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捨てられたお姫様  作者: みるみる
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7、トランタ王国ペンタス公爵領にふりかかった災い


リナとラナン王子がトランタ王国を出た頃、トランタ王国のペンタス公爵領では、謎の病いが流行していました。そして、農地は働き手を失って荒れ果てており、深刻な食糧難に陥っておりました。

 

ペンタス公爵は、領地の領民達を襲った謎の病の流行や食料問題に頭を抱えていました。ですが、そんな中でも公爵はリナの行方を諦めずに探していました。


「‥リナは見つかったのか?」


「‥駄目です。ただ、山の麓の林道には野獣がいます。もし野獣に襲われたのなら、きっと今頃は‥骨しか残っていないでしょう。‥公爵様、もう諦めて下さい。‥それよりも大変な問題が山積みなのですよ。」


「‥リナ、すまない。」


公爵は、とうとうリナの事を死んだものとして諦めました。公爵は、ここにきてやっと領地の問題に向き合いましたが、時はもう既に遅かったようです。


「‥公爵様、屋敷の貯蔵庫も空っぽです。」


「‥国からの支援はまだなのか、要請してから大分経つのに。」


王都からやってきた医療部隊が、途中で立ち寄った街で謎の食中毒を起こして足止めされていた事を公爵は知りませんでした。そして、その事を王都へ知らせる伝令係の者が、途中の山道で足を踏み外して崖へ転落していた事も、知りませんでした。


それに‥王都からの食糧支援の一行が、途中の街で襲われて、積荷はおろか、荷物を運んできた一行も襲われていた事など知る由もありませんでした。


公爵は、近隣の領主にも支援を頼みましたが、謎の病いが自分達の領内にも蔓延する事を恐れたのか、無情にも支援は断わられてしまいました。


ですが、それも無理のない事なのです。公爵や先代公爵自身も、近隣の領主が困っていた時に知らん顔をして援助をしてこなかったのですから‥。


そして、近隣の領との交流が一切途絶えた公爵のまわりの地域は、山賊や強盗団などが蔓延るようになり大層物騒になって行きました。


‥そんな中にやってきたのが王都の支援部隊の一行でした。彼らは、積荷や荷台、馬も、着ていた衣服も見ぐるみ剥がされてしまいました。‥‥そして王都までは何日もかけて歩いて帰っていったようです。


公爵領はとうとう廃れてしまいました。領地を治める者もなくなり、働き手を失った領地は、何年も立ち入り禁止になった後、別の領主と領民達によって、再び栄えていきました。


これを人々は、公爵家が教会を燃やしてしまった祟りだとか、殺されてしまったリナという女性の「呪い」ではないかと噂するようになったそうです。


国は公爵領の悲劇の後に、「瘴気」を発生させないように下水道の整備やゴミ問題の解決に乗り出したようです。これにより、ペンタス公爵領の病は国全体へ広がる事なく治まりました。



一方、トランタ王国のお城では、バンデル王子が、ラナン王子に手紙を書いていました。このペンタス公爵領の悲劇をラナンとリナに教えてあげようと思ったようです。


「‥まったく、何が「呪い」だ。‥それよりも、リナは運がいいな。あの時住居を火事で失っていなければ、彼女も病で死んでいたかもしれないからな。」


バンデル王子は、知らなかったのです。リナにかけられていた悪い魔女の呪いの事を‥‥。


リナにかけられていた呪い‥「魔女達の全ての祝福を跳ね除けて、死ぬまで自分もまわりも不幸になり続ける呪い」の事を‥。

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