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悪夢
盛大な破裂音と共に奈落へ落下している最中の俺は、意識がないのにも関わらず、心の内からドス黒い感情がとめどなく溢れ出てくるのを実感できていた。
それは、自らを主張するかのように俺の思考をぐちゃぐちゃにして行く。
奈落に落ちる寸前に、数人の少女達を侍らせている自分と同じくらいの歳の少年に魔法を放たれ、俺は、意図的に奈落へと突き落とされる。
そしてなんの抵抗も出来ずにただ落下して行く。
自分が嵌められた。
そう気づくまで時間はかからなかった。
そして、その時俺は初めて、純粋な殺意というものを覚えた。
殺すべき少年の顔を思い浮かべる。
だが、少年の顔には不自然なほど靄がかかってよく見えず、俺はそのまま落下して行く。
どこか親近感の湧く少年と少女が悲痛な声で俺の名前を呼ぶ。
だが、俺はその声に反応することは叶わず、二発目の魔法によって意識を刈り取られ、奈落へと落ちていった。