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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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47・ちょっとやそっとの毒じゃ効かない

 俺は早速街にいたアリエルとエドラを連れて、ルナー坑道に向かった。


「ここですか……」


 何故だかアリエルは渋い表情だ。


「知っていたのか?」

「もちろんです。冒険者の間では、危険ダンジョン扱いされているところです。誰も近寄ろうとしません。ね……エドラ」


 アリエルが話を振ると、エドラもコクリと頷いた。


「まあそれは鍛冶師のラッセルから聞いていたが……」

「試しに入り口だけでも覗いてみてはいかがですか?」


 アリエルに促される。


「ん……まあそうだな。ではちょっと行ってくる」

「ブリス? ()()にですよ? 用意をせずに、ルナー坑道に入るのは……ってブリス!」


 アリエルの呼びかけを無視して、俺はルナー坑道に足を踏み入れた。



 ・・・・・・・・・・・・



「確かに毒が充満しているようだな」


 ラッセルがルナー坑道のことを厄介だと称した理由。

 それは坑道全域に毒ガスが満ちているためである。

 そのガスは一度ひとたび吸えば体中が毒におかされ、常人なら一分もしないうちに死に至るという。


「だがやはり、この程度なら大丈夫だ」


 問題ない。

 俺はルナー坑道内を五分程度探索してから、すぐにアリエルのところへ戻った。


「帰ったぞ」

「ブ、ブリス!」


 すぐさまアリエルが駆け寄ってくる。

 エドラも心配そうだ。


「どうした?」

「どうして急にルナー坑道に入るのですか! 毒が充満していることは知っていたでしょう!?」

「ああ。もちろんちょっと散歩しただけだぞ。毒の程度を知りたかったからな」

「もう……毒消しのポーションを持っていたなら、そうと言ってくださいよ。寿命が縮みます」


 ぷんぷんとアリエルが怒っている。


 なんでも、ルナー坑道を攻略するためには、大量のポーションを保有してそれを使いつつ進む方法が王道らしい。


 しかし坑道全体が毒で満ちているため、いくらポーションを使っても追いつかない。

 そのせいでルナー坑道に入るためには、ポーションを購入する大量の資金を必要とする。

 冒険者達にとって『コスパが悪いダンジョン』なのだ。


 しかし……。


「毒消しポーション? そんなもの、一つも使っていないぞ」

「え?」


 目を丸くするアリエル。


「昔取った杵柄きねづかというヤツでな。俺の体にはこの程度の毒は効かない」


 これを誰かが『毒の抗体を持っている』と称したことがある。


「毒は効かない……? そんなこと、有り得るのですか?」

「魔法も使っていないのに、不可能」


 混乱した様子と、不可能と断ずるエドラ。


「しかし事実なんだから仕方ないないだろう」


 やれやれ。

 四天王のクレア姉に『罰』と称して毒魔法をかけられ続けた結果、俺はちょっとやそっとの毒じゃあ効かなくなくなっているのである。


 それでも強力なものなら別であるが……ルナー坑道程度の毒なら耐えることが出来そうだ。


「本当に……あなたっていう人は……驚かされるばかりです」

「ブリスは規格外」


 アリエルとエドラはあんぐりと口を開けた。


 まあ、あの地獄のような日々を誇りたくないがな。


 しかしあの経験が活きたのも確かだ。

 今はクレア姉には少しだけ感謝しておこう。少しだけだが。


「ですが、ブリスは毒が効かないと言っても、わたくし達は別なのですが……」

「今回は私達、ダンジョンの前でお留守番?」

「いや……二人にも来てもらいたい。心強いしな」


 実際アリエルとエドラの実力は相当なものになっている。


 それに前回のような古代竜のような不測の事態が起こりえないとも限らない。

 ああいう目に次遭えば、一人で対処するのは不可能だろう。

 あれは二人の力もあってのことだ。


 ダークバーストなんて大技、もう一度使えるかどうかも分からないしな。


「二人に『毒無効』の支援魔法をかける。それだったら大丈夫だろう?」

「ブリスがそう言うなら、そうなんでしょうけど……ですが、長時間。しかも二人分の支援魔法なんて継続することが出来るのでしょうか?」

「大丈夫。とはいっても人数は二人分。三時間くらいが限界だがな」


 肩をすくめる。


 つまり今回は三時間というタイムリミットがある。

 不測の事態に陥った時のことも考え、半分の一時間半で踏破したいところだ。


「無理だった場合はすぐに引き返せばいい。別にルナー坑道に入るのは、一回こっきりって決まっているわけじゃないからな」


 その時はまた対策を練り直せばいい。

 考える人数は多い方がいいだろう。

 その時のことも考えて、俺はアリエルとエドラを連れて行く方が最善策だと感じた。


「分かりました。お供します」

「ブリスの力になれるよう……頑張る」


 アリエルが胸の前でぎゅっと握り拳を作り、エドラも静かな闘志を燃やしているようであった。


「じゃあかけるぞ」


 俺は二人の肩に手を当てる。


「これで終わりだ」

「相変わらず一瞬でかけ終わるのですね……本当に毒無効がかかっているのですか?」

「間違いない。そこらへんは抜かりなくやっている」


 ともあれ慎重に進んでいこう。


 俺達はルナー坑道に挑むのであった。

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