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馬ケ背高校VS大淀川高校③

 桃子はボールを受け取りエンドラインに向かう。緊張している桃子は大きく深呼吸をしながら歩く。

(さっきの弱いサーブにタイミングが遅れたにもかかわらず一番早く落ちたブロック、もしかしなくても初心者? ならそこをつけば)

 桃子はボールをもって対角線上にいる二名の選手に狙いを定める。

 笛が鳴り一秒の間をおいてサーブを打つ。

 桃子の打ったボールは狙いどうり島村のところに飛んでいく。

 ボールの向かっているところにいる島村はというと、腕はレシーブの構えになってはいたが、背筋が完全に伸びきっており体は床に垂直だった。更に足に力が入りすぎており動けない状態だった。

 桃子の放ったボールはそこまで強い威力は無く狙い撃ちだったため、落下地点は島村の前になっていた。島村の前にいる高原は拾えるものだと思い込んでおりボールをすでに見ていない状態でスパイクの助走位置についていた。

 ボールの威力は徐々に落ちていき島村の目の前に落ちる。

「ほいっ!」

 ボールが床に着く直前に島村の横にいた秋穂が足を延ばしてボールを上にあげる。

「危なかったー、島村さんが動いてくれなかったおかげで何とかボールを上げることができましたよ」

「う、うん。……おつかれ」

 秋穂の言葉に島村は苦い顔で言葉を返した。

 ボールはネットより少し高いくらいで華のほうに飛んでいく。

「日々屋、私が打つ!」

 ボールの落下地点に急いで向かう華に対して高原は大きな声でボールを要求する。

「はぁ~、仕方ないわね」

 華は小さく声に出した。それをネットを挟んでちょうど近くにいた龍美は、他のスパイカーが助走していないのを確認して、高原のいるレフトまで詰める。これでブロッカー三枚は完全に高原をマークした。

 ボールの落下地点についた華は体を助走している高原の方に向ける。すでにボールが落ち始めているため、華はジャンプすることなくトスの姿勢を作る。

 ボールが華の手に触れる瞬間、華は腰をひねり体を大淀川のコートに向ける。

「えいっ」

 そしてボールを軽く押し大淀川のコートに入れた。ブロッカーは全員が高原をマークしていたため華のボールに反応するも追いつけるはずもなく、後衛にいた桃子も完全に予想していなかったため前に跳びついたが、ボールに触れることができなかった。

 結果ボールはそのまま大淀川のコートに落ちた。

『華先輩ナイスです!』

 ベンチの控えメンバーが華に称賛の言葉を送る。

 それを笑顔で手を振り返す華。

「華、いい判断だった。それでこそ私の右腕」

「なんで上から目線なのか分からないけど、ありがとう」

 三枝も先程の華のプレーに称賛の言葉を送る。今のプレーは誰が見てもいい判断だっただろう。

 しかしそれをよく思わない者もいた。

「ちょっと日々屋! 私がトスを読んだのにどうしてあんたが決めるのよ」

 高原だ。彼女にとって打つ気満々だったのにトスを上げてもらえなかったのは、とてもむかつくことだった。試合前のこともあり徐々にたまっていたストレスが今爆発しかけていた。

「あらあらごめんなさい。でも三枚のブロッカーにつかれているあなたより私のほうが決まる確率が高かったからもの」

「それは……私が絶対に決められないと……思ったってこと?」

「ふふふ、それはどうかしらね」

「っ! 日々屋!」

「はいはい、そこまでですよ。高原さん、助走に入るのはいいけどあのボールは高原さんが捕ってくださいよ」

「……」

 二人の間に入った秋穂の言葉に高原は黙り込んでしまう。

「華先輩も今日はなんか突っかかりますね。言いたいことがあるなら試合が終わってからにしなきゃ相手に迷惑ですよ」

「そうね、秋穂の言う通り今は試合中なんだからしっかり集中しなきゃね」

「そうそう、今は試合に集中です。高原さんも次サーブなんだからしっかり入れてくださいね」

「うっさい、言われなくても入れるわよ!」

 笑顔で離れていく華と秋穂に対して、苦い顔をしている高原はボールをもってエンドラインの後ろに立つ。

 主審が笛を吹く。その数秒後に高原はフローターサーブを打つ。

 ボールはゆっくりと大淀川のコートに向かって飛んでいく。しかし、ボールの威力はすぐに無くなり、ネットの下を抜けて大淀川のコートに落ちた。大淀川の得点である。

「ちょっ、ネット超えないって、フフ、まじ?」

「桃子、笑ったら相手に失礼でしょ!」

「でも南、さ、流石にネットは超えるでしょ、普通」

「それはそうだけど」

「それに、相手チームの控え選手見てよ」

 そう言われ、南は馬ケ背の控え選手を見る。そこには声にも出せないほど腹を抱えて笑っている朋紀の姿が映っていた。ほかのメンバーも止めるどころか後ろを向いて笑いを堪えたり、口元を見せないように手で隠したりなどしていた。

「相手チームが笑ってるんだから、私が笑っても問題ないだろ」

「そういう問題じゃ——」

「あー、はいはい、説教なら後で聞くから南はサーブでネットの下を通すなよ!」

「ちょっ」

 南の言葉をまともに聞かずに桃子は離れていった。南は何も言わずボールをもってエンドラインの後ろに立つ。


読んでくださってありがとうございます。

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