表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無双する〜【書籍化】  作者: 鬱沢色素
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/130

24・ブリスは優しすぎですよ

 翌朝になった。


 俺はアリエルへの剣術指南のために、いつも通り街外れの空き地に向かう。


 昨晩のことを思い出す。


 彼女は大分酔っぱらっていた。果たして時間通りに顔を見せるだろうか……?

 遅刻してくるかもと思っていたが……空き地に行くと、既にアリエルは到着していた。


「アリエル?」


 しかしどうやら様子がおかしい。

 下を俯いて、なにも言葉を発しようとしない。


「どうした。体調が悪いのか? だったら今日はお休みに……」


「す、すみませんでした!」


 俺が言い終わらないうちに、アリエルはそう声を発して深々と頭を下げた。


「昨日は……お恥ずかしいところを……本当にわたくしとしたことが……」

「記憶はあるのか?」

「……あんまりありません」


 記憶がなくなるほど飲んだということか。


 アリエルはとつとつと話しはじめる。


「昨日……シエラさんから話を聞いて、自分のしてしまった過ちに気付きました。ブリスにはとんだ迷惑を……」

「なあに、気にしなくていい。楽しかったしな」


 それは心からの本音であった。

 仲間達と一緒にどんちゃん騒ぎをするなんて機会は、生まれて初めてだったしな。


「なんなら感謝しているほどだ。楽しい時間をありがとう」

「〜〜〜〜! ブリスは優しすぎですよ。だから、わたくしはあなたのことを……」

「ん?」

「な、なんでもありません!」


 次に彼女は顔を真っ赤にした。

 表情豊かだな。


「まあ昨日ことはこれで終わりだ。今日も鍛錬を始めよう」

「は、はい!」



 ◆ ◆



 それから俺は朝の日課を終わらせて、アリエルと一緒に冒険者ギルドに向かった。

 調査隊の件で多額の報酬金を貰った。しばらくは働かなくても十分であろう。


 しかし……これは性分の話なのだが、なにもせずにぼーっとしているだけってのは無理だった。

 仕事中毒とも言える。今まで四天王達にさんざんコキ使われてきたからな。


 というわけでなにか依頼をこなすべく、受付嬢のシエラさんに声をかけたのだが……。


「アリエルさん」


 シエラさんはアリエルの顔を見るなり、そう名前を呼んだ。


「シエラさんにも昨日は迷惑をかけてしまい……」

「いえいえ、気にしなくていいですよ! 私も楽しかったですから!」


 しょぼんと肩を落とすアリエルの背中をポンポンと叩きながら、シエラさんが慰める。


「そんなことよりも、今日はアリエルさんに伝言を預かっていまして」

「伝言?」


 アリエルが首をかしげる。


 シエラさんはテーブルの引き出しから一通の封筒を取り出し、それを彼女に見せた。


「これがなんなのか分かりますよね?」

「——!」


 アリエルの息を呑み込む音。


 彼女はシエラさんから封筒を受け取り、すぐに中身を確認する。

 見る見るうちに顔色が悪くなっていった。

 

「どうしたんだ?」

「……あまりよくない事態になってしまいました」


 頭を抱えるアリエル。


「よくない事態? もしやまたゴブリンマスターみたいな魔物が出現……とか?」

「いえ……そういうのではありませんが……よかったらブリスも一緒に見てください」


 アリエルに許可を貰い、シエラさんが差し出してきた紙に視線を移す。


「んーと……なになに。『今すぐ家に帰ってきなさい。 byバイロン・クアミア』……このバイロン・クアミアってのは誰なんだ?」


 訊ねはしてみるものの、アリエルはそれどころではないのか口を開こうとしなかった。


 その様子を見て、俺の勘が働く。


「もしかして……アリエルのお父さんか?」

「……はい」


 小さな声で返事をするアリエル。


 うむ……どうやら当たりだったようだ。まるで父が娘を呼ぶような文面だったから言ってみたものの……俺の勘も捨てたもんじゃないな。


 しかしそうだとしても疑問が残る。

 たかが娘を呼ぶために、わざわざギルドを通じて伝える必要があるとのかということだ。


 そういえば、今までアリエルの家族構成などは聞いたことがなかった。

 あまり他人の事情を詮索せんさくするのもよくないと思っていたからだ。


 アリエルのお父さんって一体……。


 疑問が頭の中で渦巻いていると、


「あれ、ブリスさん。もしかしてまだ知らないんですか?」


 シエラさんがきょとんとした表情で俺を見た。


「なにがだ?」

「お二人とも仲が良いですから、とっくに知ってると思いましたよ。アリエルさん、ブリスさんに教えても大丈夫ですか?」

「……はい」


 アリエルが頷く。


 シエラさんはコホンと一つ咳払いをして。


「アリエルさんは……」

【作者からのお願い】

「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、

下記にある広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

マガポケ(web連載)→https://pocket.shonenmagazine.com/episode/3270375685333031001
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000372856

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新3巻が発売中
4fkeqs9af7bucs8gz4c9i682mj_6xg_140_1kw_aw2z.jpg

☆☆新作です。よろしければ、こちらもどうぞです☆☆
「憎まれ悪役令嬢のやり直し 〜今度も愛されなくて構いません〜」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