表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/130

67・王国一武闘大会開幕

 そしてとうとう王国一武闘大会当日。


「行くか」

「「はい!」」


 アリエル達と宿屋を出る。


 これまでも街は賑わっていたが、やはり大会当日となると、より一層街全体に活気が出ている。


 人混みを掻き分け、会場まで行くのも一苦労だ。


「ここか」


 大会はどうやら街の中央広場で行われるらしい。

 広場には特設のステージが設置されており、それを囲むようにして人々が集まっていた。


「あっ、ブリスじゃないか」


 人の多さに目が回っていると、鎧を身につけた女性が駆け寄ってきた。

 この人は……。


「ユリアーナ……だったよな」

「覚えていてくれて光栄だよ」


 先日、一緒にスリの男を捕まえた女騎士ユリアーナであった。


「どうやら寝坊せずに来たみたいだね」

「俺、朝は強いんだ」

「はは、それはたくましいよ」


 ユリアーナは手を差し出す。


「今日はお互い全力を尽くして戦おう。ボクが勝ち上がってくるまで、負けないでくれよ」

「それはこっちの台詞だ」


 なんて会話を交わしながら、俺達は握手を交わす。


「ではボクはそろそろ行くよ。君達も早くエントリーを済ませた方がいい。当日のエントリーで正式参加になるはずだから」

「教えてくれてありがとう」


 不戦敗なんてシャレにならないからな。こうやって休暇を作ってくれたモーガンさん達に顔向けが出来ない。


 俺が礼を言うと、ユリアーナは去っていった。


「絶対に負けませんわ」

「うん。私もブリスと戦いたい」


 後ろでは静かに闘志を燃やしている二人が。


「アリエルとエドラとも戦えたら楽しそうだな。二人とも、負けるんじゃないぞ」

「当たり前ですわ」

「血がたぎる」


 こうして俺達は無事にエントリーを済ませたのであった。





 ◆ ◆



『王国一武闘大会開幕ぅぅっぅうううううっ! 実況・解説・審判はこのわたくし一人でお送りさせていただきますぅぅうううう!』



 ステージ上に上がった、蝶ネクタイをつけた男がハイテンションに声を出す。


 ……って「一人かよ」と心の中で突っ込む間もなく、爆発的な歓声が巻き起こる。

 会場のボルテージも最高潮に達していた。


「すごい盛り上がりようだ」

「ですわね」


 さて……。

 ここでどのような戦いが繰り広げられるというのか。


『では一回戦目……ノワール代表、ブリス選手。アガラハム代表、ボブ選手。どうぞステージ上にお上がりください』

「おっ。一回戦目は俺か」

「トーナメント表を見てなかったのですか?」

「エントリーとかでばたばたしていたからな。取りあえず行ってくる」

「頑張ってくださいね」


 俺はアリエルに片手を挙げて返事をして、ステージに登った。


 すると。



「ああん? こんなひょろい男がオレの対戦相手かよ。拍子抜けだぜ」



 と巨漢の男が俺を待ち構えていた。


「よろしく頼む」

「ふんっ!」


 手を出すが握手に応じてくれなかったので、俺としては苦笑いをするしかない。


 それにしてもでかい男だ。

 俺の二倍……いやそれ以上の体の大きさをしている。

 まさに筋肉の鎧を身につけているといった感じで、いかにも強そうな男という感じだ。


 ()()ならな。



「おいおい! 勝負にならねえんじゃねえか?」

「一瞬で勝負がつきそうだ。ボブの勝利に賭けていてよかった!」

「ふっ、まだまだ甘いな。おいらは大穴狙いで弱そうなあっちの坊やに賭けてるぜ」



 観客からも野次が飛ぶ。


 どうやら観客もボブ優勢として見ているらしい。

 まあ仕方がない。

 見た目()()だったら、どう考えても俺が勝てるような相手じゃないからな。


「全く……あなた達っていう人は! ブリス! その図体がでかいだけの男に負けるんじゃないですわよー!」

「勝負は一瞬でつく」


 アリエルとエドラも、周りの観客に腹を立ててくれているのか、俺の応援に熱が入っているようであった。


『ではルールを説明します』


 実況解説審判を掛け持ちしている男が、マイクを片手にこう続ける。


『勝利条件は四つあります。

 まず一つ目は相手をステージの場外に押し出すこと。

