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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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37・古代竜

 古代竜エンシェントドラゴン

 遙か古代より存在していると言われる古代種の一つだ。

 その巨大で神々しい姿から、昔の人々は古代竜を『神』と崇めていたという記録も残っている。



 オオオオオオォォォォオオオオオオオン!


 

 古代竜エンシェントドラゴンが雄叫びを上げる。


 古代竜は翼をはためかせ、低空で滑空している。

 そのため上空がすっぽりと古代竜の体で覆われ、街はまるで夜のように暗くなった。


「ブリス……あれは一体……」

「古代竜だ」

「え、古代竜!? 神話時代の生き物じゃないですか? そんなものが、どうしてこの街に……」

「それについては……アリエル。落ち着いて、古代竜の額を見てみろ」

「ひ、額……?」


 アリエルはゆっくりと古代竜の額の方に、視線を移した。


 その体が巨大すぎるため、一見目立っていない。

 しかし額のところに魔石の紅色がきらめいているのを、俺は見逃さなかった。


「ノワールに仕掛けられた魔石というのは、どうやらここだったようだ」


 なるほど。ディルクのヤツもただのバカではなかったか。なかなか厄介なところに取り付けてくれるものだ。


 しかし……どうしてあんなところに取り付けることが出来たのだ?


 ディルクに問いかけようとするが、


「か、かかか! 終わりだ! 世界は終焉を迎える! 終焉を迎えた後、我が教団が救いの手を差し伸べ、皆は我等を崇めるしかなくなるのです!」


 ディルクが耳障りな笑い声を上げる。


 ダメだ。とてもじゃないが、今は聞いている暇はなさそうだ。


「まあ……今はこいつの世話をしている場合ではない。古代竜を始末しなければ……な?」


 古代竜の口が徐々に開かれる。

 口内が黄金で満たされていく。


「ブ、ブリス……ですが、どうやってこんな化け物を倒せば……」

「アリエル! 下がれ!」


 声をあららげてしまう。


 俺は古代竜の目の前に躍り出て、結界魔法を展開した。


 古代竜の口内から、波動が発射される。

 全てを焼き尽くす、黄金の炎だ。


 しかし俺があらかじめ結界魔法を展開していたおかげで、見えない壁に炎は激突。


「くっ……!」


 さすがは古代竜といったところか。

 古代竜の波動に押され、徐々に結界が崩れていく。


「舐めるな!」


 さらに結界魔法に魔力を注ぎ込む。


 ぶつかりあった衝撃によって、周囲に爆風が広がる。

 それによって、建物の屋根のレンガがいくつか取れるが……なんとか被害を最小限におさえることが出来た。


「ちっ……面倒臭いヤツだ。紅色の魔石によって、力を増幅させているということか」


 今のでさらに魔力を使ってしまった。


 紅色の魔石によって、パワーアップした古代竜。さらには連戦のせいで、さすがに俺の体に疲労が出始めてきた。

 俺一人で倒せるかとなると……冷静に考えて無理だろう。


「さて、どうしたものか」


 こうしている間にも、古代竜は攻撃を放ってくる。


 時にはかぎ爪を振るい、時には翼をはためかせた。

 まさに動く災厄だ。


 俺は結界魔法で攻撃をなんとか防ぎながら、冷静に古代竜を観察していった。


「……このまま特攻するのも有りか?」


 このまま防御し続けていても、いつかは相手に押し切られてしまうためだ。

 行動を起こすなら早い方がいい。


 しかしそれはリスクが高い。

 現状、こいつと対等に渡り合える者は、この街で俺一人だけだ。

 俺の敗北がすなわち、街の崩壊を意味するのだ。

 ならば捨て身で攻撃を繰り出すのは……最終手段。まだそれをするタイミングではない。


「気斬」


 攻撃をかいくぐりながら、古代竜に気斬を繰り出す。

 ヤツの鱗を何枚かがすことは出来たが、すぐにそれは再生した。


()()()()の気斬では無意味か……」


 ならばどうするか……。


「ゴブリンマスターの時と同じ戦法でいくか?」


 思考を巡らせる。

 魔石から供給されている魔力が厄介だ。あれを一時的に停止させてやれば、なんとかやれるかもしれない。



「「ブリス!」」

 


