はじまりの前に
皆さんは『うつ病』をご存知ですか?私は“こころの風邪”だとか、“こころの弱い人がなるもの”くらいしか知りませんでした…自分自身が罹るまでは。
こう言ってはなんですが、私、自他共に認めるほどの『強メンタル』です。今でも変わっていないと思います。合理性を好み、自分の意見をしっかりと発言し、時には大声で主張し、議論をする。そんな性格です。加えて、いい事はいいと、悪い事は悪い、嫌いな事は嫌いと白黒をはっきりと付けたい人間です。しかし、社会生活をする中では、引くべき時は引きますし、言うべき時は言う。目立ちすぎず、埋没しすぎず、程々に周りと合わせて、割と無難に会社勤めをしていました。
このまま程々に居心地よく定年まで勤めるものだと思っていた幻想が壊れたのは10年少し前です。当時在籍していた部署が他部署と統合され、そこの部署にいたのがあの男です。端的に言いまして、今でも私はこの男を憎んでいます。正直、山に生き埋めにでもしたいほどですが、法に触れる様な事はしません。何故って、残った家族に迷惑がかかりますので。天涯孤独ならば実行していたかもしれませんね。まあ、どうでもいいですけれど。
さて、この憎き相手をHとします。イニシャルです。腹が立つので仮になんてしませんよ、当たり前です。人一人の人生をぶち壊した仕返しです、ささやかですが。
このHが全ての元凶です。共犯者もいますが、主犯はこの男です。ちなみに私は女です。では、男女の諍いなのでセクハラかと思われそうですが、違います、パワハラです。しかも、上司から部下へのパワーハラスメントです。一部セクハラも有りましたが、大部分がパワハラです。
会社に訴えなかったのかと思われるでしょうが、幾度と無く訴えてのです。それでも、会社は重く受け止めなかったのです。ここまで聞くと、どんなブラック会社だと言われそうですが、製造業、しかも工場勤務なんてこんなものです。男社会なので、他人の倍女が働いたところで、こんな扱いです。そんな中でも、時には大声で怒鳴り合ってでも働いてきました。幸いにも、理解のある同僚や、ちゃんと評価してくれる上司に恵まれて働いてきたのです、Hが来るまでは。
では、前提として、Hという男がどんな人物なのか書いておきます。あくまで私の主観でしかありませんので、もっと違う側面もあるのかも知れませんが、それは私の知るところではありません。端的に言って『実力不足の男』ですかね。おそらく、H自身が思っているよりも仕事が出来ていません。そして、自分を博識だとでも思っている男です。プライドが高く、他者に負けることを嫌う、典型的な『頭でっかち』タイプですね。
こんなのでも役職持ちでして、仕事の指示を出す訳ですが、コレがまた分かりづらいのです。詳しく伝えようとしているのかどうかは不明でしたが、とにかく分かりづらい。作業に必要の無い情報まで盛り込んでくる上、小難しい言葉を合えて使い、更に考え考え話すので「あー」とか「うー」とかの意味の無い言葉が挟まるのです。しかも、「あー」「うー」のボリュームが大きいくせに、肝心の内容部分の声が小さく尻つぼみで、聞き取るのが大変でした。Hの話を聞いても分からないと言う人員が多数で、よく『内容分かった?』と同僚から聞かれたものです。幸いにして、私は読解力というものに恵まれているようでして、理解には困らなかった為、事ある毎に通訳をしたものでした。ちなみに、5分の話を要約すると30秒で説明できました。本当に話の下手な男です。
さらに、仕事の段取りも下手でしたね。私たちの職場は、日々入荷される部品を受け取る部署だったのですが、実に多彩な業者が毎日何十社とくる所でして、馴染みの業者などは大体同じ位の時間に来るものでした。そうなると、時間によって必要な作業スペースが変わるのですが、Hはソレが理解出来なかったらしく、込み合ってスペースが足りなくなると怒鳴りだし、毎日皆でうんざりするという悪循環でした。
そのくせ他人が上手く仕事を回すのが気に入らないのか、いらない指示を出しては場をかき乱すこともしばしばでしたし、自分は単純な作業をチマチマとしていましたね。そして、足元にごみを散らかして放置する事が日常茶飯事。迷惑極まりない人種ですね。
では、どうしてこんな人物が役職持ちなのかと言えば、他に適任者がいなかったようです。先任者が定年でいなくなり、周りをみわたしても、パート、派遣、外国人労働者ばかりで、日本人の正社員がこの男だけだったというわけでした。製造業あるあるですね。ですので、実に長く一番したの役職をやっていたようです。15年くらいやっていたようですね、通常ならば5年もしたら上に上がるのですけれどね。
本当に迷惑な話です。他の社員を回せば良かったのに、会社も大概ですね。これも製造業あるあるですね。