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捨てられたお姫様  作者: みるみる
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4、魔法使いの男と旅のはじまり


リナと男は、木の上で話をしながら寝てしまったようです。気付くと朝になっていました。


「さて、下におりて食事をしよう。」


彼はそう言って、リナをお姫様だっこした状態で地上に降りました。


「お父さん凄い‥空に浮いてる!」


「‥‥そうかい?普通の魔法使いなら、君に触れる事なく地上に降ろせたと思うよ。‥だから僕なんか‥まだまだだよ。」


「‥本当に凄いのに‥。」


この時リナは、男の言葉をただの謙遜だと思っていました。


「‥リナ、僕の事は「お父さん」と呼んでくれ。実際は5歳程度しか違わないが、僕のこの姿の時は、「お父さん」と呼ぶのが自然だと思うから。」


「分かりました。」


「‥それから、敬語も禁止ね。普通の一般市民の子供は、親に敬語は使わないからね。」


「はい‥じゃなくて、うん。」


リナは男の‥いえ、お父さんの言う通りにしました。


‥‥それにしてもお父さんは、いつまでその変装でいるのでしょうか。


「お父さん、お父さんの変身はいつまで続けるんですか?辛くないですか?」


「大丈夫だよ。僕にとって変身は大した事ではないんだ。一生だって続けられる。辛くはない。


‥‥ただ、時々もとの姿に戻ってやらないと、自分の本当の姿を忘れてしまいそうだから、時々はもとの姿に戻るけどね。‥‥基本はこのままの「お父さん」の姿でいるよ。」


「‥うん、分かった。」


「リナ、心配してくれてありがとうね。」


「うん。」


リナはお父さんに会ってまだ二日目なのに、お父さんに本当に懐いていました。


「リナ、パンとベーコンが焼けたよ。」


「うん!」


リナはパンを食べながら、お父さんの様子を見つめていました。‥昨日聞けなかった話を聞こうと、タイミングを伺っていたのです。


「リナ、何か言いたい事があるなら言ってごらん。」


「お父さんは、私をここへ連れてきてくれたんですよね。」


「そうだよ。」


「‥‥赤ちゃんだった私をお父さんが助けたって、昨日話してましたよね。」


「‥あっ、しまった。‥確かに話してしまっていたね。」


「私は‥私の本当の両親を知っていたら教えて下さい。」


「‥ごめん。詳しくは話せないんだ。だが、これだけは言えるよ。君のご両親は、今でも遠くから君の身を案じているはずだよ。それに君の幸せも願っているはずだ。」


「お父さん!私を本当の両親のもとへ連れて行って、お願い!」


「‥‥駄目だ、出来ないんだ。君はもう二度と君のご両親のいる国へは帰れない。それに、君の両親や双子の妹とも一生会えない。」


「‥‥そんな‥何故ですか?‥あと、双子の妹って‥?」


「‥しまった、また口が滑ってしまった。‥とにかく、君は家族のいる祖国へ帰ったら殺されてしまうかもしれないんだ。‥僕が君を外国へ連れて行く事で、君は生き残れたんだから‥‥。あと、双子の妹の話は忘れてくれ。」


「そんな‥私は何故殺されなきゃならないんですか。私が何をしたのですか‥。それに妹って‥‥。」


リナはお父さんから聞いた話が、あまりにも衝撃的過ぎて頭がパニックを起こしていました。


お父さんは、そんなリナを優しく抱きしめてくれました。


「‥ごめんね、僕がうっかり口を滑らしてしまったばかりに‥。僕は本当に駄目な男だ。」


「‥お父さん、私の本当の両親と妹は元気ですか?」


「ああ、元気らしいよ。」


「‥なら、良いです。もう家族の事は聞きません。本当は家族に会いたいし一緒に暮らしたいですけど‥‥それが出来ない理由があるんですよね?‥‥それも私の命や家族の安全にも関わるだろう何か理由が、あるんですよね?」


「‥そうだよ。ごめんね、詳しく話せなくて‥。ただ、君が憎まれたり嫌われたりしている訳じゃないって事だけ覚えておいて。」


「‥うん。本当の両親や妹は、私の事を嫌ってないのよね。私の事を心配してくれてるのよね?‥なら、もういいわ。」


「‥そうか。」


‥男は、リナに言えませんでした。リナの双子の妹が、リナの存在を全く知らないという事実を‥‥。


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