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「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

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30・一つ目トロールの討伐

 一つ目トロールは崖下でうごめいてはいるが、まだ俺達に気付いた様子はない。


「どうして……一つ目トロールがこんなにたくさん……」


 アリエルは唖然としている。


「理由はなにか考えられるか?」

「分かりません……」


 アリエルが小さな声で言う。


 一つ目トロールは知性に乏しい魔物だったはずだ。

 このまま気付かれないまま、先制攻撃を与えることも可能だと思うが……どうも腑に落ちない。


「ん……」


 考えていると、エドラが声を出した。


「どうした、エドラ」

「あれ……」


 エドラが指をさす。

 その方向は一つ目トロールが集まっている中央部分であった。


 あれは……魔石?


 ()()の魔石を、一つ目トロールが囲むように集まっている。

 よく見ると、トロールは魔石の魔法にあてられて、興奮している様子であった。


「どうしてあんなところに魔石が……」

「まだ分からないけど、あの魔石が原因の一つかもしれない……と思う」


 エドラも真剣な眼差しだ。


「その可能性は十分考えられるな。まあどちらにせよ、ここにいる一つ目トロールを全滅させておかなければならない」


 放っておいても、このままトロールが近くの村まで出てくる可能性もある。

 そうでなくても、ゴブリンキングの時と同じくさらに交配を繰り返して、数を増やすかもしれないのだ。


「魔法で一気に倒す?」


 エドラが問う。


 彼女の言う通り、ここから爆発魔法でも放てば、一瞬で一つ目トロールを全滅させることが出来るだろう。


 だが。


「いや……魔石も回収したいしな。遠距離から魔法を使って、魔石が壊れるのは避けたい」

「ではどうしましょう?」


 今度はアリエルの声。


 俺はアリエルとエドラの肩をポンと叩き。


「二人はここで待っていてくれ。すぐに終わらせてくるから」

「ブリス……? 一体なにを……えっ!?」


 俺はアリエルの声を全て聞かず、崖下へと飛び降りた。


 するとやっとのことでトロールはこちらに気付いたのか、ゆっくりと顔を向けた。


「悪いが、遊んでいる暇はないものでな」


 剣を抜く。

 すると同時にトロールが襲いかかってきた。


「ふん」


 俺は剣を振るい、次から次へとトロールを狩っていく。


 あっという間に地面に倒れ伏せ、動かなくなった七体分の一つ目トロールの出来上がりだ。


「ブリスー! 危ないですよ!」

「いきなりなにをするかと思った……」


 少し遅れて、近くの正規ルートからアリエルとエドラが崖下に降りてきた。

 二人は心配そうに声を発する。


「大丈夫。この通りだ」


 一つ目トロールの死体に視線をやって、二人にそう無事を伝える。


「まあゴブリンキングを紙くずみたいに倒してしまったブリスですから、心配はしていませんが……いきなり飛び出していくのは止めてください。心臓に悪いですわ」

「心臓止まるかと思った」

「それに……あっ、こんなところ。擦りむいちゃってるじゃないですか」


 アリエルがしゃがみ、俺の右足の膝に手を当てた。


「ああ……本当だな。膝をついた時に傷ついたんだろう。まあ別に痛くもないし、すぐ治るから心配しなくてもいいぞ」


 それこそ、治癒魔法を使えば一瞬のうちで元通りだ。


 しかし。


「ダメですよ……あんまり無理をしちゃ。あなただって、わたくし達と同じ人間なんですから。バイ菌が入っちゃいます」

「アリエルの指摘はもっともだ。今度から気をつける」

「わたくしが治療してあげますね」

「アリエルが?」


 アリエルって、治癒魔法使えたっけ? 

 彼女は生粋の剣士で、そういったことは苦手だと思っていたが……。


 そう思っていると、


「痛いの痛いの……飛んでけー!」


 アリエルが真剣な表情で唱えて、俺の膝から手を離した。


「…………」

「…………」

「……アリエル?」

「忘れてください。わたくしらしくありませんでしたわ」


 耳たぶまで顔を真っ赤にして、アリエルが俺から顔を逸らした。

 恥ずかしくなるなら、最初からしなければいいのに……。


 ともあれ。


「……さて魔石だが」


 地面に落ちてあった紅色の魔石を拾う。


「確かこれって、ゴブリンマスターの額に取り付けられていた魔石だよな?」


 俺が言うと、二人ともハッとした表情になった。


「そういえば、そうですね……一つ目トロールの方に気を取られて、気付きませんでしたが」

「同じ魔石だと思う」


 どうしてあの時と同じものが、こんなところにあるのだろうか。


「ブリス。見せてもらっていい?」

「ああ」


 頷き、エドラに魔石を手渡す。

 エドラは魔石に魔法を流し込んで、分析を始めた。


 そう時間はかからなかっただろう。


「うん……やっぱり。ここから一つ目トロールを操るような魔力が放出している」

「ほお?」

「きっとこれにつられて、一つ目トロールがこんな一ヵ所に集まってきた」

「なるほどな。だが、一朝一夕の問題ではあるまい。きっと前からこの魔石があって、トロール同士で交配を繰り返していた……だからこそ、これだけ数が増えていたということか」

「うん。きっとそう」


 エドラが首を縦に振る。


 一つ目トロールの討伐だけの簡単な依頼だと思っていたが……どうやら、事態はもっと複雑のようだ。

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