 思考に没頭していると、いつの間にかアリエルとエドラが俺に追いついてきていた。


「ブリス……! 一人で飛び出していくなんて危険ですよ。わたくし達も仲間なんですから、頼ってください」

「みんなで立ち向かわないと……街がなくなっちゃう……!」


 そうは言っているものの、アリエルとエドラの声は震えていた。

 怖いながらも、俺に加勢しにきてくれたのだろう。


 そうだな……仲間などというものは出来るのが初めてだったので、つい一人で解決しようとする癖がついてしまっている。

 俺にはこんな素晴らしい仲間がいるのだ。


「アリエル、聞きたい。気斬は同時に何発までなら放つことが出来る?」

「え?」


 一瞬なにを言われたか分かっていないのか、アリエルがきょとんとした表情になる。


「さ……いえ、頑張れば五発までなら同時に放てます!」

「五発か……それならなんとかなるか。なあアリエル、エドラ。今から言う俺の作戦に協力してくれるか?」

「は、はい!」


 アリエルは拳をぎゅっと握り、エドラは覚悟を決めたような表情で頷いた。


「ヤツの魔石を一時的に使用不可の状態にしてしまいたい。しかしゴブリンマスターの時以上に、ヤツの防御が固い。そこでアリエルとエドラの二人で、それを打ち破って欲しい」

「わ、わたくし達でですか!?」

「そうだ。説明している暇はあまりない。端的に言うぞ。今からアリエルとエドラには俺が支援魔法をかける。そしてアリエルは気斬、エドラは魔法を放って古代竜に攻撃を放って欲しい。どうだ、簡単だろう?」

「で、ですが……わたくしの攻撃で、果たして古代竜に傷一つ付けることが出来るでしょうか……」


 アリエルが自信なさげに俯く。


 だが。


「……ブリスの支援魔法なら大丈夫」


 とエドラがぽつりと呟き、アリエルが「え?」目を丸くする。


「ゴブリンマスターの時もそうだった。みんなは私の魔法を褒めてくれたけど、あれはブリスの支援魔法があってのことだった」

「そ、そうだったのですか!? ですが、支援魔法をかけている様子は一切なかったですが……?」

「うん。本来支援魔法は発動するのに時間がかかる。最短でも三十秒はかかるだろう。でもブリスは私の肩にポンと手を触れるだけで、支援魔法を発動した。それはとってもすごいこと」


 エドラの説明にアリエルが驚いている。


 やっぱり彼女にはバレていたか……しかし一から十まで説明している猶予はない。


「アリエル、エドラ。俺のことを信じてくれ。俺に命を預けてくれるか? 俺の目算なら三人で力を合わせれば、十分勝てるはずだ」


 これが今俺達が出来る最善の策だ。


「はい……! 分かりました。あなたに命を預けます」

「ブリスの言う通りにする」


 二人はすぐに首を縦に動かしてくれた。


「それにしても、ブリスはやっぱりすごいですわね」

「なにがだ?」

「神話時代の生き物、古代竜を前にしてそれだけ冷静でいられるなんて。わたくしなんて、恐怖で体が未だに震えていますわ」

「こんな新人冒険者は他にいない」

「そうかな」


 戦場においては冷静さを失えば、命取りになる。

 これは四天王の連中に口を酸っぱくして、言われていたことだ。


 ゆえに俺はこのような状況でありながらも、以外と心の中は落ち着き払っていた。


 良い傾向だ。


「それについては、また終わってからいくらでも聞こう。今は古代竜を倒すことだけを考えよう……勝つぞ!」

「はい!」

「うん!」


 俺達はそれぞれの武器を握り、古代竜を見据える。

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