

 南は体を高原と島村のほうに向け左手でボールを上げる。上げたボールが落下してきたところで右腕を振り手にボールを当てる。

(やっぱりこの二人狙い)

 腕を振っているのを確認した秋穂は、すぐさま高原、島村のいるところに向かう。

しかし、ボールは二人のところに飛んではいなかった。

(よしっ、成功!)

 南の打ったボールは元々秋穂のいたポジションに向かっていた。

 確かに南は右手でボールを打った。だが、ボールが当たったのは右手の右半分。さらに少し秋穂のいた方向に手のひらを向けて打っていた。それにより威力は高くないが誰もいない後衛のほうにボールは飛んで行った。

(あー、高原さん達(この二人)は囮か。少し動くのが早すぎたかな? でも大丈夫だよね。だってそっちには)

「三枝!」

(華先輩(この人)がいるから)

 開いていた後衛には華がカバーに入っていた。

 華は威力のなかったサーブを見極め、そのまま三枝にトスを上げた。

 三枝はとっさのことであったが、すぐさま助走を開始し上に跳ぶ。

「っ! 一番打ってくるぞ!」

 桃子は華のトスと三枝の助走を見て前衛に指示を出した。その言葉に気づいた前衛の蓮と大は三枝が跳ぶのと同時にブロックに跳ぶ。

 しかし、三枝はそこで腕を振ることはなくそのままトスの体制に切り替える。

「「っ!」」

 ブロックに飛んだ蓮と大は予想外の行動に驚きを隠せなかった。

「華、一人いるから気を付けて」

「わかった」

 三枝は華に一言掛けてからトスを上げる。

 華は助走に入り、ボールが来る直前で上に跳ぶ。それに合わせて大淀川のもう一人の前衛である龍美はブロックするために手を伸ばし上に跳ぶ。

 スパイクモーションに入っていた華は後衛の位置を確認し、引いていた右腕と前に伸ばしていた左腕を顔の前までもっていき、トスのモーションに入る。

(三回目でトスの構え? ……フェイント(前)か!)

 南は、華の動きを読み取り前衛の開いていたスペースに動く。

(そう来るよね~)

 その動きを見ていた華はボールを強く押した。

 ボールはブロッカーの上を通り過ぎ大淀川コートの奥のほうに飛んで行く。

(! しまった!)

 ボールが前に来ると予測し、前衛の開いているスペースに移動していた南は、逆を突かれたことに驚いた。

前に移動したために開いてしまったスペースに戻ろうとしたが、体の体重が前にあったため出るのが一足遅れてしまう。

ボールはそのままコートに落ちてしまう



「フンッ!」



 ことはなった。ギリギリのところで桃子が指を入れボールを上にあげたのだ。

「南、カバー!」

「はいっ!」

 ボールはそこまで上がらなかったため、桃子は南にカバーするように言う。

 南はアンダーハンドでボールを高く上にあげる。

「うちが行きます」

 そう声に出してボールの落下地点に入ったのはセッターの柚葉、柚葉は左肩を馬ケ背に見せアンダーハンドの構えでボールを待ち、落ちてきたところで腕にボールを当て馬ケ背コートに返す。

 高く上がったボールは東郷のところに飛んでいく。

「東郷さん! そっちに行きました!」

「ちょっ、高くて無理! 山之内守備専門なんだから代わりにとって!」

「……わかりました!」

 秋穂は先ほどまで東郷のいた場所に入る。

 ボールはそのまま秋穂のところに落ちていく。

 秋穂はタイミングを見極め、腕に当たる瞬間にボールの勢いを殺した。

「秋穂、ナイスレシーブ!」

 秋穂は華にAパスでボールを返す。

「日々屋、うちが打つからトス上げて」

 東郷は秋穂がレシーブに入っている間に助走距離を確保していた。

(そろそろボール上げないとうるさくなりそうだな~。……はぁ、仕方ないか)

「東郷」

 華は東郷に高いトスを上げた。

 それを見たブロッカーの三人は東郷のいるレフト側に移動する。

 助走を終え上に跳ぶ東郷、そのタイミングに合わせ上に跳ぶ三人のブロッカー。

 基本的に練習をさぼっていた東郷には相手を見る余裕なんてなかった。そのためボールだけを見て打った東郷のスパイクは大の腕に当たり叩き落されてしまった。

『大、ナイスブロック!』

 二階席からブロックした大に対する称賛の言葉が贈られる。

 これで三対二と大淀川が一点リードしている。しかし、今のブロックで流れは少し大淀川に傾いた。さらに馬ケ背は七人中三人が初心者と変わらない実力のため、相当なハンデを背負っている。

 ここまで言えば誰とてわかるだろう。

そこから試合は進んでいき、審判の笛とともに一試合目が終了する。

一セット目・二十五対十八、二セット目・二十五対十三とどのセットも大差で負けていた。

この点数のうち一セット目の八点、二セット目の十五点は高原、島村、東郷による三人のミスによって入った得点だ。

時間はもうすぐで十一時になるところであり、再び試合をすると十二時を過ぎる可能性があったため、一度昼食を取り十二時から二試合目を再開することになった。馬ケ背高校も大淀川高校も軽いストレッチをしてから休憩に入る。


読んでくださってありがとうございます。

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