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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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31・ノワールに戻ろう

「とにかくここにいても仕方がない。ノワールに戻ろう」


探索リサーチ》を使ってみるが、この辺りにはもう一つ目トロールはいなさそうだ。

 どうやら残りのトロールが、魔石の力でここに集結していたみたいだな。


「ですね……!」

「ここで考えていても、なにも思いつかない」

「決まりだな」


 一つ目トロールの『目』を収納魔法でおさめる。


 俺達は一つ目トロールの『目』を収納魔法でおさめて、早速渓谷を降りることにした。

 止めていた馬車のもとに戻る。


「嫌な予感がする。急いで帰るぞ」

「はい」


 だが、アリエルは暗い表情を作る。


「……どれだけ急いでも、ここからだと一日半はかかるでしょう。その間になにか悪いことが起こらなければいいのですが……」

「私も不吉な予感がする」

「それについては、もちろん対策をする」

「対策? どうやって?」

「馬車の速度を上げる」

「「?」」


 二人の動きがきょとんと止まる。


 俺は馬に手をかけ、支援魔法を発動した。

 内容は……そうだな。【速度上昇】【持久力上昇】【自動回復】【自動操縦】の四つでいいだろう。これだけ重ね掛けすれば、馬の負担も少ないはずだ。


「ヒヒーン!」


 魔法をかけ終わると、馬が興奮したように吠えた。


「ブ、ブリス!? なにをしたんですか? 馬の様子が変ですが」

「なに、ちょっとした魔法をかけただけだ」

「ちょっとした……?」

「説明は馬車の中でする。これなら半日でノワールにつくだろう。早速乗り込もう」


 俺が言って馬車に乗ると、二人もその後に続いた。


「出発進行!」


 馬が地面を蹴る。

 

「わっ! とても早いです!」

「すっごい……揺れる……!」

「少し揺れるからな。近くにつかまっているといい」


 馬の速さにアリエルとエドラが驚いている。


「きゃっ!」


 ん? 

 なんだ、この可愛らしい悲鳴は。


 気付けばエドラが俺にしがみついていた。

 先ほどのちっちゃくて可愛い悲鳴はエドラだったのだ。


「エドラ? 大丈夫か」

「大丈夫……」


 エドラは必死に俺の服をつかんでいる。


「でも……もう少しこうしていい? 揺れに慣れるまでこうしていたい……」

「ん……それは構わないが」


 しかしあれだな。

 エドラみたいな可愛い女の子につかまれると、なんだか落ち着かない。

 心臓の鼓動がとくとくと早くなっていくのを感じた。


「〜〜〜〜〜〜! 良いなあ……」


 アリエルにいたっては、羨ましそうな目で俺達を見ているし。





 それは馬車が出発して、三時間くらいが経過した頃であろうか。

 すっかり二人とも馬車の揺れに慣れてきて、普段の様子に戻っている。


「ん……前方に誰かいるな。止まってくれるか?」


 御者の人にそう伝えると、馬車がゆっくりと停止した。


 馬車の外には、一人の男が馬に乗ってこちらを見ている。

 俺は警戒心を解かず、馬車から降りた。


 男は俺達を見て、



「お嬢様!」



 と叫んだ。


「ディルク……? どうしてここに?」


 アリエルの戸惑っている様子。


 ディルク……ああ、思い出した。確かクアミア家に仕えていた執事だっけな。


 アリエルの父親と話す時、隣で立っていた彼のことを思い出す。


 ディルクも馬から降り。


「ご無事そうでなによりです……」

「どういうことですか?」

「どうやらその様子だと、まだ伝わっていないみたいですね」


 両手を後ろに回して、ディルクは話を続ける。


「原因は不明ですが、この周辺の魔物達が活性化しているようなのです」

「そ、それは本当ですか……!?」

「はい。まだ壊滅的な被害に陥った街はありませんが、いくつかの村で《大騒動スタンピード》が起こっています」


《大騒動》……大量の魔物達が街のキャパを超え、押し寄せてくる状況のはずだ。


 どうやら先ほどの渓谷で見つけた魔石。やはりあれはよからぬ前兆だったようだな。

 各地で起こっている《大騒動》と無関係とは言い切れないだろう。


「ノ、ノワールは無事なのですか?」


 アリエルがディルクに詰め寄ると、「ご安心ください」と彼は答えた。


「ノワールも例外ではなく、《大騒動》が発生しています。しかし……まだ押し寄せてくる魔物も少なく、街にいる冒険者達でなんとか持ちこたえているといったところです。私はそのことをいち早くお嬢様に伝えるため、こうして馬を出しましたが……」

「そうですか……」


 安堵の息を吐くアリエル。


 しかしすぐにキリッと表情を引き締め直し。


「ですが予断は許されない状況ですね」

「その通りです」

「すぐに戻りましょう、ノワールが壊滅しないうちに」


 アリエルがディルクに背を向け、馬車に乗り込もうとする。


 だが。


「ちょっと待て」


 呼びかける。


「どうしました、ブリス?」

「アリエルじゃない」


 俺はその()()に詰め寄った。


「……どうかしましたか?」


 ()()()は執事のディルクのことだ。


「……な、なにをっ!」


 俺は彼の右腕を無理矢理捻り上げる。


「やはりか。()()()()()()()からおかしいと思っていたんだ」


 ディルクの手には短剣が握られていた。


 刀身が血で汚れている。

 短剣が地面に落ち、カランと乾いた音を立てた。


「……なんのつもりだ。何故今、アリエルを()()()とした」 

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