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異世界狩人物語!  作者: 隣の家の団子屋
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初めてのクエストです。

このページを開いていただきありがとうございます。つたない文章ですが最後まで読んでいただければ幸いです。

ケイは自宅の前にたどり着いた。家屋とはお世辞にも言えないテントが今のケイの拠点であった。中に入ると大きな棚が置いてあり、この二ヶ月で集めた様々な素材が並んでいる。今日集めた水茸をテントの直ぐ側で陰干しにする。水鳥の肝は塩をよくまぶし風通しの良いところに干しておく。そのまま藁を敷いただけのベッドに眠りにつく。こうしてケイの一日が終わった。


ーーーー・・・チャパチャパ・・

太陽が昇るとともにケイの一日が始まる。今ケイは村の井戸から水を汲み体を拭いていた。ある程度体をキレイにしたら持っていく持ち物を軽く見直す。今日ケイは初めてのクエストを受けるのだがある程度受けるクエストには目星がついていた。


「やっぱり最初は採取依頼にしとくか...」


大型の狩りの依頼等はやはり怖い。一人でやるのもそうだが、狩人は体が資本である。今のように蓄えもろくにない状態で怪我をしてしまっては最悪だ。よく聞く話では新人が怪我をした後、無理をして命を落とすという話は珍しくもなんともない。少なくともケイはいま一人なのだから報酬を分ける相手などいないので報酬が低いが比較的難易度も低い採取依頼をしようと考えていた。


村の中央にあるギルドで薬草採取のクエストを受ける手続きを早々に済ませる。メイルにも特に止められるということもなく送り出してくれた。村の入口には誰もいないので名簿に自分の名前を書く。そしてすぐとなりに村の外で行う要件をかく欄があった。その場所に今までとは違うことを書く。


ーー薬草採取のクエストに行ってきますーー


いつもとやることは変わらないはずなのに少し気分が高揚している。そんな自分の単純さにくすぐったさを感じ広角が少し上がる。はじめてのクエストが始まる。


森の中を歩いていく。木々は一つ一つ違い同じものは一つもないので迷う心配もない。初めてこの森に入った頃と比べて足取りが軽い。そうこうしていると薬草の生えている場所へとたどり着いた。名前をアミバ草といい、煎じて飲み薬に、すりおろして布に浸すと湿布薬にもなるという万能具合である。それゆえに”薬草”という呼称で呼ばれるようになっていた。全部取らないように気をつけて摘み取り別の地点へと移動する。こうしてはじめてのクエストはあっけなく終わった。


空を見上げる。

まだ日は高い。

お昼ごろだろうか。


そんなことをボーッと考えながら干し肉をナイフで薄く削ぎ、クラッカーと一緒に口にほうばる。もう必要な数の薬草は集め終わった。こういった空いた時間ができると色々と考えてしまう。ただ漠然と生きてきた。そんなふうに生きてきたからか、誰にでもなれる狩人になっていた。ギルドに申請すれば誰でも狩人に慣れてしまう。だからなのか新人の風当たりが厳しいのが現状だ。


「・・・・・・俺は・・」


自分は村の役に立てているのだろうか?誰かに必要とされているのだろうか?自分が死んでもこの村は何一つ困らないのではないか?そんなことを永遠と頭の中でぐるぐると回っていく。


ーーーッパシン!


自分の頬を叩き、気持ちを入れ替える。クエストは達成したのだから村へと戻ろう。そう思った瞬間である。


「えっ?」


自分の体が宙に浮いている。

そのまま背中が地面に叩きつけられる。

苦しい、息ができない。


遅れて痛みが体を襲ってくる。背中に激痛が走り、ろくに息ができない。体中から嫌な汗が吹き出る。すぐにあたりを見渡すと自分をこんな目に合わせた”そいつ”がいた。たくましい体躯。巨大な二本の牙。四足で大地をふみしめ、全身が剛毛に包まれている。”そいつ”をケイは知っていた。


「(イノシシ・・・!?)」


でかい。ただひたすらでかい。全長2メートルはあるだろうか。その強大な体躯に似合わない小さな瞳がケイを捉える。前足で地面を蹴り、まるで「いまから突っ込むぞ」と語っているように見える。痛みに耐え、後ろにある木に保たれつつなんとか立ち上がる。


「った・・たすけ・・・」


行き絶え絶えになりながら誰かに助けを求める。なんとかしてこの場から離れようと動く。だがしかしそれを許さないものが、ケイめがけて突っ込んでくる。あの巨大な筋肉の塊が容赦なく弱々しくいまにも倒れそうなケイにとどめを刺そうとしていた。


だがその弱さがケイを助けた。


足をもつれさせ転び、腹ばいになる。そんな不規則な動きにイノシシは対応できずに木に頭からぶつかってしまう。あまりの衝撃だったのか悶絶している。その様子を見てケイは気づく。息ができる。体は痛いが動けないほどではない。ケイは無我夢中で村へと逃げていた。

読んでいただきありがとうございます。感想等いただければ幸いです。

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