 二つ目は相手を失神させること。

 三つ目はわたくしから見て、試合の続行が不可能と判断した場合。

 そして四つ目は相手に『ギブアップ』と言わせることです。

 また相手を殺してしまった場合は、自動的に殺した側の負けとなります。力の使い方を誤り、わたくしを困らせないでくださいね」


 と男がウィンクをする。


 シンプルなルールだ。

 あとは加減を間違って、相手に大怪我させないようにしなければ……。


 あくまで王国一武闘大会は余興みたいなものだ。

 勝つことも大事だが、観客を楽しませることもまた大事となってくるだろう。


 しかし目の前のボブとかいう男は、そう思っていないのか、


「はっ! オレは加減が苦手だからな! 死んじまっても、あの世で文句を言うんじゃねえぞ?」


 と挑発を続ける。


「はあ……」


 溜息も吐きたくなるものだ。



『それでは……試合開始!』



 カーン!


 そうこうしていると、開始の鐘の音が鳴らされた。


「一気にいくぜええええええ!」


 ボブが体当たりをかましてくる。


『おっと、ボブ選手! 早くも先制攻撃だ! いきなりブリス選手の場外負けか!?』


 実況の的外れな声が聞こえてきた。


 だが。



「動きが直線的すぎる。これでは動きを簡単に見切られるぞ」



 このようにな。

 俺は片手だけで、ボブの動きを止めていた。


「おっ、おっ……?」


 いくら押しても動かない俺に、ボブは不審そうな顔を見せる。


「パワーも大したことがない。この程度では山一つも持ち上げることが出来ないのではないか?」

「そんなこと出来るヤツいねえよ!」


 なにを言う。

 四天王『剣』の最強格、クレア姉はよく筋トレで山を動かすようなことをやっていたぞ。

 俺もさすがに山一つは持ち上げることが出来ないが、こいつの十倍以上はあろうかという巨岩を持ち上げ、その状態でスクワット……みたいなトレーニングをやらされていた。

 それに比べたら、こいつのパワーはまるでそよ風のごとく穏やかなものである。


「ただのパワー自慢じゃ戦場で生き残っていけんぞ……よっと」

「うおっ!」


 俺はそのまま片手でボブを持ち上げた。


「じゃあな。もう少しトレーニングしてから、俺に挑んでくるんだったな」


 ずしーん!


 そのまま場外に投げてやると、男は地面に体を強く叩きつけて気絶してしまった。


「……審判?」

『はっ!』


 あんぐりと口を開けている審判に声をかけると、彼は気を取り直して、


『しょ、勝者ブリス選手ぅぅぅぅううううう! なんという番狂わせだ! あまりに一瞬で勝負がついてしまって、仕事を忘れてしまっていたぞぉぉおおおおお!』


 と俺の右手を上げた。


 その瞬間、より一層の爆発的な歓声。



「あ、あいつ何者だ!?」

「ノワールのSランク冒険者らしいぜ?」

「え、Sランクだとお!? それじゃあボブが負けるのも頷けるな!」



 見事なまでの手の平返しだな。

 まあ観衆など、実力を見せてやればこんなもんだ。


 俺はステージから降り、アリエル達のもとに向かった。


「ブ、ブリス! さすがですわ!」

「ブリスが勝つのを信じてた」


 賞賛してくれる二人。


「まあこんなもんだろ。あんま大したことのない相手だったしな」


 頬を掻く。


 こうして王国一武闘大会が幕を開けた。

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

マガポケ(web連載)→https://pocket.shonenmagazine.com/episode/3270375685333031001
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000372856

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新3巻が発売中
4fkeqs9af7bucs8gz4c9i682mj_6xg_140_1kw_aw2z.jpg

☆☆新作です。よろしければ、こちらもどうぞです☆☆
「憎まれ悪役令嬢のやり直し 〜今度も愛されなくて構いません〜」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