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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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48・VS アブソーブモグラ

「迷路みたいな場所だな……」

「そうですね。毒だけではなく、複雑な地形もルナー坑道が冒険者に避けられている理由の一つです」


 奥へ奥へ進んでいきながら、俺はアリエル達と言葉を交わす。


「迷っちゃうかも……」

「エドラ、それについては心配ない」

「どうして?」

「《探索リサーチ》で坑道全域を把握しているからな」


 俺が言うと、二人ははっとしたような表情になった。


「そういえばブリス、出鱈目でたらめな《探索リサーチ》の範囲をしていましたね……」

「まあとはいっても、油断は大敵だ。帰還出来ないなんて間抜けな真似にならないよう、慎重に進んでいこう」

「「はい!」」


 二人が元気よく返事をする。

 全く……こうしていると、どちらが冒険者として先輩なのか分からなくなってくるな。


 しかし俺は冒険者としてはまだまだ新人だ。二人から教わることは多い。

 現にスムーズに帰られるように所々目印を付けながら進んでいく二人を見ると、いかにダンジョン攻略に慣れているかがうかがえた。


 やがて俺は分かれ道に突き当たる。


「右だな」

「了解です」


 坑道内の地図化マッピングは済んでいるので、分かれ道にさしかかっても迷わない。


「ブリス、一つ質問いいですか?」

「なんだ?」

「その……なんか遠回りしているように感じるんですが? 三時間という時間制限があるのに、こんなことをしていていいのでしょうか……」


 アリエルが不安そうに言う。


「確かにさっきの道を左に進めば、近道になっただろう」

「で、でしたら」

「だが、その分魔物が多く出現するようだ。そいつ等を相手にしていると、余計に時間をくう。ここは遠回りしても安全に進むことが出来る道を選んだだけだ」

「魔物の分布も把握しているなんて……! 本当にブリスには驚かされることばかりです。先輩冒険者として恥ずかしいです……」


 しゅんと肩を落とすアリエル。

 見ると、表情こそ変えてはいないもののエドラも自信を失っているようだ。


「そんなことはない」


 俺はそんな二人を励ます。


「経験豊かな二人が付いてきてくれるから、俺は自信を持って進むことが出来る。二人には本当に助かっているよ」


 それに一人でダンジョンを攻略するより、やっぱり他の人と一緒の方が楽しく感じた。


 しかもアリエルもエドラも美少女なんだからな。

 このような状況を羨ましがらない男はいないだろう。


 俺が言うと、二人は見る見るうちに元気を取り戻していった。





 ◆ ◆


 ()()に辿り着くまでは、さほど時間はかからなかった。


「アリエル、エドラ。感じるか?」

「は、はい!」

「来る……!」


 アリエルとエドラの表情がより一層引き締まる。


 俺達が辿り着いた場所は、開けた場所であった。

 ここなら少々暴れても大丈夫そうだな。


「行くぞ!」


 俺がそう声を上げた瞬間であった。


 モコッ。


 地面が盛り上がり、何者かが『ガガガッ!』と俺達に向かってきた。。


「アブソーブモグラ!」


 やがて地面から一体のモグラのような魔物が現れ、俺達に牙をむいてきたのだ。


「はあっ!」


 それをアリエルが一刀で斬り伏せる。


 モグラ……と名前は付いているものの、アブソーブモグラはなかなか大きい。人の腕の長さくらいはあるだろうか。

 だが、それだけがアブソーブモグラが恐れられている理由ではない。


「まだ来るぞ!」


 モコッ、モコッ!


 次から次へと地面が盛り上がり、同じようにしてアブソーブモグラが地中を泳ぐように進み、俺達に攻撃を仕掛けてきたのだ。


 その数、およそ三十。

 アブソーブモグラは一体一体が強力かつ、徒党を組んで襲撃を仕掛けてくることが多い。

 しかもピンチになるとすぐに地面に姿を隠してしまうため、アブソーブモグラに手間取って全滅してしまったパーティーも少なくないという。


 事前に調べていた通りだ。


「《千本華せんぼんか》!」

「ライトニングアロー!」


 だが、アリエルとエドラも落ち着いてアブソーブモグラに対処している。

 彼女達の実力なら、十分アブソーブモグラと互角に戦えるのだ。


 アリエルは舞いを演じているかのごとく剣を振るい、エドラは多種多様な魔法を使い分けながら、アブソーブモグラを次々と倒していった。


「二人とも、やるな! 俺だって!」


 俺もアブソーブモグラを順番にやっつけていった。

 しかしアブソーブモグラはだんだんと数を増やしていく。


「ブリス! 危ないですわ!」


 地面がモコモコと、この戦闘中に見たことのない数まで盛り上がる。

 そしてそれらは一斉に俺に向かってきて、一斉に地面から飛び出したのだ。


「まずは俺だけに照準を絞ったということか」


 数は……二十体といったところか。


 アリエルとエドラがすぐさまカバーしようと手を伸ばすが、間に合わない。

 俺はその光景がやけにスローモーションに感じた。


「せっかくだから試してみよう」


 俺は剣を構え、すうーっと一度深呼吸をする。


 そして。


「《千本気斬華せんぼんきざんばな》!」


 古代竜エンシェントドラゴン戦でのアリエルの姿を思いつつ、剣を一閃した。


 一度剣を振るうだけで、千の斬撃が相手を襲う。


 アブソーブモグラは一瞬で斬り伏せられ、まとめて地面に倒れた。


「こいつ等相手にはオーバーキルすぎたか……」


 ()()戦闘が落ち着く。


「ブ、ブリス!? さきほどのは?」

「前回のアリエルを真似てやってみたんだ。どうだったかな?」

「す、すごいです! こんなすぐに……しかも見よう見まねで《千本気斬華せんぼんきざんばな》を体得出来るなんて……! さすがわたくしの師匠ですわ」


 アリエルがうっとりした表情になる。


「そんなことはない。まだまだ改良の余地ありだ。アリエルの《千本気斬華》ほどの鋭さもないしな」


 やはり一朝一夕では使いこなすことは難しいか。

 これでは古代竜並の魔物がいたら、使いものにならないだろう。

 俺もまだまだだ。


「これでアブソーブモグラはあらかた片付いたようですわね」

「すぐに戻らないと」


 アリエルとエドラが順に口にする。


 気付けば、地面にはアブソーブモグラが五十体以上転がっていた。

 これだけいればラッセルも満足してくれるだろう。


 しかし。


「二人とも、油断するな。まだ戦いは終わっていないようだ」

「……?」


 その矢先であった。



 ゴゴゴ……!



 立っていられなくなるほどの地震が起こったのは。


「ようやく親玉の登場みたいだ」

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