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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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41/130

41・戦いが終わって

 ……リス。


 ……ブリス。


 そう誰かが名前を呼んだ気がした。


「ん……」


 覚醒する。


「わ!」


 瞼を開けると、何故かアリエルの顔が目の前にあった。

 彼女は驚き、大きな声を上げて顔を離した。


 ドシャガララララ!


 その時の勢いが強かったせいか、後ろの本棚に体をぶつけ、大きな音を立ててしまった。


「……大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですわ……」


 とアリエルは頭に本を載せて、恥ずかしそうに言った。


「確か俺は……」


 思い出す。


 ノワールで大規模な魔物の襲来、《大騒動スタンピード》が発生し、街は未曾有の大混乱に陥った。

 古代竜も出てきて、さらに街をごった返す騒ぎとなった。その額には紅色の魔石が……!

 俺はアリエル達と力を合わせて、古代竜を撃破したのだが……その時の疲れもあってか、急激な眠気に誘われた……ということだ。


「ここは……いつも泊まっている宿屋か」


 立ち上がりながら、辺りを見渡す。


 ギルドで倒れてから、記憶がない。

 どうやら寝てしまった俺を、誰かがここまで運んできてくれたらしいな。


「まあここまでは分かるが……どうしてアリエルが?」


 俺が問いかけると、アリエルはパッパッと服についた埃を払ってから、話し始めた。


「は、はい……あの後、ギルドマスターのモーガンさんの力も借りて、ブリスをここまで運んできたのです。ブリス、丸一日も寝ていたんですよ? 心配したんですから」

「そうだったのか」


 仕方のないことかもしれないが、俺は相当疲労が溜まっていたらしい。


「ということは……まさかアリエルが看病してくれたのか?」

「……!」


 問うと、アリエルはビクンッと肩を震わせた。


「そ、そうですわ! このまま目覚めなかったらどうしよう、と心配したんですから! ブリスに限って、そんなことはないと思っていましたが」

「ありがとう。そして心配かけてすまなかったな」

「いえいえ! ……それであまりにもぐっすり寝ているものですから、く、口づ……」

「なんか言ったか?」

「な、なんでもありません!」


 アリエルを顔を真っ赤にして、手をバタバタと振った。

 なにを慌てているのかよく分からないが、そんな彼女の姿も可愛らしかった。


「それにしても色々あったな」

「そうですわね。まさか古代竜が出てくるなんて……あんな大きなドラゴンなんて、神話の中だけのお話だと思っていました」


 俺は古代竜を見るのは初めてではなかったが……なかなか激しい戦いだったな。

 つくづく、つい先日の戦いが嘘のようであった。


「それにしても、やっぱりブリスはすごいですわね」

「なにがだ?」

「あーんなに大きなドラゴンを倒しますもの。ブリスがいなかったら、ノワールが……いえ。大陸がメチャクチャになっていたかもしれません」

「そんなことない。俺一人じゃ倒せなかっただろうしな。アリエルの力もあってのことだろう」

「あ、ありがとうございます。お世辞だと思いますが、あなたにそう言ってもらえて素直に嬉しいですわ」


 アリエルがニコッと笑顔を浮かべる。

 別にお世辞でもなんでもないんだが……。


 俺が支援魔法をかけていたとはいえ、アリエルが《千本気斬華せんぼんきざんばな》を見事成功させてみせたのは、ただただ驚くことであった。

 今後の彼女の成長にも期待だ。


 それにしても……。


「ブリス」


 俺の思考を遮るように、アリエルが口を動かす。


「最後の魔法はなんだったんですか? ダークバーストと言っていましたが。

あんな魔法、わたくし見たことありませんでしたわ」

「…………」

「結局あの魔法が決め手となりましたもの。あんなすごい魔法も使えるなんて、ブリスはさすがですわね」


 アリエルが褒めてくれる。

 しかし俺はそれに答えることが出来なかった。


 最後の局面……俺は自分でも驚くくらいの力を出すことが出来た。

 それにダークバーストという魔法は、よく()()が使っていたものだった。


『魔法』の最強格、クレアですらあの魔法を使いこなすことは難しい。

 それなのに……あんな魔法が使えるだなんて、俺は一体どうしちまったんだ?


「ブリス? どうしました。なにか考え込んでいるようですが」

「なんでもない」


 俺がそう言うと、アリエルは不思議そうに首をかしげた。


 ……まあここで考えていても答えが出そうにない。

 あんな強力な魔法、また使えるとは限らないからな。今後の戦い方の一つからは外しておく方が無難か。あくまであれはイレギュラーなものだったのだ。


「あっ、そうそう。アリエル、古代竜はどうなった? ノワールの森の方に落としたが……」


 検分する暇もなく、街にいた傷を負った者達の治癒で忙しかったからな。


「そのことについてですが、今はギルドの方から職員、そして魔物の研究者達が現場で検分をしています」

「ほう?」

「気になる点も多いですからね。あんな大きなもの、そう簡単に持ち帰ることも出来ませんし……あっ、そうだ。ブリスが大丈夫なら、今からノワールの森に行きませんか? 古代竜の死体、気になるでしょう?」

「もちろんだ」


 そうと決まれば話は早い。


「お体の方は大丈夫でしょうか? もし疲れているようでしたら、やっぱり明日でも……」

「いや、問題ない。丸一日寝てたみたいだからな。疲れているどころか、眠気もさっぱり取れて爽快なくらいだ」


 俺は昔から自己回復力が高かった。

 どんなに疲れていても、一晩寝れば元通りになってしまうことが多かったのだ。

 だからこそ四天王達の無茶な特訓に耐えられとも言う。


「ふふふ、ブリスには驚かされるばかりですね。では行きましょう」


 俺はアリエルと宿屋を出て、古代竜の死体があるノワールの森に向かうことになった。

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