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捨てられたお姫様  作者: みるみる
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1、誕生


ナステカ王国に双子のお姫様が産まれたました。


長いこと子供に恵まれなかった王様と王妃様は、それはもう大喜びしました。


お姫様の誕生を祝うために、国中の沢山の魔女達が、お城へ招待されてやってきました。


魔女達が一人ずつお姫様達に祝福を授けて行きます。


「一生風邪をひきませんように。」


「皆んなから愛されますように。」


そして最後の魔女が双子のお姫様に祝福を与えた後、一人の嫌われ者の魔女が呼ばれもしないのにお城へやって来ました。  


「へぇ~、可愛い姫達だねぇ。」


お城の中にいる全員が、この嫌われ者の魔女の登場に警戒しました。


「‥お前を呼んだ覚えはない!帰れ!散々国で悪さをしておきながら、よくも‥‥。」


この嫌われ者の悪い魔女は、これまで国の至るところで、人を困らせるような悪い魔法ばかり使用していたのです。


街の共同の井戸を凍らせてしまったり、図書館の本を全て蝶にして、飛ばしてしまったり‥‥挙げていくとキリが無いほどの悪行をしていたのです。


そればかりか、なんと王妃様に10年間お子を授かれない呪いまでかけていたのです。


‥‥だから、嫌われても仕方がない魔女だったのです。


ですが、魔女は自分だけがお城に招待してもらえなかった事に対して、王様と王妃様を恨んでいました。


「‥‥私を蔑ろにするこの国の姫なんか、呪われてしまえばいい!」


そう言って、嫌われ者の魔女は双子のお姫様のうちの一人に「魔女達の全ての祝福を跳ね除けて、死ぬまで自分もまわりも不幸になり続ける呪い」をかけました。


魔女達は、一人一回しか祝福を授ける事ができない為、誰もお姫様にかけられた悪い魔女の呪いを解く事は出来ませんでした。



それ以降、呪いをかけられたお姫様のせいなのか、国には様々な災いがふりかかり、とうとう王妃様まで謎の病で寝込んでしまいました。



これ以上の災いが国に降りかかることを恐れた王様や国の重鎮達は、やむなく呪われたお姫様を殺す事を決めました。


そして、騎士達をお姫様の部屋に連れてきて、呪われた方のお姫様を殺すように命じました。


騎士が呪われたお姫様を、その手にかけようとしたその瞬間‥‥


キャッキャッ。


‥‥騎士に首を絞められそうになっているというのに、呪いをかけられたお姫様は、無邪気に笑い出しました。


「‥‥うう、無理です。私には、姫様を殺せません。」


騎士がそう言って、お姫様の頼りない首から手を離した瞬間、空が突如真っ暗になり、稲光りと共に黒づくめの怪しい男が現れました。


「‥誰だ!」


王様がそう叫びますが、怪しい男は王様を無視して、呪われたお姫様を抱き上げました。


「‥こんなに面白い子を殺すのか?この子は悪い子なのか?」


怪しい男がそう言うと、王様がこたえました。


「‥いや、この子は悪くない。‥悪いのは、この子を殺そうとしていた私だ。」


王様は涙を流しながら、そう言いました。


「‥なぁ、こいつを殺すんなら僕にくれよ。悪いようにはしないからさ。」


「‥何だと?」


「‥僕はこう見えても、魔法使いなんだ。こいつには、強い呪いがかかっている。僕ならいつかこの呪いを解けるかもしれない。」


「‥‥。」


王様達は、迷いました。そして出した結論は‥‥。


呪いのかけられた方のお姫様を、死んだ事にして、国外へ逃す事でした。



王様達から呪われたお姫様を預かった男は、激しい嵐の中、トランタ王国へと向かいました。


ですが、トランタ王国に入った所を悪い魔女に見つかってしまった男は、お姫様に目印のプレートを持たせると、山の上の教会へ行き、牧師へと預けました。後で迎えに行くつもりだったのです。


ちなみに目印のプレートには、この子への祝福の言葉が書かれてあるだけでなく、悪い魔女からお姫様を隠す魔法がかけてありました。これで、お姫様が悪い魔女に見つかる事はありません。‥これ以上悪い魔女に変な呪いをかけられたら、たまったものじゃありません。

 


その後男は、呪われたお姫様を逃した事で悪い魔女を怒らせた為、沢山の呪いをかけられて瀕死の状態になってしまいました。



そんな彼ですが、瀕死のところを助けてくれた師匠のもとで、長い年月修行を積み、とうとう悪い魔女を倒してしまいました。そして、あの時牧師に預けた赤ちゃんを迎えに行くのでした。



彼はまだ気付いていませんでした。あれから16年もの年月が経っていたのだという事を‥‥。


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